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GLOBAL PERSPECTIVE

地方分権と住民主権の世界事情




<八戸都市問題研究会・基調講演(2001/5/26)より>

 みなさんこんにちは。慶長です。お久しぶりの方、初めての方、いらっしゃいますが、この5月まで世界銀行、ワシントンDCのほうに約7年ほどおりまして、主に途上国の地方自治体の育成とか、都市問題、環境問題の解決のためのお手伝いをしてきました。今度6月1日からオーストラリアのブリスベンの市役所に出向します。1年の予定ですが、ブリスベンとかオーストラリアは世界的にも地方自治の分野では先進地ですから、いろんなことを勉強してきて、世界銀行に帰ってきたときに、また途上国の自治体の育成に役立ててくれと言うことがこの出向の主旨です。

 今回は「地方分権と住民主権の世界事情」という題名はあまり気にしないで、しゃべりたいことをしゃべりますが、東奥日報に「自治のすがた〜海外事情」と題して4月1日から6回連載したんですが、皆さん読んでいただけましたでしょうか。もしまだ読んでない人がいたら、あそこに座っている山村さんのホームページで読めますので是非読んでください。それからもうひとつPRをしたいのですが、6月の中旬、日にちはまだ決まってないらしいのですが、Be−FMというやつに出ますので、この間録音してきました。お昼頃から月曜日にやっている「おんであんせ」という番組だそうです。10分か15分ぐらいの短い番組らしいんですが、よかったら聞いてみてください。

 そういうことで、ワシントンからオーストラリアへの転勤の合間にちょっと立ち寄ったということで、八戸には5日ほど滞在し、月曜日に三沢から飛びますが、八戸に来てからいろんなことをしてました。まず、湊中学校と江南小学校というところで子どもたちと発展途上国についてお話をしてきまして、非常におもしろかったです。昨日は国際交流協会のパネルディスカッションで、若い女子高生を一杯前にしてお話をしてきました。そこで今日山村さんのホームページを見ていて思ったのですが、昨日言ったことを何か具体的にやろうかと思って、「メジャーデビューしよう会」というのを作ることにしました。八戸の若い高校生や大学生たちの中で、世界に飛び発ちたいと思ってる人のためのアドバイスをインターネットを通じてやろうかなというふうに思っています。昨日の懇親会の席で、「国際機関に将来行きたいけれどどうすればいいのですか」という人がいっぱいいまして、そういうことの情報が必要なのかなということで、もし僕にできることがあればやろうかなと思っています。

 それでは本題に入ります。今日はちょっと英語の講義みたいになるんですが、三つのお話をしようと思ってきました。『D&D』と『G→G』そして『(AM・PM)改め(BM・PM)』というお話をさせていただきます。

民主化と地方分権

 まずこの『D&D』とは何のことか分かりますか。これは地方自治に関することです。最初のDは民主化(Democratization)の頭文字です。もう一方は地方分権(Decentralization)の頭文字です。この二つが世界のほとんどどこの国でもトレンドとして起こっています。民主化と地方分権、例えばラテンアメリカなんかでは、ここ20年の間にほとんどの自治体のトップである市長や町長や知事さんは民主的に選挙で選ばれるようになったのです。これは20年、30年前は考えられなかったことです。昔は中央政府が各自治体のトップを任命していただけです。住民が選挙で選ぶようになったのはごく最近の話です。そういうことで世界の本当に自治体のトップが民主的に選挙で選ばれるというのがここ最近の話ですが、今本当にそうなっています。ここで民主化という話に触れたいのですが、日本の選挙は民主主義ですか、という話です。選挙制度を表面的にだけ見ると民主主義のように見えるのですけれど、実は民主主義というのは自分の個人の意志で一票を入れるのが民主主義です。だけど日本の選挙はいろんなしがらみでですね、自分がこの組織に属しているから、この派に属しているから、そういうことで自分が投票したい人じゃないんだけれど、まあ頼まれたからそっちに入れようかとか、これは民主主義ではではないんですね。だから日本はもっと民主化しなければいけないということで、特に八戸なんかは「八戸戦争」と呼ばれていますが、この選挙の構図は全く民主的じゃないんです。

