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ENDURING FREEDOM

不朽の自由(November〜December 2001)



Throwing Strikes (2001/11/01)


 昨日、ブッシュ大統領がワールド・シリーズで始球式をしたと書きましたが、今朝ニュースでその映像を見ました。きれいなフォームから腕をしならせての投球は、見事なまでにキャッチャーの構えたミットにすっぽりと吸い込まれました。ストライク!!ブッシュ大統領って本番に強いのかもしれません。スピードも、年齢を考えれば速い方でした。ワシントン・ポストのコラムは、「暴投にならなくてよかった。もし暴投になっていれば、アフガニスタンで誤爆を続けるアメリカのミサイルに例えられただろう。ストライクを投げてくれる大統領でよかった」、と書いていました。



Pakistan's Stability (2001/11/02)


 アフガニスタンの隣のパキスタンへは、1995年からムシャラフ将軍がクーデターで政権についた1999年まで、何度も訪れています。イスラマバード、カラチ、ラホール、クウェタ等々の都市はもとより、ヘリコプターでギルギットなどカシミールに近い北部地域にも行きました。カラチでは誘拐されそうになり、危機一髪で車に押し込められる前に逃げたこともありました。ワシントンにもパキスタンからの移民は結構多くて、タクシーの運転手には特にパキスタン人が多いんです。私が知るパキスタン人たちは、汚職のひどかったブット政権、シャリフ政権に比べて、少なくともクリーンなムシャラフ政権に好感を持っていた人たちがほとんどでした。民主的に選ばれた首相より、クーデターで政権についた軍人の独裁者の方が、国民に人気があるというのは皮肉なものです。

 そのムシャラフ政権が揺れています。ムシャラフのアメリカ支援とは反対に、多くの一般のパキスタン人は、感情的にはアフガン人は兄弟で、アメリカ人は異教徒だと思っているからです。アメリカ政府は、核保有国パキスタンの安定が不可欠だとして、数十億ドルの経済援助を準備しているといいます。核実験、クーデターと続き、普通なら核不拡散条約の批准と民主政権への移行がなければ、このような援助は考えられないところです。日本もパキスタンへの全ての経済制裁を解除したようです。現在の世界情勢の中では、核不拡散や民主主義という原則論よりも、パキスタンの安定という現実の方が優先順位が高いということでしょう。アメリカ支援と引き換えに、多額の経済援助を引き出す。ムシャラフ大統領は、かなりしたたかです。



Post Offices in Washington (2001/11/03)


 約3週間前にブリスベンからワシントンの世銀本部に送った郵便が、まだ届いていないそうです。速達で送ったので、こちらの郵便局では4〜5日で届くと言われたんですが。炭疽菌騒動で、アメリカの郵便システムは狂ってしまったようです。特にワシントン地区の郵便局では、仕事どころではないでしょう。ワシントンの全郵便局に勤務する全職員は、炭疽菌対策として既に抗生物質を服用していると聞きました。

 世銀に届く郵便は、炭疽菌による2名の死者を出したワシントンのブレントウッド集配施設を通ってくるそうです。妻の勤務する米州開銀あての郵便も同様だそうです。そのため、これらの国際機関のメール・ルームは、炭疽菌検出の環境検査が行われ、現在その結果を待っているところです。世銀では、そのメール・ルームで郵便の選別を担当する職員に抗生物質が与えられ、米州開銀では妻も含め全職員にマスクが支給されたそうです。何とも恐ろしい限りです。

 数日前に、ブリスベンに来る前(今年の5月)まで働いていた世銀の部署の人から、「あなた宛ての郵便物がたくさん届いているけど、どうしましょうか」というEメールをもらいました。とっさに、「妻に取りに行ってもらおう」と思ったんですが、ブレントウッドを通って来てるという事実を思い出して、思いとどまりました。万が一のことを考えて、そのまま元の部署で保管してもらうことにしました。今度ワシントンに帰った時に、自分で引き取ろうと思います。だけど、家には持ち帰らず、全て世銀のオフィスで開封しようと思っています。



All Nippon Airways (2001/11/06)


 テロ、炭疽菌と続く一連の事件で、日本からワシントンを訪れる人が激減しているそうです。そのため、今までワシントンと成田を結ぶ唯一の直行便だった全日空便が運休になりました。これで、世界一、二位の経済規模を誇るアメリカと日本のそれぞれの首都を結ぶ直行便がひとつもないという、何とも異常な状態となりました。全日空便は、とりあえず11月は運休で、それ以降はどうするか未定だということです。

