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KEICHO'S BOOKSHELF


私はこういう本を読んできました。私の読書の記録です。各評価項目の最高値は五つ星とします。

このページは最新の読書記録を掲載しています。過去の慶長の本棚はこちらからどうぞ(ジャンル別になっています)。



No.131 「アフリカの瞳」 [NEW]

著者・発行帚木蓬生  講談社 2004
感動度☆☆☆☆☆実用度☆☆☆
娯楽度☆☆☆☆ファッション度☆☆☆☆☆
感 想帚木蓬生氏のアフリカ・シリーズ第二弾。前回の「アフリカの蹄」は天然痘の話でしたが、今回はHIV/AIDSです。いずれも南アフリカが舞台で、今回はちょうど僕自身の南アフリカ出張中に読んでいたので、妙にリアリティがありました。内容は、現地に溶け込んだ日本人医師が、南アフリカ政府のニセ薬政策や、アメリカの製薬会社の理不尽な新薬の治験と戦うというものです。現地人の信頼を一身に背負う信念の男、主人公の作田医師がとにかくカッコいい。途上国を相手に仕事をする僕の、目指すべき理想像と言っても過言ではないでしょう。エイズ問題ばかりではなく、南北問題や開発援助を考える際にも参考になる一冊で、無条件にお薦めします。ちなみに「アフリカの瞳」という題名は、「この国(南アフリカ)はアフリカの中でも特殊です。いろんな問題がこの国に集約されています。この国にいるとアフリカがよく見える。アフリカだけでなく、世界がよく見える」ということだそうです。



No.130 「時代はブログる!」

著者・発行須田 伸  アメーバ・ブックス 2005
感動度☆☆☆実用度☆☆☆☆
娯楽度☆☆☆☆ファッション度☆☆☆☆☆
感 想僕も利用していますが、「アメブロ」を提供しているサイバーエージェント社の局長さんが書いた本です。自分とブログの関わりから、ブログ界の巨匠へのインタビュー、最後はブログとメディアや広告との話まで盛りだくさんでした。でも、自分もブログをやっているせいか納得できる話が多くて、スイスイとあっという間に読んでしまいました。ちなみに、サイバーエージェントのCIロゴが「アメーバ」なのは、「形にこだわらずに貪欲に成長を志す」という姿勢を反映しているのだということも、この本で知りました。

さて、どういうところに納得したかというと、例えば「書けば書くほど、もっとこの話もしたい、あの話もしたい、って具合に書くことへの欲望の扉がどんどん開いていく」という中谷彰宏氏の言葉。本当にそうだよなあと思います。僕なんか、ネタがありすぎて困っている。向こう一週間くらいのネタは既に持っているし、毎日毎日新しいネタが増えていくのです。

「ふうん、そうなのかなあ」と少し疑問に思ったのは、「家族や会社、学校がコミュニティとしての機能を急速に失いつつある今、ブログが精神の救いの場を担う」という一文です。人によってはそういう側面もあるのでしょうか?でも、そうだとしたらちょっと寂しいような気もします。僕にとっては、ブログは所詮は遊び。精神の救いは、他に求めたいです。



No.129 「今週、妻が浮気します」

著者・発行GoAhead & Co. 中央公論新社 2004
感動度☆☆☆実用度☆☆
娯楽度☆☆☆☆ファッション度☆☆☆☆☆
感 想この本は、「OKWeb コミュニティ」というサイト内の匿名掲示板に寄せられた一連の投稿を書籍化してものだそうです。帯には、『「電車男」を越える大人の愛の物語』とありました。ハッキリ言って、読み物としては「電車男」に匹敵するくらい面白かったです。

主人公の相談者は、妻が浮気相手とホテルに行く約束を妻の携帯から盗み見てしまいます。二人の子供を抱え、妻をまだ愛しているという彼は、離婚すべきか、妻を許してやり直すべきか、悩んでいます。それに対して掲示板の閲覧者たちが匿名でアドバイスをするという内容です。この相談者はひとつひとつのアドバイスにいちいち丁寧にお礼のコメントを返していて、誠実な性格がうかがえます。でも文面からすると、彼はほとんど職場からこのネット掲示板を利用しているようですね。「そんな時間があったら家に早く帰って妻ときちんと話し合えよ」と思ったのは僕だけでしょうか。ともあれ、結末は結構意外な展開です。最後は、「勝手にしやがれ!」と思ってしまいました。



