フロントページメジャーデビュー>国際公務員になるには何学部?

「将来、国際公務員になりたいのですが、何学部で学べばいいのですか」と尋ねるのは、「将来、オリンピックに出たいのですが、何のスポーツをやればいいのですか」と尋ねるようなものである。




 最近このサイトのゲストブックやEメールでの質問で、「将来、国際公務員になりたいのですが、何学部で学べばいいのですか」という質問を多くの若い方からいただきます。でもこの質問に対する答は、「それは、あなた次第です」としか答えようがありません。国際公務員と言っても、実に様々な国際機関があり、多くの専門職種があります。その中で、「どの機関で、何を専門にして、どういうことがしたいのか」ということが分からなければ、何を勉強し、どういう経験を積めばいいのかというアドバイスはできません。そして、「どの機関で、何を専門にして、どういうことがしたいのか」というのは、それぞれの個人が自分の興味や得意分野などを考慮して決める以外にはないのです。

 考えてもみてください。「将来、オリンピックに出たいのですが、何のスポーツをやればいいのですか」と聞かれたら(まあ、そんな質問をする人はまずいないでしょうが)、「あなたの好きなスポーツ、得意なスポーツをやりなさい」としか答えようがないでしょう。それと全く同じ事です。

 「UNHCRに行きたいのですが、何を勉強したらいいですか」とか、「世界銀行に入りたいのですが、何学部を出ればいいですか」という質問も、よくもらいます。これは、目指す国際機関を決めている分だけ的が多少は狭まってはいますが、まだまだ的が絞りきれていません。これでは、まるで「陸上競技でオリンピックに出たいのですが、短距離にするべきか、中距離か、はたまたマラソンか、あるいは幅跳びか、どれにすればいいですか」と聞いているようなものかもしれません。

 陸上競技に様々な種目があるように、UNHCRにだって色々な分野の仕事があるでしょう。難民を医療・保健面で支援する仕事、難民の人権や難民認定などに関する国際法上の仕事、難民のうち特に女性難民保護に関する仕事、難民の栄養改善や食糧支援に関する仕事、UNHCR組織内の人事や予算管理に関する仕事、難民帰還地の住環境を整備する仕事などなどです。これらの仕事や職種によって、求められる学歴や勤務経験も変わってくるのです。同様に、世界銀行にだってエコノミストもいればエンジニアもいるし、環境、都市問題、ジェンダー、教育、医療・保健、ファイナンス、農業、エネルギーなどなど様々な専門家がいます。

 要するに、国際公務員になって何がしたいのか、そういう明確な目標をまず持つべきなんだと思います。さらに言えば、「これこれがしたいから、そのために国際公務員になりたい」というのが本来あるべき姿で、「国際公務員になるために、これこれを勉強する」というのは、ちょっと目標を決める順序が逆のような気もします。

 さて、それでは僕の言う明確な目標とはどういうものなのか。それは単に「国際公務員になりたい」というものではなく、「全てのアフリカの子供たちに初等教育を普及させたいからユニセフに入りたい」とか、「途上国が環境と調和のとれた経済開発を成し遂げるためのお手伝いをしたいから世界銀行を目指す」とか、「世界からエイズを撲滅することに貢献したいからWHOで働きたい」とか、まあそんなところです。そういう明確な目標が決まれば、それを達成するためには何を勉強して、どういう職業経験を積めばいいのかは自ずと見えてくるはずです。上で述べたオリンピックの例で言えば、ただ「オリンピックに出たい」ということではなく、「水泳100メートル自由形でアテネ・オリンピックに出る」とか、「陸上400メートルで北京オリンピックに出る」というのが明確な目標ということでしょう。まずは、あいまいな目標ではなく、明確な目標を決める。そこから全てが始まるのだと思います。

2003年10月14日  慶長寿彰(世界銀行勤務)



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