 実は私の家族は、クリスマスにワシントンからブリスベンに来るので、既にワシントン−成田−ブリスベンというチケットを取っていました。ワシントン−成田間は、当然全日空です。全日空に問い合わせても、今のところ12月の予定はまだわからないということで、最悪の場合はワシントンからシカゴを経由することになると言われました。直行便じゃないと、子供二人を抱えての乗り継ぎは大変なんです。全日空さんお願いしますよ。12月には絶対に運行再開してください。



New York City's Mayor (2001/11/11)


 先日行われたニューヨーク市長選で、選挙戦前は苦戦が伝えられていたブルームバーグ氏が、接戦をものにして当選しました。報道によると、現職ジュリアーニ市長の支持を得られたことが、ブルームバーグ氏が勝利した大きな一因だそうです。

 そのジュリアーニ市長は、9月11日のテロ以前は、愛人スキャンダルや健康問題(確か大腸ガンを手術)などで、はっきり言って落ち目でした。そのため、ヒラリーと一騎打ちの予定だった、2000年のニューヨーク選出連邦議員選挙も辞退した程です。それが、あのテロ後は一躍全米のヒーローになってしまいました。ある意味では、ブッシュ大統領よりも目立ってましたよね。あの非常時に、ニューヨーク市警や消防を統率し、市民やボランティアを励まし、連邦や州の組織と見事に連携を重ねたその指揮官ぶりは、リーダーと呼ぶに相応しい姿でした。リーダーの資質のひとつは、非常時あるいは緊急時に、いかに決然たる行動をとれるかだ、ということを学ばされました。さて、ブルームバーグ新市長のお手並み拝見といきましょう。彼もジュリアーニさんの後では、ちょっとやりにくいでしょうね。



Accident or Terrorism (2001/11/13)


 ニューヨーク発ドミニカ共和国行きのアメリカン航空が墜落しました。9月11日のあのテロから2ヶ月と1日後という、何とも嫌なタイミングで、何とも嫌な事件が起こりました。事故かテロかは、今のところはっきりしていませんが、事故の可能性の方が高いという報道です。しかし、この墜落がテロにせよ事故にせよ、アメリカの航空業界に対する信用回復は、当分の間ほとんど不可能かもしれません。

 万が一これがテロだとしたら、9月11日以降厳しくなったはずの空港のセキュリティが、依然としてザルのままであるということの証明です。僕が10月のはじめにワシントンのダレス国際空港からの成田行きに乗ったときも、こんなので大丈夫なのかと思ったほど、セキュリティ・チェックや荷物検査は徹底されていませんでした。それでは、仮に今回の墜落が事故だとしたらどうでしょう。それはとりもなおさず、機体の整備やメインテナンスに欠陥があったということです。アメリカの飛行機に対する不信感払拭には何ら役立ちません。

 私は9月11日のテロが起こる大分前から、アメリカの飛行機には極力乗らないようにしていました。そうするようになったのは、ワシントンに引っ越してから割りとすぐだったから、もう5〜6年ほども前です。行き先によっては、やむを得ずアメリカの飛行機に乗らざるを得ない時もありますが、選択肢がある場合は、日本をはじめ東アジアの航空会社か、ヨーロッパの航空会社を選ぶようにしています。その理由は、アメリカの飛行機がテロの標的になる確率が高いというだけでなく、私自身がアメリカにおける機械のメインテナンスを信じてないからです。ワシントンに住んでみてびっくりしたのは、アメリカのあらゆる機械という機械に故障がとても多いことです。地下鉄、列車、エスカレーター、コピー機などなど、しょっちゅう故障しています。メインテナンスがなっていないのです。だから多分、飛行機の機体のメインテナンスも、きっと他の先進国ほどきっちりしていないのではないかと疑っていました。

 ともあれ、早急な原因究明が望まれます。ドミニカ出身のスラッガー、シカゴ・カブスのサミー・ソーサは、昨日が誕生日だったそうです。祖国へ向かう飛行機が墜落したという知らせを受けて、「これからは、誕生日が来るたびにこの悲劇を思うだろう」と語ったということです。ワシントンで娘達の面倒を見てくれている、うちのベビー・シッターのドロシーも、ドミニカの出身です。おそらく、彼女も大きなショックを受けたことでしょう。彼女と彼女の家族のことが、今一番気がかりです。



Metal Fatigue or Geese (2001/11/14)


