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国際機関への就職に関するQ&A
(2003/11)


2003年の7月からゲストブックに寄せられた「国際機関への就職」に関する質問と、それに対する自分なりの答えを、こちらにまとめて記録に残すことにしました。私の知識と経験の範囲内で最善の答えをしているつもりですが、私の答えが100%正しいという保証はありませんのでご了承ください。これを読んでまだ質問がある人や、国際機関勤務の経験者などでコメントやさらなるアドバイスがある方は、是非ゲストブックへご記入ください。


世銀(世界銀行)YPP(ヤング・プロフェッショナル・プログラム)の面接
Q: 慶長さん、先日は電話でのアドバイスどうもありがとうございました。昨日無事アプリケーションを書き終えメールしました。推薦状の方も今の上司から書いてもらえる事になり(下書きをするのは私ですが・・・)、今日サインをもらって送る予定です。内心は違うかもしれませんが(笑)、一応快く引き受けてもらえたのでほっとしております。また2ヶ月、あまり期待をしないで連絡を待とうと思います。

 ここの掲示板を読んでいると自分もがんばろうという気持ちになります。これからどんどん国際機関で働く日本人が増えるといいですね。(あい)

A: あいさん、次は面接ですね。「期待しないで」なんて言わずに、面接の準備をしておいた方がいいですよ。世銀のYPP(ヤング・プロフェッショナル・プログラム)は、例年ですと1月末から2月中旬にかけて面接が行われるはずです。僕の場合は忘れもしない、1994年2月14日、バレンタインデーにバンコックで面接を受けました。あの面接はタフですよ。でも、僕が面接を受けた時の情報はもう古いかもしれないので、最近の面接動向についてはそのうち情報収集しておきますね。また、メールでも電話でもご相談ください。では。(慶長)

Q: ホームページでは12月から2月にかけて第一次面接、2ー3月に最終面接がある、と書かれていました。先は長いですね。いきなり連絡が来て慌てないように世銀についてもういちど勉強し、国際的な時事問題もフォローしておこうと思います。(あい)

A: あいさん、世銀YPPの面接は一回のはずです(一日で複数の面接を行います)。以下のサイトでも確認しましたが、2月から3月に行われる「Selection Committee」というのは面接ではありません。これは、世銀の幹部職員で構成する最終的な合格者選考委員会です。面接の結果を受けて、この委員会が最終的に合格者を決定するのです。それではまた。(慶長)
http://lnweb28.worldbank.org/hrs/careers.nsf/key/ypp

A: 慶長さん、あいさん、こんにちは。はじめまして。横レスになってしまうのですが、ご参考になればと思いまして。YPの面接を4年前に受けて、残念な結果に終ってしまったものです。やはり準備不足がたたったと思っています。私の時は60分の面接(1対1)が3回(計3面接官)連続でありました。あまり志望動機等は問われず、ある程度整理をしたスピーチをさせるような質問(私の時は「課題」がCDFだったので、それについて等)と、「difficult personにどう対処するか」、「ミッション後のレポート作成時にカウンターパートの地位を(個人的に)貶めてしまう情報を盛り込まなかくなってしまった時にどうするか」というようなものがあったのが印象的でした(こういうミクロな質問が多かったのは私の職歴が短かったからかもしれません)。

 質問に対してしっかりステートメントをすること、そしてその論拠を個人的体験を織り込みながらはっきりと提示できるようにしておけば良かったのかな、と思ってます。同じバッチで面接を受けていた候補が「タフな面接だった。。。」と暗い顔をしていたのですが、彼は見事に合格しましたから、誠実さというのも見ているのかもしれません。いずれにせよ、面接官は世銀のカルチャーから候補者を見定めるのでしょうから、現役の職員の方とできるだけ話したり、練習したり準備すると良いと思います。面接については、候補者同士のグループワークを課した年も最近あるそうなので、フォーマットが変っている可能性もあるかもしれません。あいさん、ご健闘を祈ってます。

 私の方は、世銀は残念な結果だったのですが、別の国際機関に採用となり働いています。こちらのカルチャーが自分に合っていたのかなと思う反面、ミッション先で会ったりする世銀スタッフのエネルギッシュな様子を見てうらやましくも思っています。横レス失礼しました。慶長さん今後ともよろしくお願いします。(まとはふ)

A: まとはふさん、初めまして。横レス大歓迎です。これからもよろしくお願いします。

 さて世銀のYPPの面接ですが、僕が受けた1994年も、まとはふさんの時と同様に一対一の60分の面接が3回ありました。でも最近小耳にはさんだ情報によると、過去2年間はこの方式がガラリと変わったようです。面接はパネル・インタビュー(3人くらいの面接官を同時に相手にする方式)が一回で、その他にグループ・ワークがあるそうです。このグループ・ワークがちょっと変わっていて、応募者が何人かのグループに分けられ、子供が遊ぶブロックのおもちゃ「LEGO」で何かを作るように課題が与えられるというのです。「LEGO」を協働で組み立てていく過程で、各個人のリーダーシップや協調性、コミュニケーション能力や創造性などが試されるというものらしいです。参考までに、インターネットで見つけた「LEGO」を用いたグループ・ワークのウェブサイトを以下にリンクしておきます。このサイトの「Lego Man」という所をクリックしてみてください。(慶長)
http://www.ssta.sk.ca/research/sz/SSLH/mcont.htm

国際機関への転職、定年、退職後
Q: 1つだけ質問させてください。本、ネット等を見ていると、どうやら国際機関での仕事は30後半〜40代前半で転職という型が多いようです。ところで、国際機関でも定年というのはあるのでしょうか?もし、40代で転職した場合には、何年間働けるのだろう…と、ふと思ったもので(さぬき)

