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言語・コミュニケーション(1)





「世界ビジネスジョーク集」 [NEW]

著者・発行おおばともみつ 中公新書ラクレ 2003
感動度実用度☆☆☆
娯楽度☆☆☆☆ファッション度☆☆☆
感 想筆者は、元大蔵省の国際金融局長や財務官を務めた方だそうです。その彼が国際舞台で耳にしたジョークを集めた本です。やはり、金融や経済のジョークも多く掲載されていますが、こういうジョークはあんまり笑えませんでした。僕も気の利いたジョークを英語で言えるようになりたいので、まあ、いくつかのジョークは参考になりました。一番面白かったのは、「アイルランド人のようにシラフで、イギリス人のように料理が上手く、フランス人のように謙虚で、イタリア人のように秩序正しく、......」と延々と続くジョークです。これはEU各国の国民性の反対を的確に表しているのだそうです。

もうひとつ紹介すると、「世界で一番幸せな男は、アメリカで給料を取り、中国料理を食べ、イギリスの家に住み、日本人の妻を持つ。世界で一番不幸な男は、中国で給料を取り、イギリス料理を食べ、日本の家に住み、アメリカ人の妻を持つ」というのもありました。アメリカで給料を取り、アメリカの家に住み、日本人の妻を持つ自分は、結構幸せな方かもしれないなあ。



「コメント力」

著者・発行齋藤 孝  筑摩書房 2004
感動度☆☆☆実用度☆☆☆☆
娯楽度☆☆☆ファッション度☆☆☆☆
感 想「コメント力」という題名にひかれて成田空港で衝動買いしてしまった本です。「できる人はここがちがう」という副題も付いています。要するに、「できる人は、いろんな場面で気の利いたコメントを発する能力がある」というのです。これには全く同感で、話や文章がまとまっていて面白い人は魅力的ですよね。インターネットの世界でも、掲示板やブログへの書き込みコメントが上手い人は尊敬してしまいます。

この本には、「コメント力」トレーニング集や、テレビや映画の面白いコメントなども多く掲載されていて、読み物としても結構楽しめました。その中でも筆者は、「天才バカボン」のバカボンのパパや、「エースをねらえ」の宗方コーチ、「ムーミン」に出てくるスナフキンなど、古いアニメ番組のコメントを数多く引用しているところが興味深かったです。

最後に、この本で印象に残った言葉を忘れないように書き留めておきます。
「(映画などの)作品にコメントする時、それはどういう時にお勧めなのか、誰にお勧めなのかを限定するクセをつける」
「沢山の知識の中から、これはあれに似ていると指摘するのはひとつの方法である」
「何を見ても自分ならどうだったのかと考える習慣をつけておく」
「人をほめる時に、『誰々さんが素敵だと言っていた』と第三者の声をのせるとリアリティが生まれる」
「ともかく話を聞いたら、それに対して何も質問せず、アドバイスもしないのは失礼である」



「尻が赤くないものはサルではない」

著者・発行沖田 浩  幻冬舎 2004
感動度実用度☆☆
娯楽度☆☆☆ファッション度☆☆
感 想この本の帯には、「会議に小論文にすぐ役立つ....」とありますし、題名も面白そうネので、思わず買ってしまいましたが失敗でした。この本には、筆者が「ロジカル・パズル」と呼ぶ問題がいっぱい出てきて、それらのロジカルな解き方を解説してくれています。読みやすいし、とても分かりやすく書いてはくれていますが、これらが会議や小論文に役に立つとは思えません。中味の大半は、昔数学で習った「集合」や「逆・裏・対偶」の話で、まあ数学の試験くらいには役に立つかもしれませんけど。

参考になったのは、一つのケーキを二人で分ける方法くらいでしょうか。この答えは、片方にケーキを切らせて、もう一方に先にケーキを選ばせるというやり方です。でも、これだって会議の役には立たないでしょう。ケーキを食べながらの会議を穏便に済ませるには役立つかもしれませんけど。