No.128 「となり町戦争」

著者・発行三崎亜記  集英社 2005
感動度☆☆☆実用度☆☆
娯楽度☆☆☆ファッション度☆☆☆
感 想不思議な小説でした。ある日、町役場からの広報で、となり町との戦争が始まったことを知らされる。戦争は事業として淡々と進められ、死者も出ているらしいが、実感がないままに終わっていく。この戦争は何なんだ。戦闘が見えないし、リアルじゃない。自分の町で起きているのに、まるで遠い砂漠の国で起こった戦争のニュースを聞いているみたいだ。

筆者はこの小説で何を訴えたかったのでしょう。この本を読んだひとりひとりは、戦争についてどう考えるんでしょうか。「自分の町と、となり町の戦争」、「どこかの大国と砂漠の遠い国の戦争」、「ニュースになる戦争と、ならない戦争」、「リアルな戦争と報道で知る戦争」、「大義のある戦争と事業としての戦争」、僕はそんなことをいろいろと考えさせられました。やっぱり「不思議な小説」としか形容できません。第17回小説すばる新人賞受賞作だそうです。



No.127 「よくわかる!ソーシャル・ネットワーキング」

著者・発行山崎秀夫・山田政弘  ソフトバンク・パブリッシング 2004
感動度☆☆実用度☆☆☆☆
娯楽度☆☆ファッション度☆☆☆☆☆
感 想巷で話題の「ソーシャル・ネットワーキング」を初めて解説した本らしい。僕も「GREE」と「mixi」に足を突っ込んではいますが、あんまり活用しているとは言い難いので、この本を読んでみました。海外の「ソーシャル・ネットワーキング」が紹介されていたり、日本のものでも僕の知らないのがいくつかあったりで、情報量としてはまずまず。でも、読み物としてはあんまり面白くないですね。まあ、解説書なんてこんなものでしょうけど。それと、図やイラストがふんだんに使われているのですが、理解の手助けになるような図はほとんどありませんでした。そもそも、「ソーシャル・ネットワーキング」はわざわざ図解しなくてもいいんじゃないのというのが、率直な感想です。

この本で記憶に残ったのは、「弱い絆の強さ」という言葉です。友達の友達や、あるいは一定のテーマに基づくコミュニティといったネット上の絆のことですが、僕自身も最近、このネットワークが気になっています。こういう「弱い絆の強さ」をうまく使って、地域や社会を変える何らかのムーヴメントを起こせないかと真剣に思っているのです。



No.126 「野球は言葉のスポーツ」

著者・発行伊東一雄・馬立 勝  中公文庫 2002
感動度☆☆☆☆実用度☆☆☆
娯楽度☆☆☆☆ファッション度☆☆☆
感 想この本は、1991年に中公新書から出版された「野球は言葉のスポーツ」の改訂・復活版です。実は、もう10年近くこの本を探していたのですが、最近たまたまこの復活版の存在を知り、アマゾンで取り寄せたのです。そのため、この本を手にしたときは、長い片思いが実ったような気持ちになりました。内容も、期待通りでした。

この本は、メジャー・リーグを題材にした、名言や迷言の宝庫です。選手や、監督、審判、記者、球団経営者、さらにはアメリカ大統領までが、野球に対して気の利いた一言を発しています。「(野球で)最も面白いのは8対7の試合だ」というよく知られた言葉は、元々ルーズベルト大統領の言葉だったということも、この本で知りました。そういう名言の紹介と共に、メジャー・リーグの数々の歴史や多くのエピソードが掲載されていて、かなり勉強にもなりますよ。野球好きには本当にたまらない一冊です。



