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GLOBAL PERSPECTIVE

米国のシティ・マネジャー
〜民間方式 都市経営に〜




<自治のすがた〜海外事情(東奥日報2001年4月3日)より>

 日本の自治体の統治形態は、市民に選ばれた市長が行政のトップに君臨し、議会が政策決定ならびに行政のチェック機能を果たすという正にアメリカ連邦政府の大統領制にならったものがほとんどであろう。私はそれ以外の形態をとっている日本の自治体を実際知らない。ところがアメリカの自治体では、実にさまざまな統治形態が見られる。市長が市民から選ばれる場合もあれば、日本の総理大臣が国会議員の中から議員自身により選ばれるように、市議会議員の中から議員の投票で選ばれる市長もいる。市長の権限も都市により様々である。

議会主導型が主流

 アメリカで最も人気があり普及している地方自治の形態は、カウンシル・マネジャー型と呼ばれるものである。これは住民により選ばれた議員が構成する市議会(カウンシル)が、シティ・マネジャーと呼ばれる行政や都市経営の専門家を任命し、その専門家が議会が決定した政策の実行や自治体の運営に対して全責任を負うというものである。議会は当然シティ・マネジャーの解任権も有する。この型を採用している自治体では、多くの場合市長は議員の中から選ばれ、その役割は議会の議長を務めたり、対外的にその都市を代表するなどの儀礼的なものに限定されている。このカウンシル・マネジャー型は、取締役会と経営責任者が機能分担してその経営に当たるという民間企業の経営方式を自治体に取り入れたものと言えよう。

 今日では、アメリカの全シティ・マネジャーの7割以上が修士号を持ち、そのうち約半数は行政経営学修士(MPA)であるという正にプロ中のプロである。彼らの多くは、アメリカでは大部分の他の職業がそうであるように、自治体から自治体へと移り歩く。最近の統計では、人口2万5千人以上のアメリカの都市のうち、実に63%がこのカウンシル・マネジャー型による地方行政を行っているそうだ。

政治家より専門家

 アメリカの地方統治形態についてもうひとつの特長は、市民が住民投票により統治形態を変更する権利を与えられているという点である。市長の選考方法や権限、そしてカウンシル・マネジャー型から日本のような行政府(市長部局)と立法府(議会)の分離型への変更あるいはその反対を市民が直接選べるのである。

 最近の例では、大統領選挙と同時に行われた2000年11月の住民投票で、ネバダ州メスキーテ市の住民は現職市長により提案された現行のカウンシル・マネジャー型から市長が行政のトップに立つ日本型への変更を拒否した。また同日オクラホマ州マイアミ市の住民投票では、日本型市長制からカウンシル・マネジャー型への変更を圧倒的多数で決定した。

 過去16年間で毎年平均63のアメリカの自治体がこのカウンシル・マネジャー型を採用しているというから、その数はまだまだ増えるはずだ。アメリカ人は政治家より専門家による都市経営を選択していると言えそうだが、選択肢があるというのは実にうらやましい限りである。

慶長寿彰(八戸市出身、世界銀行本部勤務)



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