間接民主主義と直接民主主義

 民主化と言うことでいろんな事が日本でも起こっていると思うんですよ。本当にこれが日本の民主主義の民主化へ向けていろんなことが起こっています。間接民主主義から直接民主主義へという動きです。現在は間接民主主義ですよね。日本の国政も自治体の県議会とか市議会を選ぶのも。間接民主主義というのは、市民ひとりひとりが直接行政に声を反映できないから、代議士とか市議会議員とか県議会議員を選んで、その人に政策を決めてもらっている、あるいは条例をつくってもらっている。それは間接民主主義です。それが例えばインドネシアなんかでは、「もうそんなのやってらんないよ。自分たちの声を直接政治に参加させたい。」ということで暴動が起こっているわけですよね。「間接的に選ばれた大統領なんてやだよ。」ということで。それがもうトレンドです。それを加速しているのがインターネットです。インターネットを使えば、今までは自分の町内から出ている議員さんに「じゃあこの件お願いしますよ」と言わなければ行政に届かなかった声が、インターネットで直接市長さんに市民がE-mailを出せるようになってきた。そういうことが世界中で起こってます。

 この間僕はシアトルで広島の秋葉市長に会ってきて、これはまた後で触れますが、すごく仲良しになってきました。メール友達になっちゃいまして、というのは広島の市長さん、今度広島で行う「世界都市平和会議」というのにブリスベーンの市長さんを是非呼びたいから慶長さん仲介してくださいと言われて、いいですよ、ということでお友達になったのですが。それで早速ワシントンに戻ってから英語でメールを打ちました。「東奥日報という地方紙にこういう記事を書いたんですけど、このホームページ見てください。」と書いたんです。すぐ秋葉市長からメールがきました。「読みました。とても情報がたくさん詰まっていて役に立ちました」というのが英語で来ました。そういうふうに市民が市長に直接アクセスできる時代です。議員さんいらないよ、そういう世界です。秋葉市長が言っていたのは、市長にE-mailが直接市民から来るようになって何が変わりましたか、と僕が質問したんですね。そしたら、まず役人の考え方が変わったと言ってました。まず市長にE-mailが来て、市長は極力目を通すようにしてるんだけれども、やっぱり全部見きれないよ。だから誰か行政の人に、要するに官僚のひとに、市役所の人に最初目を通してもらって、それを選定して市長のところに上げてくる。だけれども最初市役所の人はそれを、メールを隠そうとしたり、こんなのは変な意見だとか言って、独断で市長に見せなかったりとかしたらしいんです。それで、市長が怒って、「そんな態度じゃだめだ。意見を言ってくれる市民にまず感謝しなきゃいけないんだ。」というのが秋葉市長の意見で、それ以来メールを送ってきた市民に直接、長い返事は書けないけれども「ご意見ありがとうございました。この意見を反映させてもらいます。」という返信メールを出すことにしているということです。

 ということで、間接民主主義から直接民主主義へという動きがインターネットの普及によってどんどんどんどん出てきています。

Government から Governance へ

 次に二つ目の『G→G』という話で、こっちのGは、これも世界で起きている自治に関するトレンドですが、はじめのGがGovernment、要するに役所ですね。もう一つはGovernanceです。Governanceというのはよく言われていますが、それに当てはまる良い訳語がないんですけども、統治とか舵取りとかそういうことですね。だから自治体レベルでいうと、「市役所による行政から、市民や民間も巻き込んだ統治へ」そういう動きが起こっています。今までは行政と言うのは役所の責任で役所がやってたんですね。Governmentが、Local Governmentですね。それが今度はGovernanceということで、要するに役所だけじゃないよと。先ほど言った市民が直接参加してきますよ。参加だけじゃなくて本来は市民が主導権をもって、役所がそれを後押ししなきゃいけませんよ、というのがどんどんどんどん起こってきています。その中で市議会議員の役割は何なのか。民間企業の役割は何なのか。例えば今までは役所がやっていたサービスを民間に委託します。そういことがどんどん起こっています。民間の競争原理を導入することによって、より効率的に、より安価にサービスを提供しましょう。そういうことが起こっています。じゃあどういうふうに民間企業を選ぶのか。それは競争入札を透明にしてやらなきゃだめですよ。そういうのをですね、を全部ひっくるめてGovernanceです。「透明なGovernance」と良く言われます。あるいは「良いGovernance」とかも言われます。そこでいろんなプレーヤーですね、市民、役所、市議会議員、民間企業あるいはNGOやNPO、市民団体、そういうのをひっくるめて、街づくりを全員でやりましょう。各々が役割分担して、良い関係をパートナーとして組みながら、みんなで街づくりをやりましょうというのがGovernanceです。