 今朝のブリスベンの地元紙「クーリエ・メール」によると、ニューヨークで墜落したアメリカン航空機の事故原因は、金属疲労か、もしくは、がちょうの群れが偶然エンジンに巻き込まれたかのどちらかだろう、ということです。あのあたりは、がちょうの飛行ルートになっているんだそうです。もし、本当にがちょうの仕業だとしたら、アメリカ航空業界の信用は、少し回復するかもしれません。でも、がちょうがエンジンに巻き込まれて、飛行機が墜落することがあるなんていうことが分かると、やっぱり恐くてあまり飛行機に乗りたくなくなります。



Negative (2001/11/16)


 世銀本部のメール・ルームの炭疽菌検査の結果が出ました。幸いなことに、ネガティブだったそうです。ニュースで知る限りでは、ここ数週間はアメリカで炭疽菌関連の新たな発病者もなく、入院していた人は全て退院したということで、ひとまず今回の炭疽菌の脅威は、去ったのではないでしょうか。しかし、犯人が捕まってない以上、また起きないとも限りませんので、早く捕まえてほしいです。

 ワシントンの妻の職場では、郵便物の開封を民間業者に委託したそうです。全ての郵便物は、その業者が別のビルで開封し、不審な郵便がないかをチェックするんだそうです。その後、開封された郵便が、妻の職場に運ばれるそうです。職員を守るためには、このような措置も必要なのかもしれません。この郵便の開封業者っていうのも、これから流行るかもしれませんね。本当にイヤな時代に突入しました。



Anthrax Again (2001/11/17)


 昨日「炭疽菌の脅威がひとまず去ったようだ」と書いた途端、またワシントンで炭疽菌入りの手紙が見つかりました。今度はレイヒー上院議員宛ての手紙だそうです。以前に見つかったダシュル上院議員宛ての手紙と投函日、消印郵便局とも同じで、封筒の筆跡も似ているというから同一犯人だということは、明らかです。これは、新たに最近送られたという手紙ではなく、以前に送られていて見つかっていなかったものが見つかったということです。まだやはり、炭疽素に対する警戒を緩めてはいけないようです。



Holy Month of Ramadan (2001/11/19)


 イスラム諸国は、数日前からラマダンに入りました。日の出から日の入りまでの断食が一ヶ月続きます。パキスタンのムシャラフ大統領やインドネシアのメガワティ大統領などイスラム教国の首脳たちは、「ラマダン中の空爆はやめるべきだ」と言っていましたが、アメリカ軍による空爆は続いています。

 おそらくアメリカも、できればラマダン前に少なくとも第一段階の軍事行動を完了する計画なのではないかと、僕は思っていました。僕が思っていた第一段階とは、タリバンを崩壊させて、ビン・ラデンや「アル・カイーダ」の指導者を捕らえる(あるいは殺す)までです。タリバンはほとんど崩壊状態のようですが、ビン・ラデンはまだ見つかっていません。計画が遅れて、現実的にはラマダン前の軍事行動停止が不可能になったのでしょう。

 イスラム教徒でも、戦争中の兵士や妊婦、重病人などは、断食を免除されると聞いたことがあります。腹が減っては戦はできぬ、というのは万国共通のようです。



Bin Laden Group (2001/11/28)


 最近の世銀からのメールで知ったことです。あのテロ事件以来、世銀は、空港やその他の交通施設のセキュリティ改善を目的にしたプロジェクト融資には、今までにどのような実例があったのかを調査していたようです。その中のひとつに、イエメンの空港のセキュリティ改善プロジェクトというのがあったそうです。その空港のターミナル・ビルの改修を請け負ったのが、なんとサウジアラビアの「ビン・ラデン・グループ」だというのです。ご存知、あのオサマ・ビン・ラデンの親族が経営する建設会社です。このプロジェクトが実施されたのは、当然今回のテロ事件が起こる前の話ですが、何とも皮肉な取り合わせではないでしょうか。

 あのテロ事件後は、この「ビン・ラデン・グループ」の工事受注が極端に減ってしまったということです。当然そうなるでしょうね。でも、この会社の売上が、オサマ・ビン・ラデンやそのテロ組織に流れていないとしたら、テロリストの親族というだけでビジネスの機会から排除されるのはおかしいのかもしれません。でもどうやって、この会社の資金がオサマに渡っていないと証明できるのでしょうか。そして誰が証明するのでしょうか。ちょっとした難題です。



Minister Ogata (2001/11/30)


 アフガニスタンの復興に対する国際社会の動きが慌しくなってきました。先週ワシントンでは、日米政府が主導したアフガニスタン復興に関する会議が行われました。パキスタンのイスラマバードでは、戦争後の具体的な国づくりに関する会議も、世銀、アジア開銀、国連開発計画など援助機関の共催で開かれました。ドイツのボンでは、タリバン崩壊後のアフガニスタン暫定政府を模索する各派の交渉が、国連を仲裁者として行われています。