No.125 「1日5分の口コミプロモーションブログ」

著者・発行長野弘子・増田真樹 英治出版 2004
感動度実用度☆☆☆☆☆
娯楽度☆☆ファッション度☆☆☆☆☆
感 想僕も最近「WASHINGTON 通信」のブログ・ヴァージョンをやっていますが、今ブログを始める人が凄い勢いで増えているようです。この本を読めば、ブログとは何なのか、ブログはどう使いこなせばいいのかなど、ブログの全てが分かると言っても過言ではないでしょう。とにかく、ブログに関する情報が満載の本なのです。様々なブログ・サイトやブログ関連ツールのURLも数多く掲載されていて、有用ですよ。以下には、本書に出てきたブログの魅力や特徴に関する記述をいくつか抜粋しておきます。いやあ、ブログって本当にいいですね。

「大勢のブロガーによる情報発信が強調し始めたとき、ジャーナリズムに似た威力を持つことが世間に認められてきた」
「マスコミがあまり取り上げない重要なニュースの数々が、ブログにより発信されていて、今まで気づかなかった視点に触れる機会が増えている」
「少数が多数に情報を配信するようなシステムから、多数から多数へ情報をやりとりするモデルへとメディアの仕組みが変わりつつある」
「ブログは新しいタイプの履歴書と言えて、学歴や職歴よりも、自分が何を考えているかといった人間性や価値観をアピールできる」
「ブログは単なるコンテンツ管理システムではなく、コミュニケーションを前提とした仕組みであり、ブレインストーミングのためのツールである」



No.124 「定年ゴジラ」

著者・発行重松 清 講談社文庫 2001
感動度☆☆☆☆実用度☆☆
娯楽度☆☆☆☆☆ファッション度☆☆☆
感 想成田の本屋でユニークなこの題名が目に留まり、思わず買ってしまいました。ふつうの家族を題材にした温もり溢れる重松氏の小説は、これで何冊めだろうか。この本も期待に違わず、ちょっぴりの切なさと沢山の温かさに満ちていました。

この本は、開発から何十年も経つニュータウンで定年を迎えたオジサンたちの話です。暇を持て余すオジサンたちが、家族やコミュニティや自分の生活のことで悩む普通の日々が題材なのです。短編の連作という形式で、八話から成っています。僕自身、まだこういう定年後の生活の話を読むには年齢的に早いような気もしましたが、かなり楽しめました。著者は1963年生まれですから、僕と同い年です。どうして、定年後のオジサンたちの気持ちがこんなによく描写できるのだろうかと、いたく感心しました。ちなみに「定年ゴジラ」という題名は、映画のゴジラが街の建物を踏み壊すように、オジサンたちが自分たちのニュータウンの模型を踏みつぶすという第一章の話から来ています。



No.123 「電車男」

著者・発行中野独人 新潮社 2004
感動度☆☆☆☆実用度☆☆
娯楽度☆☆☆☆ファッション度☆☆☆☆☆
感 想話題の「電車男」を一気に読み終えました。インターネットの掲示板「2ちゃんねる」でのやりとりが、そのまま本になってしまったという斬新さ。オタク用語や顔文字、アスキー・アートもそのままで、臨場感は抜群です。僕は最初、表紙カバーの下に隠れている「用語解説」を頻繁にチェックしていましたが、途中からはそれも必要なくなりました。

内容をちょっと紹介しておきますが、まるで純愛ドラマのようでした。「アキバ系オタク(この言葉自体もどういう意味か、よう分からん)」のモテナイ独身男が、電車の中で酔っ払いに絡まれた女性を救い、お礼にと「エルメス」のティー・カップをペアで貰います。掲示板の中ではこの男が「電車男」と呼ばれ、カップを贈った女性が「エルメス」と呼ばれています。名前も顔も知らない掲示板の住人たちの暖かく、そして時に厳しいアドバイスに励まされながら、「電車男」が「エルメス」との恋を成就させるという物語なのです。結構、ホロリとさせられる場面もあります。この話、掲示板上では実在したのでしょうけど、実話なんでしょうね。いずれにしても、ムーミンに似ているという「エルメス」さん、いい味出しています。ファンになってしまいました。



No.122 「メリーゴーランド」

著者・発行荻原 浩 新潮社 2004
感動度☆☆☆実用度☆☆☆
娯楽度☆☆☆☆☆ファッション度☆☆☆☆
感 想荻原浩の本は久しぶりに読みました。前に読んだ「オロロ畑でつかまえて」も面白い作品でしたが、この「メリーゴーランド」も傑作でした。主人公「遠野啓一」は、民間会社から故郷の市役所に転職した地方公務員。彼が勤める人口7万人の駒谷市には、「アテネ村」というバブル時代に作られたテーマパークがあります。赤地続きの「アテネ村」の閉鎖を求める市民団体に対し、市長は四年後の単年度黒字という目標をぶち上げ、「アテネ村リニューアル推進室」という部署を新設したのです。「遠野啓一」はこの部署に配属され急に忙しくなります。さて、彼はアテネ村を救えるのか?

