感 想 | 帚木蓬生氏のアフリカ・シリーズ第二弾。前回の「アフリカの蹄」は天然痘の話でしたが、今回はHIV/AIDSです。いずれも南アフリカが舞台で、今回はちょうど僕自身の南アフリカ出張中に読んでいたので、妙にリアリティがありました。内容は、現地に溶け込んだ日本人医師が、南アフリカ政府のニセ薬政策や、アメリカの製薬会社の理不尽な新薬の治験と戦うというものです。現地人の信頼を一身に背負う信念の男、主人公の作田医師がとにかくカッコいい。途上国を相手に仕事をする僕の、目指すべき理想像と言っても過言ではないでしょう。エイズ問題ばかりではなく、南北問題や開発援助を考える際にも参考になる一冊で、無条件にお薦めします。ちなみに「アフリカの瞳」という題名は、「この国(南アフリカ)はアフリカの中でも特殊です。いろんな問題がこの国に集約されています。この国にいるとアフリカがよく見える。アフリカだけでなく、世界がよく見える」ということだそうです。 |