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八戸市立三条中学校
伊藤美緒さんからの手紙




八戸市立三条中学校 伊藤美緒さんからの手紙

 あの写真に写っていた子供たちは、私たちとそう変わらない年齢だと思います。それなのに私たちは勉強を義務付けられ、彼らは労働を義務付けられている。私たちと彼らの違いは、その義務の中味だけだと思います。日本人はああいう写真を見ると、「かわいそうだ」とか「日本は恵まれていて良かった」とか、いつも同じ決り文句を言いますが、それは私たちの勝手な決め付けだと思います。彼らは経済的、物質的に富んではいないかもしれませんが、働きながら笑顔でいることができます。義務を楽しむことができます。私たちはどうでしょう。物には恵まれているかもしれませんが、義務付けられたことを楽しんでいるでしょうか。働きながら笑顔でいることができるでしょうか。そう考えたら、一方的に「かわいそう」とは思えませんでした。本当に彼らの役に立ちたいなら、ただ募金をして、「やってあげたんだ」と思うのではなく、「私たちだからできることをさせてもらったんだ」という気持ちを持っていたいものです。そしてお互いの国のいいところをたくさん見つけたいです。それが本当の国際理解ではないかと思います。ナイジェリアの人たちには、いつまでもあの明るさを忘れないでほしいです。私もバングラデシュの人のように、働きながら笑顔でいられる人間になりたいです。 (伊藤美緒)




伊藤美緒さんへ慶長からの返事

バングラデシュの人々  私が撮影したバングラデシュの子供たちの写真を見て、感想を書いていただきありがとうございました。伊藤さんの感想は様々な問題を提起しており、私自身たいへん感銘を受けました。「彼らは経済的、物質的に富んではいないかもしれませんが、働きながら笑顔でいることができます」という一文は、経済的な豊かさが必ずしも幸福に結びつくとは限らないという事実を鋭く突いています。実際、私も仕事で多くの発展途上国と呼ばれる貧しい国々を訪れますが、こういった国々のごく普通の人たちの心の豊かさや、子供たちの明るさにはいつも驚かされます。結局。人間の幸福とは、日々の生活をいかに楽しむことができるかということに大きく左右されるようです。ただ、バングラデシュに代表されるような多くの途上国には、最低限の衣食住をも満たすことができない多くの貧困層が存在しており、国際社会が団結して貧困の撲滅に努力しなければならないことも、また事実です。

 「ただ募金をして、『やってあげたんだ』と思うのではなく、『私たちだからできることをさせてもらったんだ』という気持ちを持っていたいものです」という伊藤さんの考えは、援助やボランティアに関わる際の心構えとして非常に重要なことだと思いました。自分よりも弱い立場にある人々に接する時も、このような謙虚さを常に持ち続けていたいと、私自身も思います。援助活動やボランティア活動というのは、こうした心構えや、そうした活動を通じて自分も何かを学び取ろうとする姿勢が大事なのだと思います。

 「お互いの国のいいところをたくさん見つけることが、本当の国際理解ではないかと思います」という意見には全く同感です。特にバングラデシュのような途上国に対する日本国内の報道は、貧困、紛争、災害といった画一的なものが多く、伊藤さんの言うように「その国のいいところ」に光をあてたものはなかなか少ないのが現状のようです。国と国との理解が深まり交流が増すためには、人と人との関係と同じように、まず互いの「いいところ」を好きになったり尊敬したりするところから始めたいものです。

 最後になりましたが、私の写真を見て感想を書いていただいたことに再度感謝したいと思います。ありがとうございました。

アメリカ合衆国ワシントンにて 1999年1月31日 慶長寿彰



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