最後の方で、このアテネ村の存続を争点として市長選が行われます。現職市長の対抗馬は、アテネ村閉鎖を強く訴える市民派の女性候補。その女性候補の応援ボランティアとして、「遠野啓一」の妻が夫に内緒で活動していたのです。さて、市長選の行くへはどうなるのか?啓一夫婦の将来はどうなるのか?とまあ、いろいろ興味を煽っておきましょう。

この本は、よく練られたストーリー性とユーモラスな文章の中に、現代の日本社会が抱える問題点を鋭くブレンドさせています。それは、ハコモノ行政や役所と業者の癒着といった問題から、役所の事なかれ主義、職場でのお茶汲みやオフィスでの禁煙といったものまで含まれます。少なくとも、日本の地方公務員は必読の一冊でしょう。



No.121 「世界ビジネスジョーク集」

著者・発行おおばともみつ 中公新書ラクレ 2003
感動度実用度☆☆☆
娯楽度☆☆☆☆ファッション度☆☆☆
感 想筆者は、元大蔵省の国際金融局長や財務官を務めた方だそうです。その彼が国際舞台で耳にしたジョークを集めた本です。やはり、金融や経済のジョークも多く掲載されていますが、こういうジョークはあんまり笑えませんでした。僕も気の利いたジョークを英語で言えるようになりたいので、まあ、いくつかのジョークは参考になりました。一番面白かったのは、「アイルランド人のようにシラフで、イギリス人のように料理が上手く、フランス人のように謙虚で、イタリア人のように秩序正しく、......」と延々と続くジョークです。これはEU各国の国民性の反対を的確に表しているのだそうです。

もうひとつ紹介すると、「世界で一番幸せな男は、アメリカで給料を取り、中国料理を食べ、イギリスの家に住み、日本人の妻を持つ。世界で一番不幸な男は、中国で給料を取り、イギリス料理を食べ、日本の家に住み、アメリカ人の妻を持つ」というのもありました。アメリカで給料を取り、アメリカの家に住み、日本人の妻を持つ自分は、結構幸せな方かもしれないなあ。



No.120 「伝わるWeb文章デザイン100の鉄則」

著者・発行益子貴寛  秀和システム 2004
感動度実用度☆☆
娯楽度☆☆ファッション度☆☆☆☆
感 想アマゾンの書評がとても良かったので買った本ですが、ハッキリ言って期待はずれでした。ウェブサイト用に文章を書く場合の注意事項が分かり易く曹ゥれてはいますが、新しい知識はほとんど得られませんでした。当初、「文章の改善こそが最大のアクセスアップ法だ」というコンセプトには共感していたのですが、これを読んだ後は、その考えが少し変わりました。どう変わったかというと、「テクニック」より何より「文章の中味」で勝負しようと思ったのです。「中味」あっての「デザイン」であり「テクニック」でしょう。中味をおろそかにして、テクニックだけに走ってはいけないですよね。ということで、もうこの手の本を読むのはしばらくやめにしようかなと思っています。



No.119 「コメント力」

著者・発行齋藤 孝  筑摩書房 2004
感動度☆☆☆実用度☆☆☆☆
娯楽度☆☆☆ファッション度☆☆☆☆
感 想「コメント力」という題名にひかれて成田空港で衝動買いしてしまった本です。「できる人はここがちがう」という副題も付いています。要するに、「できる人は、いろんな場面で気の利いたコメントを発する能力がある」というのです。これには全く同感で、話や文章がまとまっていて面白い人は魅力的ですよね。インターネットの世界でも、掲示板やブログへの書き込みコメントが上手い人は尊敬してしま「ます。