「超・文章法」

著者・発行野口悠紀雄  中公新書 2002
感動度☆☆実用度☆☆☆☆☆
娯楽度☆☆☆☆ファッション度☆☆☆☆
感 想「文章執筆マニュアル」とも呼べるこの本には、エッセイや評論を書く際に重要なポイントがたくさん詰まっています。野口氏は「文章というものは面白いか、ためになるか、あるいはその両方でなければならない」と主張するだけあって、さすがに彼の文章は面白くてためになりました。でも、この本を読んだからって、すぐ文章がうまくなるかどうかは分かりません。それは、今後のこのサイトの文章で判断してください。

この本には「マニュアル」だけでなく、いくつかのコラムも収録されています。その中で、「質素な身なりの寄付者」と題されたハーバード大学のウェブサイトに関するコラムは最高でした。ハーバード大学のサイトのトップページには、読者を引きつけるために面白い話が載っているそうなんです(その話の内容をmりたい人は、この本を読んでください)。一方、日本の大学のトップページには、大抵つまらない学長の挨拶などが載っているというのです。「日米の差は歴然だ」と野口氏は嘆いていますが、全くもって同感です。さて、この本に出てくる文章執筆の際のポイントをいくつか以下に抜き出しておきます。

「読者に伝えたいメッセージを明確にする。メッセージがひとことで言えることが大事」
「明晰な文章を書くには、いかに切り捨てるかが重要」
「全体は序論、本論、結論の三部構成にする」
「ドラマチックに始め、印象深く終えよ」「比喩や引用、具体例をうまく使う」
「とにかく書き始めよ」



「口のきき方」

著者・発行梶原しげる  新潮新書 2003
感動度実用度☆☆☆
娯楽度☆☆☆☆ファッション度☆☆☆
感 想アナウンサー歴30年、「しゃべりのプロ」を自認する梶原さんが、最近ちまたに溢れる変な日本語について書いた本です。結構、面白くスラスラと読んでしまいました。この本によると、日本には「ほうほう症候群」というものが蔓延しているらしい。レストランで「ご注文のほう繰り返させていただきます」とか、スーパーでも「お値段のほうは450円になります」とか、クイズ番組でも「答えのほうは?」なんていう意味不明の「ほう」を使う人が増えているとか。そういえば、そんな言い方どこかで聞いたことがあるような気がします。それから、最近の若者は「やばい」という言葉を「このハンバーグやばいっすよ(すごく旨い)」というふうに、肯定的な意味に使うそうです。これは初耳でした。そんな話題が詰まっている本でした。

この本のあとがきに、「口ききより口のきき方を勉強中〜国会議員」というある新聞の読者投稿が引用されています。これを投稿した人は、かなり「やばい」っすね。でも、政治家の失言の大部分は、彼らの本音がポロリと出てしまったもので、「口のきき方」という以前に思想とか倫理観の問題のような気がしますけど。



「分かりやすい説明の技術」

著者・発行藤沢晃治  講談社ブルー・バックス 2002
感動度実用度☆☆☆☆
娯楽度☆☆ファッション度☆☆☆
感 想アマゾンの読者の書評が良かったので、買ってみました。日本語でも英語でも、人前で話したりプレゼンテーションをしたりする機会が最近とても多いので、説得力を増したいといつも思っています。僕は、この手のハウツー本で今までいい本に当たったことがなかったのですが、この本はまあまあでした。題名の通り、かなり分かりやすく書いてあります。この本に出ている「最強のプレゼンテーションのための15のルール」というのを、以下に書き留めておきます。

(1)聞き手とのタイムラグを知れ。(2)要点を先に言え。(3)間を置きながら、しみ入るように話せ。(4)具体性と抽象性のバランスをとれ。(5)説明もれを防げ。(6)情報構造を浮かび上がらせよ。(7)キーワードを使え。(8)論理的に話せ。(9)比喩を使え。(10)聞き手の注意を操作せよ。(11)聞き手を引率せよ。(12)繰り返しの劣化に注意せよ。(13)持ち時間を守れ。(14)聞き手に合わせた説明をせよ。(15)聞き手を逃すな。