 ワシントンでの会議に日本政府の特別代表として参加したのが、元国連難民高等弁務官の緒方貞子さんです。小泉首相直々の要請で、緒方さんが、アフガン復興の日本政府特別代表を引き受けたそうです。その緒方さんのワシントンでのスピーチの内容が、メールで回ってきました。でも緒方さんのことが、「Minister Ogata」となっていました。「Ministry」のトップ、いわゆる日本での大臣という肩書きになっていたのです。これは、実際の会議でこのように呼ばれたのか、あるいは会議録を作成した人が、勝手にこのような肩書きをつけたのかは分かりません。でもこの会議には、アメリカからはパウエル国務長官などの閣僚が参加していたのですから、緒方さんも大臣扱いを受けたのでしょう。まあ、外交に関して言えば、実際の田中真紀子大臣より百倍優れているのは言うまでもありませんから、個人的には「緒方大臣」でもいいんですけど。

 その緒方大臣の発言内容です。「我々が学んだ教訓は、テロの温床になるような失敗国家や見捨てられた国家の存在を許してはならないということだ。国際社会は、アフガニスタンに対してあまりにも無関心すぎた。今こそ、過去の失敗に学ぶべき時が来た」、と訴えていました。現場を知る人の重みのある発言です。



Listen to the Silence (2001/12/01)


 イスラマバードで行われていたアフガニスタン再建に関する会議で、世銀の代表を務めていたのが、南アジア担当副総裁の西水美恵子さんです。西水さんのこの会議での発言が、海外のメディアに出まくっていました。ほぼ同じ時期に田中真紀子外務大臣もパキスタンに行っていたと思うのですが、インターネットで見る限り、海外のメディアが取り上げていたのは、西水さんの方でした。

 イスラマバードでの彼女の発言です。「世界銀行がアフガニスタンをどのように再建するのかを教えるために、私はこの会議に来たわけではありません。主権者である人々の声を聞かずに、どうしてアフガニスタンの再建などを考えることができましょうか。もし、援助機関がアフガニスタン再建の主導権を握るようなら、我々は解決策の一部ではなく、単に問題の一部になってしまうでしょう。アフガニスタン人自身の声に耳を傾ける時が来たのです。彼らの声を真剣に聞きましょう。今まで社会から疎外されてきた女性達とも、深く話し合うことです。女性達の沈黙を聞き取ることが重要なのです。」

 コメント不要の名言だと思います。



Imagine Afghanistan at Peace (2001/12/07)


 タリバンが消滅したようです。アフガニスタン暫定政府樹立に向けた交渉も着々と進み、暫定政府の首相にはカルザイ氏という人が就くことに決まったようです。まだ、タリバンの指導者オマール氏やビン・ラデンは捕らえられておらず、ドスタム将軍派が暫定政権のボイコットを表明するなど、不安定要素は消えませんが、数十年続いた紛争から、アフガニスタンが平和に向けて大きく一歩を踏み出したことは間違いがないでしょう。紛争状態に後戻りするかしないかは、アフガン人自身の力によるところが大きいのは言うまでもありませんが、国際社会がいかにコミットし続けられるかも大きなウェートを占めるのではないでしょうか。

 アフガニスタンに真の平和が訪れる日を想像してみましょう。確か、イスラマバードでの西水さんのスピーチは、そんなフレーズで始まっていました。まあジョン・レノンの「イマジン」を基にしたというのは容易に「想像」できますが。



Kofi Annan (2001/12/11)


 今年のノーベル平和賞は、国連とその事務総長のコフィ・アナンに与えられました。昨日、オスロで授賞式があったようです。今年の3月、私はそのコフィ・アナンにバングラデシュの首都ダッカで会いました。コフィは、出張中の私と同じホテルに泊まっていたのです。何度か近くで目にしましたが、いつも姿勢がとても良く、静かながらも決意を秘めているようで、なかなかの好印象を得ました。

 実は、私はコフィにひとつだけ貸しがあります。大体、出張中は昼食もゆっくり食べる時間がないほどに忙しいことが多いのですが、その日は珍しくお昼を食べにホテルに戻る時間がありました。ダッカのそのホテルには3っつのレストランがあるのですが、昼に営業しているのはそのうちの2つだけです。私はいつも楽しみにしている、日本の「弁当ボックス・ランチ」が食べられる方のレストランに入ろうとしました。でも、その日に限って、貸切のため部外者は立ち入り禁止でした。外から覗くと、コフィ・アナン一行がそのレストランを占領しているではありませんか。しかも、テーブルがいくつも空いているではないですか。ホテルの人に、「テーブルが空いていますよ」と言っても、セキュリティ上の理由でそのレストランには入れず、結局その日は「お弁当」にありつけませんでした。というのが、私とコフィとの出会いです。「食べ物の恨みは何とやら」って言いますよね。