この本には、「コメント力」トレーニング集や、テレビや映画の面白いコメントなども多く掲載されていて、読み物としても結構楽しめました。その中でも筆者は、「天才バカボン」のバカボンのパパや、「エースをねらえ」の宗方コーチ、「ムーミン」に出てくるスナフキンなど、古いアニメ番組のコメントを数多く引用しているところが興味深かったです。

最後に、この本で印象に残った言葉を忘れないように書き留めておきます。
「(映画などの)作品にコメントする時、それはどういう時にお勧めなのか、誰にお勧めなのかを限定するクセをつける」
「沢山の知識の中から、これはあれに似ていると指摘するのはひとつの方法である」
「何を見ても自分ならどうだったのかと考える習慣をつけておく」
「人をほめる時に、『誰々さんが素敵だと言っていた』と第三者の声をのせるとリアリティが生まれる」
「ともかく話を聞いたら、それに対して何も質問せず、アドバイスもしないのは失礼である」



No.118 「判断力」

著者・発行奥村 宏  岩波新書 2004
感動度☆☆実用度☆☆☆
娯楽度ファッション度☆☆☆
感 想この筆者によると、今の日本の混迷状態は、政治家や経営者やジャーナリストや学者に判断力が欠けていることに起因しているとのことです。政治家は自分で判断せずにアメリカに判断を任せ、ジャーナリストや「御用学者」は権力志向で権力にすり寄っていると言うのです。こういう指摘は、かなりの部分で当たっているような気がします。

それでは、どうすれば判断力がつくのでしょうか。この点についても筆者は触れていますが、「新聞などを自分でしっかり考えながら読むこと」とか「他人と論争をすること」など、あたりまえの意見が多かったようです。結局、判断力をつけるには、その個人の人生においてどういう修羅場でどういう判断をしてきたかという経験がモノを言うんでしょうね。いつも他人に判断を任せていたのでは、判断力がつく訳はないのです。優れた判断力を持ったリーダーよ、輩出せよ。



No.117 「翼はいつまでも」

著者・発行川上健一  集英社文庫 2004
感動度☆☆☆☆☆実用度☆☆
娯楽度☆☆☆☆ファッション度☆☆☆
感 想筆者は青森県の十和田の出身で、この小説の舞台も十和田です。八戸出身の僕としては、もうこれだけで読む前から期待していたのですが、その期待に応えて余りある素晴らしい青春小説でした。主人公は中学三年の野球部員。その彼がある日、三沢の米軍放送で聞いたビートルズの曲から勇気をもらい、生まれ変わるのです。それ以来、今まで言えなかった事が言えるようになり、行動に起こせなかったことができるようになります。理不尽な先生たちとも勇気を出して対等に渡り合ってしまうのです。彼の十和田湖での初恋物語は、もう本当に感動モノです。僕なんかはこれを読んで「ああ、中学時代に戻りたいなあ」、「青春っていいなあ」と本気で思ってしまいました。ちなみに、この小説は「本の雑誌が選ぶ2001年度ベスト1」と「第17回坪田譲治文学賞」を受賞しているそうです。おススメですよ。



No.116 「尻が赤くないものはサルではない」

著者・発行沖田 浩  幻冬舎 2004
感動度実用度☆☆
娯楽度☆☆☆ファッション度☆☆
感 想この本の帯には、「会議に小論文にすぐ役立つ....」とありますし、題名も面白そうなので、思わず買ってしまいましたが失敗でした。この本には、筆者が「ロジカル・パズル」と呼ぶ問題がいっぱい出てきて、それらのロジカルな解き方を解説してくれています。読みやすいし、とても分かりやすく書いてはくれていますが、これらが会議や小論文に役に立つとは思えません。中味の大半は、昔数学で習った「集合」や「逆・裏・対偶」の話で、まあ数学の試験くらいには役に立つかもしれませんけど。

参考になったのは、一つのケーキを二人で分ける方法くらいでしょうか。この答えは、片方にケーキを切らせて、もう一方に先にケーキを選ばせるというやり方です。でも、これだって会議の役には立たないでしょう。ケーキを食べながらの会議を穏便に済ませるには役立つかもしれませんけど。



