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慶長の本棚

旅行記・海外関係(1)





「国境お構いなし」 [NEW]

著者・発行上野千鶴子  朝日新聞社 2003
感動度☆☆☆実用度☆☆☆
娯楽度☆☆☆ファッション度☆☆☆
感 想2001年8月から始めたこの「慶長の本棚」ですが、記念すべき百冊目はこの本です。上野千鶴子という名前は何度か耳にしたことはありましたが、この人の著作を読むのはこれが初めてでした。この本は、社会学の教授である彼女が、客員教授として半年ずつ滞在したメキシコとニューヨークでの体験記です。学者だけあって結構難しい表現もありますが、異文化に対する鋭い社会学的考察も多く、久々に読み応えのある本でした。この本の中に出てくる文章で、僕が「これは同感」と思ったものを以下に少し抜き出しておきます。これらを見ると、あなたもこの本が読みたくなるはずです。

「国境の壁を越えることよりも、階級の壁を越えることの方が難しい」
「差別の原因を差別される側に求めてもムダである。それは差別する側の問題に他ならない」
「日本社会は、ノイズとなるこのような(高学歴の)女性を海外へと排除することで、社会を内部から変革する芽を摘んでいる」
「アメリカ人の国際知らずはいちじるしい。ということは、彼らは自分達の社会の特殊性に無知だということでもある」
「本当に大事なのは語学よりも何が何でも伝えたいという意志の力である」
「語学は失敗をして恥をかきながら覚えるものだ。女は恥を知らないから語学が得意だ」



「世界地図から地名を語る本」

著者・発行辻原康夫  光文社・知恵の森文庫 2002
感動度☆☆実用度☆☆☆☆
娯楽度☆☆☆ファッション度☆☆☆
感 想日本と世界の地名にまつわる面白い話や退屈な話が、たくさん詰まっている本です。結構、勉強になりました。以下に、本書に出てくる話を少しだけ紹介します。

「パキスタンという国名は、あの地域を構成する地名や関連語の頭文字を貼り合わせたもので、パンジャブのP、アフガンのA、カシミールのK、イスラムのI、シンドのS、バルチスタンのSTANからできている」
「タンザニアは、大陸側のタンガニーカと、インド洋の島ザンジバル、そして昔ギリシャ人が呼称していた地域名アザニアの合成語である」
「世界最高峰のエベレストは、インド測量局の長官ジョージ・エベレストの名を称えて命名された。中国ではこの山をチョモランマと呼び、これはチベット語で水域の聖なる母を意味する。そしてネパールでは、サンスクリット語で大空の頭という意味のサガルマータと呼んでいる」

その他にも、インドネシアのバリ島にあるキンタマーニや、オランダはハーグ郊外のスケベニンゲン(助兵衛人間?)など、おもしろ地名も満載です。巻末には地名索引も付いているので、ちょっとした「地名事典」としても使えるかも。とにかく保存版の一冊です。



「カウラの突撃ラッパ」

著者・発行中野不二男  文春文庫 1991
感動度☆☆☆☆実用度☆☆☆
娯楽度☆☆☆☆ファッション度☆☆
感 想クィーンズランド大学のKAZUさんにお借りした本です。「せっかくオーストラリアに来たんだから、この本は絶対読んでおいた方がいいですよ」という彼の言葉を信じて正解でした。「カウラ」というのは、シドニーの西にあるニュー・サウス・ウェールズ州の田舎町で、第二次大戦中に連合軍の捕虜収容所があった所です。そのカウラの捕虜収容所で、終戦の約1年前、日本人捕虜たちが引き起こし、234人の死者を出した大暴動がこの本の題材です。戦争を知らない世代の著者は、その大暴動の先頭で突撃ラッパを吹き最後は自決した「南忠男(南の国で忠義を尽くす男という意味の偽名)」という零戦パイロットの謎を追い求めることで、この大暴動の裏にあった「真実」を明らかにしていきます。その「真実」とは、他人の眼を意識し、自分の意思を表明せず、非論理的で、他者依存もはなはだしい「日本的意志決定のメカニズム」でした。

オーストラリアと日本での資料収集、数少ない生存者への面接、アンケートの実施、実際に自分でセスナを操縦しての現場検証などなど、著者の緻密で丹念な取材活動には読んでいても圧倒されます。その取材に基づく理詰めの分析力も見事です。オーストラリアに縁のある人だけでなく、全ての日本人にお薦めの本です。日本ノンフィクション賞受賞作。



「やった。」

著者・発行坂本 達  ミキハウス 2001
感動度☆☆☆☆実用度☆☆☆☆
娯楽度☆☆☆☆ファッション度☆☆☆☆
感 想昔、「東南アジア青年の船」に一緒に参加した仲間、達の本です。「4年3ヶ月も有給休暇をもらって世界一周5万5000キロを自転車で走ってきちゃった男」という長〜い副題がついています。彼がその旅で体験した数々の感動的な出来事を、感受性豊かな文章と素晴らしい写真を通して共有できる本です。夢を追い求める全ての人にお薦めします。自分自身、途上国を訪問し世界を相手に仕事がしたいと夢を見ていた頃の、あの「忘れかけていた熱き思い」をこの本によって思い出しました。自分には、自転車で世界中5万5000キロも走る体力と精神力があるだろうか。答えは当然ノーです。この男にはかなわないと、完全に脱帽です。アフリカでマラリアと赤痢を併発し、南米では高山病で苦しみ、50℃を越えるイランの砂漠と、氷点下30℃のチベットを凌いで生還できたのは、強運だけではなく、彼が「大自然と現地で会った人々を見方につける」能力を持っていたからでしょう。最後に、「一人くらい普通に仕事せんと、変わったことやってる奴がおってもええやないか」と、達に4年以上も有給休暇を与えた「ミキハウス」の社長さんの太っ腹には敬服いたします。こういう社長がいる企業は、さぞ働き甲斐があるんでしょうね。これからは、子供服は断然「ミキハウス」に決めました。さてこの男、次は何をやらかしてくれるんでしょうか。