さて、この本で一箇所だけ引っ掛かる所がありました。それは、「馬の足は三本である」と信じている人に、「馬の足は四本である」ことを説得するという例が書いてある所です。著者によれば、上手な説明とは次のようなものだそうです。「そうですよね、馬の足は三本ですよね。それは私も知っています。ところが最近、妙な体験をしたんです。この前、あそこの草原を通ったら、もちろん大部分の馬の足は三本だったんですが、中に時々四本足の馬を見つけたんです。馬の足は三本と決まっているのに、四本足の馬もいるのかもしれませんね。今度、馬を見かけたら、四本足の馬がいないか探してみてください。」

自分はこれには納得いきません。僕だったら、「あなたは間違っていますよ。馬の足は四本です。」と、正攻法で行きます。愚直にストレートで押すのが、僕の説得力です。



「声に出して読みたい日本語」

著者・発行齋藤 孝  草思社 2001
感動度☆☆実用度☆☆☆
娯楽度☆☆ファッション度☆☆☆
感 想巷で売れているというので買ってみましたが、古典・古文が多くて僕には難しすぎました。日本語のいろいろな名言・名文句が載せてあり、筆者が解説を添えています。筆者は日本における暗誦文化の衰退を危惧し、この本にあるような「日本語の宝石」を暗誦によって子供の頃から身体に埋めておくことが必要と説いています。そうすることによって、身体に活力を与え、日本語の文章の型を身につけ、母国語の強い顎をつくるんだそうです。懐かしかったのは、「付け足し言葉」が紹介されていた部分です。「驚き桃の木山椒の木」とか、「あたりき車力よ車曳き」、「おっと合点承知之助」なんて、もう最近はほとんど言う人がいないでしょうね。「何か用か九日十日」という知らないヤツも載っていました。



「説得の法則」

著者・発行唐津 一  PHP新書 1999
感動度☆☆実用度☆☆☆
娯楽度ファッション度☆☆☆
感 想休暇中、仙台駅の本屋さんで見つけた本です。リーダーシップ発揮のカギは、説得力にあると常々思っていたので、題名を見てつい買ってしまいました。説得力をつけるヒントくらいは載っているだろうと期待していましたが、はっきり言って期待はずれ。「無理強い、詭弁では人を動かせない。説得の成否を分かつのは、押しの強さでも情でもなく、情報の使い方である。」という、まあ言ってみれば当たり前の常識に基づいた論が展開されています。説得の達人として本書に出てくる松下幸之助や、シンガポールのリー・クアンユー氏の逸話は、僕が思うに、ほとんど説得力とは関係ありません。その人物の話だから、まわりがその気になってしまう。同じことを同じ状況で僕が言っても、全く効果がないでしょう。そういう意味では、あんまり説得力のない本でした。ちなみに、本書で一番説得力があった言葉は、一番最後のページに出てくる「今日どう生きるかによって、未来は確実に変化する」という一文でした。



「最新アメリカジョーク事情」

著者・発行杉田 敏  DHC 1999
感動度実用度☆☆☆
娯楽度☆☆☆ファッション度☆☆☆
感 想NHKラジオ「やさしいビジネス英語」の講師・杉田敏さんの本です。僕も、「やさしいビジネス英語」で英語を勉強していた時代があります。さて、「インターネット版ジョークが映す現代アメリカ」という副題が付いているこの本は、はっきり言ってイマイチでした。あんまり笑えるジョークは多くありませんでした。その中で僕が一番面白いと思ったジョークは、ビル・クリントンとヒラリーが給油のために訪れたガソリンスタンドで、ヒラリーの昔の恋人に出会ったという架空の話です。クリントンはヒラリーに、「あいつと結婚しなくてよかっただろう。もしあいつと結婚していたら、今ごろはガソリンを入れる男の妻だったんだから」と言うと、ヒラリーは「いいえ。もし私が彼と結婚していたら、彼が大統領になっていたわ。あなたは今ごろガソリンスタンドで働いていたでしょう。」と答えました。ヒラリーなら本当にこういうことを言いそうです。

この本には、英語のなぞなぞも載っています。その例をひとつ。
Q: What kind of room has no windows or doors?
ちょっと簡単かもしれませんが、答えが分かった人はゲストブックに書いてください。


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