No.115 「バイリンガルの子供たち」

著者・発行唐須教光  丸善ライブラリー 1993
感動度☆☆☆実用度☆☆☆☆
娯楽度☆☆ファッション度☆☆☆☆
感 想この本には、バイリンガルとして育てられた筆者の子供たちの記録が書かれています。それと共に日米の教育の違いや、日本の高等教育を国際化するための大胆な提言も載っていて、大変興味深かったです。筆者は社会言語学者で、アメリカの大学で何年かを過ごした後、日本に戻っても子供たちを日本の学校には行かせず、インターナショナル・スクールに通わせました。「日本よりアメリカの方がいい大学があるのに、外国にあるからという理由だけで行かない手はない」、「世界中どこでも好きなところで生きていったらよい」と、大学もアメリカの大学へ送り出しました。僕自身もアメリカで子育てをしていて、こういった考えにはとても共感できる部分が多いです。

その他に印象に残った言葉を以下にちょっと記録しておきます。
「アイデンティティーというのは一つでなくてはならないということはなくて、日本人でありながら、平和を愛する地球人であるということもありうる」
「義務教育の『義務』は国が国民に対して負うている義務であって、国民が国に対して負うているのではない」
「学問は芸術と同様、その本質において国境を持たない」
「外の世界に飛び出して『他流試合』をして自分をより鍛えよう」
「日本文化をも英語で語れる人たちがどんどん出てくることによって、他の国の人々との相互理解が確実に推進される」



No.114 「行儀よくしろ。」

著者・発行清水義範 ちくま新書 2003
感動度☆☆実用度☆☆☆☆
娯楽度☆☆☆ファッション度☆☆☆
感 想ちょっと変わった教育論でしたが、なかなか納得できる部分も多かったです。筆者は、最近よく言われている「日本の児童生徒の学力低下は、大した問題じゃない」という。学力は知力の一部であり、本当に問題にすべきなのは、様々な能力を総合した知力の方であると訴えています。これには全く同感です。さらに筆者は、オリンピックでどういう応援をするかとか、道を聞かれたらどう答えるかとか、困っている人をどう助けるかとか、そういう生活習慣の美や、正しい日本語や日本文化の継承を可能にするのが教育の役目だと言っています。これを一言で表現すると、「行儀よくしろ」となるのだそうです。かつて日本人は、どこへ行っても本当に行儀がよかったのだと思います。最近は、お行儀の悪くなった日本人が増えたのでしょう。「行儀よくしろ」と、僕も自分で自分に時々言い聞かせようと思います。



No.113 「男の引き際」

著者・発行黒井克行 新潮新書 2004
感動度☆☆☆実用度☆☆☆
娯楽度☆☆☆ファッション度☆☆☆
感 想この本は、スポーツ界、芸能界、ビジネス界、政界などの9人の男の様々な引き際について考察したものです。ボロボロになるまで完全燃焼した野球の江夏と相撲の寺尾、東京地検特捜部から「さわやか福祉財団」に転身した堀田力、惜しまれながらも引退したドリフターズの荒井注などの引き際が描かれています。一番好きだったのは、普賢岳噴火後の島原市復興に奔走した元島原市長・鐘ヶ江氏の引き際でした。鐘ヶ江市長は四期目へ立候補する予定でしたが、思わぬ対立候補が立候補したことで、街を二分する選挙を回避し、復興の空白期間をつくらないために自らの立候補を取りやめたのです。その他1969年のいわゆる「黒い霧事件」で、永久失格としてプロ野球を追放された池永正明の話も興味深かったです。

著者によると、潔い引き際を飾った男たちに共通するのは、「迷いが無いこと」だそうです。引退や転身、早期退職など、長年の自分の持ち場から身を引くことを決めるのは、かなり難しい判断を強いられます。しかし、結局は自分で決めるしかないのです。「登る勇気より下る勇気」と言われるように、タイミングを見極めて、辞めるときはできれば惜しまれて辞めたいものです。さて、僕の引き際はいつになるのだろうか。