地方議会の役割

 そこでもうちょっと、市議会議員の役割、市議会の役割ですか、ということに触れたいのですが、先ほど言ったように、今まで市議会議員の役割というのは、町内会の意見を吸い上げて役所に投げかけるとか、そういうつなぎの役割が多かったですね。そういうのはもういらないんですね、はっきり言って。だからインターネットがあるから直接市民が役所や市長に意見を言えるんです。だから市議会議員の役割なんて本当に限定するべきなんですね。僕が今思っているのは、例えば専門的な法律知識に基づく条例作りですね。それと当然予算の審議や可決、これは必要ですね。あとは要するに行政のチェック、汚職に対するチェックとかですね、そういうこと。それぐらいしかもうないんですね、市議会議員の役割なんていうのは。だから例えば役所がいろんな施策をやったりいろんな計画書を作る際に市民の声を反映しますが、そんなのインターネットでどんどんできるんです、市議会議員を通さなくても。

 あるいはインターネットのことでちょっと注意しておきたいのは、インターネットといってもまだコンピューターを使えない人もいっぱいいるかもしれません。そういう人のためにはやっぱり別のチャンネルを用意することが必要です。町内会を集めて座談会をやっても良いでしょうし、いろんな情報誌を配っても良いでしょう。そういうことは本当にきめ細かくやる必要がありますが、トレンドとして、世界のトレンドとして、本当に市議会議員の役割とか県議会議員の役割とか、本当にがらっと変わってきていますし、限定しなきゃいけません。

 それで、八戸は市議会議員40人だという話が出ましたが、世界標準でこんなに多いのはありません。八戸は人口25万人の、24万人ですか、の自治体で40人。ちょっと世界の例を紹介しますと、このあいだ東奥日報に書いたトロント市、250万です。250万で市議会議員は44人です。いいですか。八戸市と議員数ほとんど変わりません。八戸の10倍の人口で市議会議員の数が同じ。この原理でいくと八戸の市議会議員は5〜6人でいいですね。5〜6人でいいですよ。少数精鋭でいきましょう。専門家を集めて5〜6人でやってもらいましょう。そしてこのあいだ僕が行って来たシアトル、シアトルの人口は50数万ですが、まあ60万人としましょう。市議会議員何人だと思いますか。7人です。市議会議員7人、シアトルで。あのシアトルで7人です。そして今度僕が行くブリスベーン市、ブリスベーンはだいたい85〜6万から、80万から90万と言われてるんですが、人口は。ここはちょっと多くて26人。ブリスベーン市90万人ぐらいで26人ですね。この標準を当てはめたとしても、八戸は24万ですから、これの4分の1ぐらいですか。やっぱり7人ぐらいですね。そのぐらいで良いですよ、本当に。というのが世界の要するに市議会議員あるいは県議会議員、要するに代議システムですね。そういったものの標準になっています。だって、僕はなかなか市議会議員の人に会っても、優秀だなと思える人は全然いないなあ、というのが…。

(7人だと野球チームが組めないから。野球は議会の大事な仕事だよ。)
そうですか。じゃあ9人にしましょうか。でもそれじゃあサッカーができないじゃないですか。 (あんまりサッカーはやってないそうですよ。)

 それで市議会の役割というのをもう一つ世界的な役割といいますか、世界の事情を言いますとですね、要するに市議会の構成というのは理想的にはその市民の人口構成を反映しなきゃいけないんですね。市民の半分が女性だったら、市議会議員、要するに市民の代表ですから、市議会議員の半分くらいは女性であるべきですよね。例えば市民の30%が黒人だったら市議会議員の30%は黒人であるべきですよね。市民の20%が20代の若者だったら市議会議員の20%は20代の若者でいいだろう。そういうことが起こっています。

