フロントページメジャーデビュー>畑中淳子

テキサス大学オースティン校・日本語講師
畑中淳子さん




<海外で働くようになった経緯>

 10年前、私は「留学」に対する漠然としたあこがれを持ったまま毎日の仕事にあけくれる総合職2期生の会社員でした。毎朝満員電車の中、新聞数紙に目を通す生活でしたが、自分のキャリアを重ねるにつれ、会社でも「仕事」以外のこと、すなわち様々な人間関係や社内政治的な心配りに取られる時間が多くなり、「なんか違うぞ〜」という気持ちがムクムクと育っていきました。

 そんな折、「東南アジア青年の船」という総務庁のプログラムの試験を受け、幸いにして1991年の秋、日本人参加青年の一人として船に乗ることになりました。約2ケ月間東南アジアの各国をまわる親善旅行だったけれど、公用語は英語。私がどこの大学を出てどこに勤めているかなんて知ったこっちゃない。何ができるか、で勝負の世界。「あ、私程度の英語でもなんとかなるじゃん。」というのが大きな収穫でした。そして帰国後、お決まりの逆カルチャーショックの中、本格的に留学を頭に入れ、密かに準備に入りました。先のことはわからないけど、とにかく今はもっと勉強したい。ということでいろいろ調べた挙げ句、「大学で日本語を教えると大学院でただで勉強できるプログラム」というのを発見し、これを通じてアメリカのミシガン工科大学でコミュニケーションを勉強することになりました。

 慣れないアメリカでいきなり先生と学生の二足のわらじ。でも元勤め人としては、明日教える準備が終わらない限り自分の勉強には入れない。このプレシャーのもと何とか卒業にこぎつけた頃、いざ就職を間近にひかえると「日本語を教える」ことが思っていた以上に魅力があり、是非アメリカで本格的に仕事がしたいと思ったものの、経験とともに資格がものを言うアメリカ社会。どこも「MS(Master of Science): 理学修士」では雇ってくれません。となればご要望の「MA(Master of Arts): 文学修士」を取ってやろうじゃないの!とアメリカでは日本語教育で有名なウィスコンシン大学マディソン校に改めて進学することにしました。ここでもTeaching Assistantとして午前中は大学生に教え、午後は自分の勉強のクラス、という2重生活が続きましたが、大学院で言語学や日本語の教授法を学びながらその理論をすぐ教えているクラスで実践できる2年間は、「人生で一番睡眠時間の少ない、いや無い!」生活でしたが本当に充実していました。おかげで卒業後は、アーカンソー大学のフルタイムの講師のポジションが見つかり、そこで2年間日本語と日本文化のコースを担当し、2000年の秋に現在勤務しているテキサス大学オースティン校に移りました。今はテキサス大学での講師として2年目を終えようとしているところです。

<今の仕事の内容>

 日本の大学にフランス語やスペイン語のクラスがあるように、アメリカの大学にも外国語のクラスの一つとして日本語のコースがあります。今の大学は日本語のプログラムが大きいので、単なる外国語の必修科目として学生が取るだけでなく、日本語を主専攻にもできるので、「あいうえお」から始める初級のコースから、日本の新聞や雑誌(アエラや文春など)を読むような上級のコースまで、各学期によっていろいろ担当しています。クラスで教えるのは一週間に約10時間ぐらいですが、授業以外にも大学のオフィス(研究室)には毎日熱心な学生やできない(?)学生がおしかけるので、実質の労働時間って...けっこう一日中働いています。アメリカの大学で教える日本語教師の生活に興味のある方は、以下のウェブをお読みいただければいいかと思います。私がペンネームで連載したものです。

http://www.alc.co.jp/nihongo/essay/index.html

<将来海外で日本語教師を目指す方へのメッセージ>

 どういった教育機関で教えるか(大学なのか中学校なのかなど)でずいぶん違ってくると思いますが、アメリカの大学で教えたいなら、絶対アメリカの大学院で「日本語/第二言語習得」等の学位を取ることが最低条件となります。そしてどこへ行っても聞かれることは「経験は?」。今は日本からもいろいろなインターンシップがあるので、それらをきっかけに渡米し、日本語教師としての経験を積むこともお勧めします。ただ、学生から見れば先生は「日本人の典型・シンボル・代表」であるわけですから、渡米前に日本語以外にも日本に関する知識を充実させておくことが先決かなとも思います。これからアメリカに行くという段階ではとかく「英語」や「留学生活」に関する情報に敏感になると思いますが、それ以上に日本の歴史、文化、政治、社会といったトピックの質問に対して、外国人にきっちり説明できる知識(それを英語でどう言うか、は次の問題!)をインプットしておいて下さい。あとは、人間が好きな人、大歓迎です。私は育児経験はありませんが、大の大人が日本語という分野でゼロからグングン成長していく様を見守れる、手助けできるのは、他では得難い経験だと思います。Good luck! (2002年5月掲載)



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