No.112 「あんたのバラード」

著者・発行島村洋子 光文社 2004
感動度☆☆☆実用度☆☆
娯楽度☆☆☆☆ファッション度☆☆☆☆
感 想この本には女性が好みそうな切ない恋愛短編小説が、八話つまっています。こういう本は普段あんまり読まないのですが、この本を読んでみて「こういうのも嫌いじゃないなあ」と思いました。この本は成田空港で見つけ、題名に惹かれてつい買ってしまったのです。そう、あの懐かしい「世良公則&ツイスト」の大ヒット曲です。

実は、この本に納められている八話全部のタイトルに、懐かしいヒット曲の題名が使われているのです。そのヒット曲が小説の中にいろんな形で織り込まれていました。どんな曲かというと、上田正樹の「悲しい色やね」とか、チェッカーズの「星屑のステージ」とか、BOROの「大阪で生まれた女」とか、最後はツイストの「あんたのバラード」です。どれも懐かしい曲ばかりですが、ひとつだけシャ乱Qの「いいわけ」が入っています。これだけちょっと新しい曲のような気がしました。

著者の島村洋子さんは、1964年生まれですから、僕とひとつ違いです。この本に取り上げられた曲は、彼女の青春時代と重なっているということですが、そのまま僕の青春時代とも重なっています。あの頃、こういう歌をよく聞いたり歌ったりしていたっけ。ちなみに、世良公則の歌では「Love Song」という歌が一番好きでした。



No.111 「空中ブランコ」

著者・発行奥田英朗 文藝春秋 2004
感動度☆☆実用度
娯楽度☆☆☆☆ファッション度☆☆☆☆
感 想奥田氏による「精神科医・伊良部シリーズ」の第二作目です。先週発表された今年の直木賞の受賞作でもあります。前作の「イン・ザ・プール」が面白かったので、この「空中ブランコ」が直木賞の候補にノミネートされる前に購入していました。でも、この本が直木賞と聞いた時はちょっと驚きました。なぜって内容がハチャメチャ過ぎるから。

前作同様この本は、精神に支障をきたした患者が精神科医の伊良部を訪ねるという同じパターンのいくつかの短編小説で構成されています。表題作になっているのは、空中ブランコを飛べなくなったサーカス団員の話ですが、僕が一番面白いと思ったのは、小説を書き出すたびに「あれっ、このストーリーは以前に書いたんじゃないか」と感じて小説が書けなくなる女性作家の話でした。でも全体的には前作「イン・ザ・プール」の方が面白かったような気がします。伊良部医師の診察パターンに慣れてしまったせいかもしれませんが。

それにしても、100キロを超える巨漢の伊良部医師の容姿を表現する文章を読むたびに、「これは絶対に、ロッテからメジャーに行き、日本球界に戻ってきた伊良部投手がモデルなのではないか」と密かに思っています。奥田さん、そうですよねえ。



No.110 「インターネット的」

著者・発行糸井重里 PHP新書 2004
感動度☆☆実用度☆☆☆
娯楽度☆☆☆☆ファッション度☆☆☆☆☆
感 想糸井さんがやっている「ほぼ日刊イトイ新聞」というサイトには、一日に30万を超すアクセスがあるらしい。そんな糸井さんが、「インターネット」についてと言うより「インターネット的社会」について書いた本です。結構面白かったですよ。糸井さんによると、インターネット的という場合には四つの鍵があって、それらは「リンク」、「シェア」、「フラット」、そして「グローバル」だそうです。人と人がリンクし、情報をシェアし、価値観がフラットになり、これがグローバルなスケールで起こるということです。もうそういうことは社会の至る所で起きており、インターネットが大きな役割を果たしているのは言うまでもありません。

この本で僕がナルホドと思ったのは、「インターネットにつながっている人よりも、まだつながっていない人たちにこそ伝えなければならない」という言葉でした。このホームページを運営している僕にとっても、似たようなジレンマがあります。僕のサイトには、主に国際機関や途上国開発などに興味を持っている人たちが訪れてくれているようですが、そういった問題に興味がない人にいかに伝えていけばいいのでしょう。どうやったら、そういった人たちに少しでもこのサイトを訪問してもらえるのでしょうか。この課題に対する僕なりの答えは、まだ出ません。「つながっていない人をいかにつなげるか」、糸井さんのサイトで研究してみようと思います。


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( http://www.keicho.com )