 それを可能にさせるために、例えば議会を夜やったりですね、あるいは土日にやったりですね、そうすることによってサラリーマン、要するに市民の30%がサラリーマンだったら市議会議員の30%はサラリーマンであるべきですよね。市民の40%が主婦だったら市議会の40%が主婦であるべきですから、そういう人が市議会に打って出られるように、サラリーマンが会社が終わってから市議会に行けるように夜やってもらいましょう。あるいは主婦が子育てで昼間は忙しいけれども、お父さんが帰ってきてから「お父さん、子どもたのむね。」といって、それから市議会に出かける。それで主婦ももっと出られる。ということで市民の人口構成をなるべく反映した形に市議会議員の構成をできるように、市議会の運営自体を変えていきましょう。というのがいろんなところで、世界中で起こっています。日本みたいに昼間だけ市議会をやってると、一部の限られた人しか市議会議員になれないんですよ。それは全く本当に間違っています。

業績評価システム

 三つ目の「AM・PM」ですが、こんなコンビニも東京の方でありますが、そうではなくて『BM・PM』とうのは何かというと、BMというのはBenchmarking、PMというのはPerformance Measurementという英語の略です。これはアメリカやヨーロッパで今起こっている自治体の動きですが、Performance Measurementというのはいろんな業績の評価のことです。いろんな市役所や自治体がやっている住民サービスあるいは政策に指標を導入して、それを測ってその指標を公開しましょうということです。例えばどういうのがありますかね。ごみにしますか。ごみの収集を、週に何回やって、何%のごみが収集されて、それがどうなったかとかですね。それにお金がいくら使われて、何人の職員がかかわって、それに対して住民は、何%の住民が満足しているか。そういうサービスに関する指標を作って、データを集めて市民に公開しましょう。それがPerformance Measurementです。そのことによって市民が行政を監視できるんですね。「あっ、うちの街のこのサービスは指標を見るとこんなにお金がかかっているじゃないか。これはおかしいんじゃないか。」ということでわかるんです。

 それでBenchmarkingといのは、このPerformance Measurementを比べることです。いろんなよその自治体、あるいは過去のデータと比べることです。「去年はこのサービスにこれだけお金がかかったのに、今年は同じサービスにこれだけお金がかかっている。2倍になっているけどいいんですか。」とかですね。あるいは「同じような規模の自治体と比べると、うちの街は何割も多く同じサービスにお金がかかってるんですね。」とか、そういうことを指標を導入して比べるんです。それを全部公開して市民に行政のチェックをしてもらいましょう。市民に監視をしてもらいましょう。だから情報公開を全てして、それを市民が監視をすることによって、やっぱり市議会の役割はなくなるわけですよね、行政チェックという。そういうことが起こっています。

 それで、アメリカなんかの一部の先進というか、過激な自治体ではこのPerformance Measurementの指標を人事査定に取り入れています。例えばある行政サービスの指標が去年に比べて悪くなっているとします。あるいはその課のサービスに対する住民の満足度が、別の課のサービスに対する住民の満足度より劣っているとしましょう。そしたら極端な話、この課長クビにしましょうと。そういうことです。あるいはその課長を降格にしましょう。そういうことです。そういう事が起こっています。要するに指標を導入して市民に監視してもらって、それによって指標を上げるように行政に努力してもらいましょう。努力していないのだったら、給料を減らしましょう。あるいは降格しましょう、あるいはやめてもらいましょう。そういうことがアメリカの過激な自治体では起こっています。まだこれは普及していませんけども。やっている自治体もでてきています。

アジア太平洋都市サミットにて

 だいたい言いたいことはそういうことですが、最後に一つですね、ちょっと厳しいことを、今日は役所の皆さんが多いので言わせていただきます。シアトルの話です。シアトルにこの間行ってきてですね、八戸から7人の方が市長を筆頭に来ていました。アジア太平洋都市会議という、これは東奥日報にも書いたんですが。それで仕事のやり方を見ていて思ったのですよ。ちょっと税金の無駄遣いじゃないかなと。まず彼等ミッションの目的は三つあったんですね。僕なりに調べてみて、というか市長からいろいろ聞かされて。担当者の方からも聞きました。

