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環境問題(1)





「地球がもし100cmの球だったら」

著者・発行永井智哉  世界文化社 2002
感動度☆☆実用度☆☆
娯楽度☆☆ファッション度☆☆☆
感 想題名から分かるように、「世界がもし100人の村だったら」の二番煎じです。はっきり言って期待を大きく裏切られました。やっぱり二番煎じはイケマセンね。「地球がもし100センチの球だったら、富士山は0.3ミリ、エベレストは0.7ミリ、飲める水はスプーン一杯、空気の層は1ミリ....」とまあ想像通りの内容でした。スケールを縮めて地球環境の重要さを訴えたいのでしょうが、今ひとつインパクトが弱いのはどうしてでしょうか。ひとつは、資源の貴重さは主張できても、その貴重な資源が人類の消費によって、どう変化しているのかという時間的傾向が見えにくいこと。そしてもうひとつは、水質汚濁や大気汚染といった、資源の質的変化が見えにくいことです。でも、もしこの本が「世界がもし100人の村だったら」より先に出版されていたら、インパクトはもっと大きかったんでしょうが。



「入門 環境経済学」

著者・発行日引 聡・有村俊秀  中公新書 2002
感動度実用度☆☆☆☆
娯楽度ファッション度☆☆☆
感 想最近仕事で環境経済学を扱うことが多いので、この本を買ってみました。一番の目的は、仕事で使う環境経済学の英語の専門用語を、日本語で何と言うのか確かめたかったのです。以下にちょっと記録しておきます。

・Cost Benefit Analysis(費用便益分析)
・Externality(外部費用)
・Willingness to Pay(環境に対する支払い意志額)
・Contingent Valuation Method(仮想評価法)

さて、題名は「入門」となっていますが、結構難しい記述が多い本でした。特に、価格を決定する需要曲線と供給曲線に社会的コストや外部費用を絡めた説明などは難解でした。でも、ゴミの排出量に応じた手数料の徴収や炭素税の導入といったいわゆる経済的手法の環境政策における優位性は、説得力がありました。環境政策に関わる人は、読んでおいて損のない一冊だと思います。



「滅びゆく動物たち」

著者・発行加瀬信雄  青春出版社 2002
感動度☆☆☆実用度☆☆☆
娯楽度ファッション度☆☆☆
感 想地球上の生物は、太古の昔から自然に絶滅と進化を繰り返してきました。しかしながら、現代ほど多くの生物が絶滅しつつある時代はかつてありませんでした。この本によると、現代では一年に一種の哺乳類が絶滅している計算になるのだそうで、その理由は人間です。様々な人間の活動が、他の生物を絶滅に追いやっているのです。この本には、ブルーバックやドードーといった今までに絶滅した動物と、サイ、トラ、ゾウなど今まさに絶滅の危機に瀕している動物たちがたくさん出てきます。そういう動物たちの例を通して、絶滅のメカニズムと動物たちを絶滅からいかに救うかを教えてくれます。驚いたのは、稀少動物の取引を禁じたワシントン条約が、実は裏目に出ているという点です。ワシントン条約の発動以来、かえって象牙やサイの角などの価格が高騰し、それが大規模な密猟を引き起こしているのだそうです。そのため、クロサイの主要な棲息地であるジンバブエには、こういった密猟者を見つけたら撃ち殺してもいいという法律までできたそうです。オーストラリアのタスマニア島にかつて生息し絶滅した「タスマニア・タイガー」については、残念ながらこの本には出てきませんでした。「タスマニア・タイガー」は、僕が大好きな「カスケード」というタスマニア産ビールのラベルの中で生き続けています。



「木を植えた男」

著者・発行ジャン・ジオノ(作)・寺岡 襄(訳)  あすなろ書房 1989
感動度☆☆☆☆実用度☆☆☆☆
娯楽度☆☆☆ファッション度☆☆☆☆
感 想ご存知、感動の名作「木を植えた男」です。長い年月をかけて黙々と荒地に木を植え続ける男、エルゼアール・ブフィエ氏。名誉も報酬も求めず、自分のやるべきことに身を尽くす。その一人の男の行いが、大地を甦らせ、人々の荒んだ心をも変えてしまう。これ以上に崇高な行ないはありえないでしょう。この本の中に、代議士や政府のお偉いさんが、ブフィエ氏の森を視察する場面があります。そのお偉いさんたちは、「あれやこれやと、むだな理屈を述べ立てたあと、なにやら対策を取り決めたらしいが、幸いなことにほとんど実行に移されなかった」そうです。自分はもしかしたら、こっちのお偉いさんたちのように、あれこれとむだな理屈ばかり述べてないだろうかと不安になりました。理屈を述べるよりも、ブフィエ氏のように寡黙な行動の方がはるかに素晴らしいと信じます。でも、残念ながら現代社会、特にアメリカなんかに住んでいると、理屈を述べないと生き残れないという面もあるんです。少なくともこれからは、「木を植えた男」を見習って、理屈と行動のバランスに気をつけたいと思います。



「エコツーリズムってなに?」

著者・発行小林寛子  河出書房新社 2002
感動度☆☆☆実用度☆☆☆☆
娯楽度☆☆ファッション度☆☆☆☆
感 想フレーザー島ってご存知ですか?フレーザー島は、僕が住んでいた豪州ブリスベンの北側にある世界最大の砂の島で、ユネスコの世界遺産にも登録されています。この本は、そのフレーザー島のエコリゾート開発に携わって以来、日本向けエコツーリズム商品のマーケティングを手掛けている小林寛子さんの著書です。小林さんとは、僕がブリスベン在住時にお知り合いになりました。とても素敵なお姉さまです。

エコツーリズムの定義は、「環境を保全し、地元の人々の福利を持続可能としている自然の豊かな地域への責任ある旅行」なんだそうです。それと、小林さんによると、環境に対する教育的要素がツアーに含まれていることが重要なんだそうです。これは、僕がグレート・バリア・リーフを訪れた時に感じたことと同じです。お金を払って航空券を買えば、地球上のあらゆる所に行ける時代です。旅行者ひとりひとりが、いかに環境に優しい旅の仕方をするかに、地球の未来は大きく左右されるかもしれません。この本は、オーストラリアだけでなく、世界中のエコツーリズム事情を簡潔に紹介していて、とても参考になりますよ。



「NIMBYシンドローム考」

著者・発行清水修二  東京新聞出版局 1999
感動度☆☆☆実用度☆☆☆☆☆
娯楽度☆☆ファッション度☆☆☆
感 想この本には「迷惑施設の政治と経済」という副題がついています。「NIMBY」とは「Not In My Back Yard」の略で、直訳すると「うちの裏庭にはごめんだ」となります。「施設の必要性は認めるけれど、うちのそばには建設しないで」という迷惑施設に対する住民感情をあらわす英語です。この本は、ゴミ処理場、原発、基地という三つの迷惑施設にしぼって、その立地について考察したものです。「造る側と造られる側」のどちらが地域エゴなのかなど、具体例をあげて議論していて、大学院などの教科書にも使えそうです。迷惑施設と呼ばれる個々の施設が、その地域に本当に必要かどうかということ、そして必要だとしたら立地場所をどこにするかということを、「政治的」にではなく「民主的」に決定することが大事なんだと私は思います。その「民主的」な決定プロセスには、住民参加と情報公開が欠かせませんが、それだけでも足りないような気がします。ちなみに、迷惑施設は英語で「Locally Unwanted Land Use」で、略して「LULU」とも言われます。


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