Butterfly Effect (2001/12/14)


 ノーベル平和賞を受賞した、国連のコフィ・アナン事務総長の受賞スピーチを読みました。なかなかいい内容です。その中でアナン氏は「Butterfly Effect(バタフライ効果)」という言葉を紹介しています。これは、アマゾンの熱帯雨林で蝶が羽ばたくことによって起きる風が、地球の反対側で大きな嵐を生むというものです。要するに、地球は実はとても小さいもので、地球上の全てが密接に関連しているということです。ある国での人間の活動は、「蝶の羽ばたき」より遥かに大きな「効果」を地球上のどこかに起こしているのです。

 その他のアナン氏の言葉を少し引用してみます。訳の責任はこの私にあります。

「今日、人々を隔てているのは国境ではなく、力のある者とない者、自由な者と束縛されている者、特権のある者と屈辱を受けている者との違いである。今日、一国における人道上あるいは人権上の危機と、他国における安全保障上の危機を隔てる壁はない」
「21世紀の国連の使命は、人種や宗教にかかわらず、人間ひとりひとりの高潔さと威厳をもっと深く知ることによって定義されると信じる。このためには、我々は国家の枠組みを超えて物事を見たり、あるいは国家やコミュニティという表面に覆われているその下を覗いてみたりしなければならない」
「ひとつの人種が真実を所有しているとか、世界の悪に対してたったひとつの答えがあるとか、人類の欲求に対する解決策はひとつだ、という考えは、話されもしない害を歴史上もたらしてきた」
「自分の価値観と他人の価値観は必ず対立していると思うのは、間違っているばかりでなく危険である。我々は、他人を嫌いにならずとも、自分達を愛せる」

 英語での全文を読みたい人は下記のウェッブ・サイトにアクセスしてください。
 http://www.nobel.se/peace/laureates/2001/annan-lecture.html



Fabricated Video? (2001/12/15)


 オサマ・ビンラデンが9月11日のテロについて語っているというビデオが公開されました。このビデオが、本物なのか、あるいは偽造された物なのかというのが、ちょっと話題になっています。テレビやウェッブでのいろんなニュースを見ると、いわゆる専門家と呼ばれる人ほど「これは本物だ」と言い、一般人ほど「偽者じゃないか」と疑っているようです。できる人には、こんなビデオを偽造するなんてたやすい事なんだそうです。

 もともとアフガニスタンのジャララバードで見つかったというこのビデオ、実はアメリカ政府がどのように入手したのかは明らかにされていません。こちらオーストラリアのニュースでは、「このビデオは、アメリカ政府が第三者から多額のお金を払って買ったんじゃないか」ということを言っていました。私もアメリカ政府がこれを偽造したとは思ってませんが、この「第三者」が、お金目当てに偽造したというのは考えられなくもないなあと思っています。もしこのビデオが「本物」だとして、「どうしてこんな証拠になるようなビデオをビンラデンが撮らせたのか」、そして「どうしてそんなビデオを敵の手に渡るような所に放置していたのか」という疑問は消えません。



From Adelaide to Al-Qaeda (2001/12/16)


 ここ数日のオーストラリアのニュースは、この話題ばかりです。アフガニスタンで捕らえられたアル・カイーダのメンバーの中に、アデレード出身のオーストラリア人がいたというのです。当然、本人の実名と写真が新聞やテレビに出まくっています。彼の生い立ちみたいな記事もあります。オーストラリア人の彼が、どのようにしてアル・カイーダのメンバーになったのかを解き明かしているような記事です。それによると、彼はコソボやカシミールでの戦闘の経験もある、バリバリのイスラム戦士だということです。彼は昔、馬の調教師として日本で働いていたことがあるそうで、彼の知人によると「日本から帰って人間が変わってしまった」そうです。日本で何があったのでしょうか。

 本人の事は記事になっても仕方ないのでしょうが、今もオーストラリアにいる家族のことまで記事になってしまうのは、どうかと思いました。彼の父親の写真やコメント、現在の職場までが明らかにされてしまいました。昨日のこちらの新聞には、元恋人との間にできた二人の子供たちの写真までが、その元恋人の写真と共に載っていました。ここまでする意味があるんでしょうか。



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