 一つはアジア太平洋都市会議に参加すること。もう一つはフェデラルウェイに市長が辞めるから挨拶回りに行って、高校野球の交流試合をしましょうとお願いをしてくること。で、もう一つはバンクーバーやシアトルやタコマ、こういった港町を回ってシアトルやバンクーバーとウラジオストックを結んで今現在周航している定期船を何とか八戸に寄ってもらいましょうという陳情をしてくること。この三つが今回のミッションの役割だったらしいんですが、僕がびっくりしたのは、7人も来ていて一人一人の役割が何もないんですね。こんなことは僕はちょっと考えられないんです。

 例えば僕なんか世界銀行の仕事でしょっちゅう海外へ行きます。チームを組んで、だいたい3人から5人くらいのチームで。多い時は、たいへんな仕事になると結構7〜8人とか10人近くで行きますが、一人一人の役割が詳細に決められているわけです。例えばAさんはここの国のこういう案件で、こういうふうに政府を説得あるいは交渉して、この案件でこういう方向で合意をしてきますというふうに。その合意を実現するために、こういう行動計画をその政府と一緒に作ってきますと。まあだいたいそのくらいの具体的な計画でそのへんまでやってこないと出張に行かせてもらえないんですね。それが一人一人です。

 いいですか、チーム5人が行ったら、それを一人一人が別の案件でやってくるわけですよ。そしてその合意事項はペーパーにして、一人当たり英語で5〜6枚ですかね。だからチームで行くと20枚とか30枚とかのペーパーをミッション中にまとめて、その現場を離れる前に、向こうの政府と必ず行くたびに話し合ってサインして来るんですね。今回のミッションではこういう合意事項があって、こういう行動計画になって、これからこういう方向で進めますよ、ということを確認してきます。それは一人一人が作ったペーパーに基づいているわけですが、なんか今回のミッション7人も来ていて、何しに来たんだという感じで、何もせずに観光に来てイチローを見て喜んで帰っていったという感じがしました。

 しかもその航路の問題で言いますと、ただ陳情をしに来ているんですよね。具体的な計画案も持たずに。八戸が中間地にあるから寄ってください。それじゃあね、「いい計画ですね。前向きに検討します。」とか新聞に出ていましたが、そういう答えしか貰えませんよ、それじゃ。本当に。そうじゃなくて交渉してこなきゃ。陳情でなくて交渉ですよ。八戸に寄ることによってどういうメリットがあるのかということを具体的に提案して、交渉によりこの船をここに寄らせるということを合意して帰ってこなくちゃいけないんです。そうでなかったら税金の無駄遣いです。合意したらさらにそれを実現に移すための行動計画、何月の末までに貨物をどうしましょうとか、船会社側は来年までにこの手続きをこうしましょうとか、スケジュールを作って相手側と行動計画を一緒に作ってくる。そうすることによってフォローアップが可能なんですよ、ミッションから帰ってきてもね。世銀の仕事のやり方はそうです。

 それを今回の八戸からのミッションは、7人も来ていて具体的な成果もなく、イチローを見て帰ってきましたというのでは、甘いですよ、はっきり言って。そんなのに7人も来て何百万円も使ってね、市民が迷惑ですよ、そんな税金の使い方。そう思いませんか。と僕は市長には言いませんでしたが、仲の良い市役所の仲間には言ったんですけどもね。

分権時代の地方ジャーナリズム

 最後に、地方分権という話に戻りますが、今回のシアトルのミッションの件を見てですね、新聞がなってないですね。ここの新聞。東奥日報もデーリー東北も。市長がイチローを見てきたという記事、東奥日報もデーリー東北も見ましたけれども、同じような論調で。「八戸の国際化でイチローにちなんでメジャー入り」、とか何とか、そういう記事。批判精神はないんですか、ということですよ。税金を使ってミッションに行ったのなら成果は何ですかということを、ジャーナリズムが検証しないと。地方の新聞が批判精神を持って書かないと地方分権の時代は成り立ちません。地方分権で本当に大事な事は市民が行政を監視することです。その一つとして地方のジャーナリズムということが機能しなければ、地方分権やったら本当に危険です。地方のジャーナリズムの育成ということを地方分権とセットで考えないと、これは本当に危険な問題ですよ。(終わり)

世界銀行勤務 慶長寿彰



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