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GLOBAL PERSPECTIVE

豪州ブリスベン市長の功績
〜市民本位の行政展開〜




<自治のすがた〜海外事情(東奥日報2001年4月7日)より>

 シドニー、メルボルンに次ぐオーストラリア第3の都市ブリスベン市は、前記2市の行政区域が複数に分割されているため、オーストラリアで最大の人口(約80万人)を抱える地方自治体である。国際的観光地で知られるゴールドコーストから車で約40分という立地条件と亜熱帯という気候に恵まれて、近年特にオーストラリア内外からの移民者が急増している。

 圧倒的支持で4選を決めたばかりのそのブリスベン市のスーリー市長が、2000年秋にワシントンを訪れた際、インタビューする機会を得た。スーリー市長は1991年に初当選以来、そのリーダーシップによって、それまであまり国際的にも知名度の高くなかったブリスベン市を最も住みよい国際都市と言われるまでに大転換させた主役である。彼は青年時代のフィリピンでのボランティア体験と、アメリカでの留学体験を有する国際派である。

国際会議を招致

 様々な都市問題に対処するためには、海外の自治体と情報交換をし互いに学び合う機会が必要だと、自ら「アジア太平洋都市サミット」を企画し、96年の第1回、99年の第2回ともブリスベンで開催した。今後は1年おきに開催する予定で、第3回を2001年に電子自治体をテーマにアメリカのシアトルで行い、2003年には第4回を再びブリスベンで開催する。国際会議開催の経済効果とイメージアップ効果、あるいは市民意識の高揚を狙ってか、以降4年に1度は必ずブリスベンにこのサミットが戻ってくる計画だという。当然サミットの事務局はブリスベンに置き、市長が陣頭指揮に当たっている。最近では、世界の自治体で初めて世界銀行と人事交流協定を結び、実は私がその第1号として2001年半ばからブリスベン市庁に出向することになっている。

 そのほかにもスーリー市長の功績は、オーストラリア最大の廃棄物リサイクルや下水処理水の再利用といった環境保護政策の導入や、全市民にインターネットの利用を可能にし市民と行政をオンラインで結ぶ電子自治体実現に向けての始動が挙げられる。

93%の市民が満足

 しかし特筆すべきは、市のサービスを利用した市民の93%が満足を表明したという驚異的な数字が示すように、市民本位の行政を展開している点である。市民は自治体にとって顧客であると同時にオーナーでありパートナーであるという立場をとり、さまざまな市民主導の活動を行政が後押ししている。その好例は、コミュニティー補助金制度という地域住民自らが企画・実行する活動に対して市が資金的支援をするというものである。あるいは、地域の住区計画策定には住区の代表が主導し、市は全市的な立場からアドバイスを加えるといった後方支援に徹している。

 このように21世紀の地方自治は、行政が主導する施策に市民が受動的に参加するのではなく、市民自らが積極的に主導する街づくりを、行政側が支援するという形に転換していくことが求められているのではないか。スーリー市長は、「市の長期的全体像(ビジョン)、それに向けた行動計画、その実行を裏付ける予算措置のすべてがつながることが必要だ。市長職の魅力は街の変革に自分が貢献できるという一点に尽きる」と話している。

慶長寿彰(八戸市出身、世界銀行本部勤務)



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