「ももこのトンデモ大冒険」

著者・発行さくらももこ  徳間書店 2001
感動度実用度
娯楽度☆☆ファッション度☆☆
感 想「ちびまるこちゃん」で有名な漫画家のさくらももこさんの本です。友人のサイトーが出ているというので、半分義理で買ってみました。さくらさんが、トンデモないきっかけで、トンデモない人や場所を訪ね、トンデモない体験をしてくるというトンデモない本でした。う〜ん、「ちびまるこちゃん」は結構好きですが、この本はハッキリ言わせてもらえれば、「なんだかなあ」という一語に尽きますねえ。「こういう本が出版されているということは、もしかしたら僕でも本が出せるんじゃないか」、という変な自信をつけさせてもらったところに、この本を読んだ意味があったような気がします。それにしても、出版社のスタッフというのは、作家の気まぐれで、いろんな所に出張しなければならないんですね。



「世界がもし100人の村だったら」

著者・発行池田香代子(再話)  マガジンハウス 2001
感動度☆☆実用度☆☆☆
娯楽度☆☆ファッション度☆☆☆☆
感 想この本、ちまたで話題になっているそうです。世界がもし100人の村だったら、「30人が白人で、有色人種が70人だ」とか、「33人がキリスト教で、19人がイスラム教で、13人がヒンズー教で、6人が仏教だ」とか、「17人が中国語をしゃべり、9人が英語をしゃべる」とか、「車を持っているのは7人しかいない」とか、「コンピュータを持っているのは2人だけだ」などなどと、要するに世界の統計を全体が100人になるように比例配分したわけです。この本を読むと、いかに現在の世界が不公平であり、先進国と呼ばれている国々に住む我々が、ほんの一握りの少数派であるという事実に改めて気づかされます。

実は私は、これと同じ内容のEメールをもう4〜5年も前に、ワシントンDCで受け取りました。日本では、去年この本の内容と同じ物がEメールで多方面に転送されて話題になり、それがきっかけでこの本が出来上がったそうです。この本によると、日本でこれを去年最初に広めたのが、中野裕弓さんだそうです。「えっ、あの中野さん?」って、本を読んでいて懐かしい名前に遭遇してびっくりしてしまいました。この中野さんは、今は日本に戻っておられますが、ワシントンの世銀にいらっしゃった方です。私の結婚披露パーティーで、司会をしてくれた方でもあります。中野さん、見てますか?その節は大変お世話になりました。



「謝らないアメリカ人、すぐ謝る日本人」

著者・発行高木哲也  草思社 1996
感動度☆☆実用度☆☆☆☆
娯楽度☆☆☆ファッション度☆☆☆
感 想「えひめ丸」事件の後も話題になった「謝らないアメリカ人」ですが、そもそも訴訟社会のアメリカでは、謝るということは自分の非を認めることになり、裁判の時に不利になるのです。それに引き換え日本では、謝ると言うことが、社会の潤滑油になっており、気持ちの伴わない謝罪の乱発が見られます。この本は、この謝罪に対する考え方に代表される日米文化の違いを、生活、ビジネス、教育など幅広く比較分析しています。ナショナリスティックになることなく、非常に冷静かつ客観的な分析に好感が持てます。



「アメリカ大統領の正義」

著者・発行猪口 孝  NTT出版 2000
感動度☆☆実用度☆☆☆
娯楽度☆☆ファッション度☆☆☆
感 想題名につられて買ってしまったんですが、あまり新しい発見はありませんでした。読後感はどこか物足りなさが残りました。それと言うのも、この本は去年のアメリカ大統領選の直前に書かれているのです。たった今進行中の、2001年9月11日以降の「アメリカ大統領の正義」について読みたかったです。でも、「読書は世界認識の手法である。知的格闘の末には、思いがけない『知』の悦楽が、見たこともない『知』の地平が立ち現れる。それは如何なるタイミングで自分のビジネスとリンクしないとも限らないではないか」という記述は納得です。



「パパラギ〜はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集」

著者・発行岡崎照男(訳)  立風書房 1981
感動度☆☆☆☆☆実用度☆☆
娯楽度☆☆☆ファッション度☆☆☆
感 想もう大分前に読んだ本です(おそらく10年以上も前)が、南の島の酋長の目を通して、現代文明を強烈に皮肉った本です。「パパラギ」とは酋長ツイアビの島の言葉で「白人」の意。ツイアビによると、物には二つの種類があるそうです。現在の物質文明を支えている「人間が造り出した物」と、海や空、花や木といった「神が創り出した物」です。どちらが大事かは言うまでもありません。物質文明に溺れがちな現代人必読の書です。


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