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LOCAL PERSPECTIVE

「青森・愛媛うら話」




<公開討論会支援NGO「リンカーン・フォーラム」メールマガジンより>
(2001/9/2)

事務局長の内田 豊です。以下は東北地方の有力ローカル紙「東奥日報」から、今年の参議院選で、青森県ではじめての公開討論会が開催されることになったことについての取材がありましたので、私が回答した内容の抜粋です。

いつかはMLのみなさんにもお知らせしようと思っていた、青森や愛媛での公開討論会成立の裏話など、楽しいエピソードも入っていますのでここに紹介します。

------- 東奥日報からの取材への回答 2001.6.30 -------

東奥日報> ホームページにも記載されていますが、青森県は「リンカーンフォーラム方式での公開討論会が開催されたことのない唯一の県」です。核燃サイクルが争点となった十年前を除き、政策論争がほとんどない本県で、ようやく公開討論会が開催されることについての意義、感想など。

内田> どんな自治体でも政治課題はありますが、それが「政策論争」になるかどうかはその自治体の持つ風土や歴史によって大きく異なります。東奥日報さんも、何度も問題提起したり、政策提言したりしてもなかなか「政策論争」にはならず、歯がゆい思いをしてこられたのではないでしょうか?

公開討論会を主催している人たちは、こんなことではおかしい、政治は自分達のこととしてきちんと考え、自分の責任で政治家を選び出そうという、ごく当たり前のことを、少しの勇気を出して行動されています。

リンカーン・フォーラムが98年の参議院選ではじめて、全国一斉に公開討論会開催を呼びかけたとき、愛媛と青森を除き、全ての県で「それなら私がやってみよう」という方々が出てきたことは、とても驚きであったとともに、日本人の根っこはまだまだしっかりしているという自信も出てきたものです。

その後、愛媛県も「公開討論会ができなかったのは恥ずかしい」と考えた方々が大ブレイクし、いまでは13回も公開討論会を実施する県に成熟してきました。

したがって、青森県はたまたま、その殻を破る時期が一番遅かっただけであり、どんな風土であろうと、公開討論会の口火を切る人が必ず出てくるであろうというのは時間の問題でした。

今回の青森での開催の最初のきっかけは、今年10月の八戸市長選で公開討論会を開催したいという思いを抱いた元八戸市民で、現在はワシントンの世界銀行に勤務されている慶長さんという方が、わざわざ東京の私のところに海を越えてご相談に来られたのがきっかけです。

慶長さんが遠くアメリカから、昔の仲間の八戸市民に公開討論会の呼びかけを続けたために八戸のメンバーも感化され、それが飛び火して、「どうせなら参議院選青森県でやろう」ということになったらしいのです。(内田注:慶長さんが私に相談に見えた時点ではワシントンに勤務されていましたが、2001年6月からはブリスベンに異動されています。)

このことは、先の、愛媛が現在では公開討論会成熟県になったことを髣髴させます。愛媛は3年前の参議院選が終わった後に、「なぜ愛媛だけ公開討論会がないんだ。リンカーン・フォーラムは愛媛を差別しているのか」と、リンカーン・フォーラムの事務所にどなりこんできた方がいました。その方は当事は愛媛県議で、現在の松山市長です。そして、私たちは「何人もの愛媛の方に呼びかけました。しかし、みな一律に『そんなことをしたら生活していけなくなる。商売に差し障りある』といって、実施してくれなかったのです」と説明しました。彼は、その事実を重く受け止め、愛媛で公開討論会の啓発セミナーを企画し、その後の愛媛県知事選での公開討論会成功を皮切りに、愛媛は公開討論会が大ブレイクしていったのです。

愛媛も青森も、熱い志を持った方が遠くリンカーン・フォーラム本部の扉を叩いてくれたところから始まりました。非常に感慨深いとともに、青森の政治土壌が成熟していく機が整ったのだという予感がしています。

東奥日報> また「リンカーンフォーラム方式」というものについて簡単に解説いただければと思います。

内田> リンカーン・フォーラムの『公開討論会完全マニュアル』にしたがって開催される公開討論会のことをいいます。その骨子は

●公平・中立
●主催者代表には一定の条件を果たす
●各種の運営ルール
●候補者、有権者、主催者すべてがWin-Winの関係を築く
です。

東奥日報> これまでの経験から、討論会を開催するためのハードル、また、初開催にこぎ着けた青森の今後の課題について、どのようにお考えでしょうか。

内田> 討論会を開催するためのハードルは2つあります。

1つは主催者のモチベーションが最後まで続くかということで、「やっぱりウチの町では無理だ」とあきらめてしまうと、自滅してしまいます。リンカーン・フォーラム方式の運営スタイルだけに飛びつき、その哲学を理解していない初心者に良く見られる傾向です。

2つ目のハードルは、候補者、とくに現職候補が出演してくださるかという点です。

青森はこの2点のハードルを見事にクリアしました。今後の課題は、いかに会場を満席にするかということです。リンカーン・フォーラム方式は、「開催することに意義がある」というような甘ったれたアマチュア精神ではありません。多くの有権者にこの公開討論会の存在を知らせ、 来場していただき、彼ら自身の意思で投票していただくことによって、民主主義を成熟させるという、具体的に自分の街を、日本を良くしていく活動がリンカーン・フォーラム方式の真髄です。

東奥日報さんにも、ぜひこの公開討論会を繰り返し繰り返し取り上げていただきますことをお願い申し上げます。

内田 豊 リンカーン・フォーラム●公開討論会支援NGO●事務局長



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