A: さぬきさん、初めまして。世銀の定年は62歳です。おそらく他の国際機関もそんなもんだろうと思います。国際機関に入るには、修士号プラス最低5年くらいの専門分野での職歴が必要なので、30歳以降で転職という人が多いのでしょう。ただ、正規職員でも数年ごとの契約更新だったり、毎年のパフォーマンス評価の結果や組織変革のあおりで解雇されたりと、定年まで働く人は現実にはかなり少ないというのが僕の率直な感想です。それでは、今後ともよろしくお願いします。 (慶長)

Q: 組織変革のあおりで解雇されたとしても、優秀であれば別の機関orNGOなどでの就職口が見つかるだろうと思います。ただ、そこまで優秀な人ばかりということはありえないと思います。そこで、他の機関やNGOでの仕事以外にはどのような職に就く人が居るのかを教えてください。慶長さんの知っているところで良いのでお願いします。(さぬき)

A: さぬきさん、僕の知っている範囲で答えますが、世銀を退職した人は、アジア開発銀行に行く人が結構多いです。その人の専門分野にもよりますが、その他では大学の教官になったり、引き続き開発援助関係のコンサルタントになるという例も多いような気がします。それではまた。(慶長)

国際機関での遺跡保存の仕事
Q: 今高一なんでちょうど進路を決めはじめる時期なんですよ。自分は外国とか遺跡が好きなんで質問させていただきますm(_ _)m このホームページで世銀とかにもいろんな仕事があるって分かったんですけど、外国に憧れていて遺跡とかが好きだったらユネスコ以外にもそういう職場はあるんでしょうか?あとどうゆう学部に進んだら良いのかイマイチピンと来ないんですよね…。(哲平)

A: 哲平さん、はじめまして。国際的に価値のある遺跡保存に関する仕事は、国際機関でもやっています。おっしゃる通り、ユネスコが真っ先に思い浮かびます。その他、都市部の文化財的建築物の保存であれば、国連人間居住計画(通称UN-HABITATと呼ばれます)や僕の勤める世銀でもやっています。実は、僕はそういう文化財的建築物の保存プロジェクトに2度関わったことがあるんです。一度目は東アフリカのエリトリアで、二度目はパキスタンのラホールでした。

 将来そういう仕事をするには、おそらく建築学や都市デザイン、都市計画などを学べる学部に行けばいいんじゃないかと思います。ちなみに僕の専門のひとつは都市工学です。それでは、今後ともよろしくお願いします。(慶長)

国際公務員への転職、必要な勤務経験と英語力など
Q: 私も国際的な機関での仕事に興味を持ち始めています。慶長さんにいくつか質問です。どうやら慶長さんは、公務員から世銀に転職?したようですが、公務員を辞めそれから世銀を目指したのか?世銀を目指し就職のめどがついたから公務員を辞めたのか?後者の場合には職場(周囲、上司)的には応援してもらえるものなのでしょうか?世銀で働くために何か努力をしたことはありましたか?その辺をお聞かせください。また、英語力が必要なのはわかるのですが、実際にはどの程度の力が必要なのでしょうか…専門的な言葉、言い回しはこれから学ぶとして、流暢ではないにしろコミュニケーションには問題ない程度では無理でしょうか?

 あと、もうひとつお願いします。とあるサイトで、修士卒と博士卒では必要な勤務経験年数が違ったように記憶しております。これは、学んだ内容と、働いた内容がまったく違うものでもいいのでしょうか?化学を学んだのに保険の仕事をしている私…この場合は学んだ内容と勤務内容が全く違いますが博士そつで勤務年数○年と判断してもらえるか?これは慶長さんに聞く問題ではないと思いますが・・・(まめ)

A: まめさん、はじめまして。早速ですが質問にお答えします。僕の場合、地方公務員を辞めてから2年間勉強しなおして、それから国際機関にトライしました。市役所を辞める時に「国際機関に行きます」と大見得を切って辞めたので、実現しなければいい笑い者になっていたでしょう。退路を断ち目標を公言することで、自分にプレッシャーを掛けました。

 転職に関して上司や周囲の理解が得られるかなんていうのは、その職場のカルチャーや、あなたと上司との日ごろからの関係や、あなたの誠実さなどなどによって様々でしょう。やりたいことがあるのなら、そんなことはあまり気にせずトライしてみてください。マスコミにさんざん叩かれてメジャーに渡りながら、実力で賛辞を勝ち取った野茂を見習いましょう。

 世銀で働くために努力したことは、情報収集でしょうか。どういう業務があり、どういう分野で自分が貢献できるのかを調べ、その分野でのスキル・アップをしたのです。英語力はかなり高度なものが要求されます。自分の専門に関する政策的な交渉ができないと難しいでしょう。ただ、多少英語力が劣っても専門性や情熱などで補うことは可能でしょう。要するに総合力が大事なんだと思います。僕も世銀に入って最初の数年は、英語で苦労しました。

 国際機関へのエントリー・レベルでは、修士卒で3〜5年の職歴が必要だと言われています。博士号があれば、この職歴が免除になる場合も多いようです。大学院での専攻と職歴が全く違う内容であれば、それは職歴としてカウントされないでしょう。国際機関は即戦力の専門家を求めています。大学院を出て、それを実践する(あるいは補完する)職歴があって、初めて専門家だと見なされるのだと思いますよ。それでは、今後ともよろしくお願いします。(慶長)

Q: 英語に関しては相当高い力が要求されるであろうことは覚悟していました。はっきり言って私は英語力がないです。なので、今は単語を覚えることで語彙を増やし、NOVAに通うことで英語になれる事からはじめています。機会が見つかれば留学もしたいと考えています。もう1点追加で質問させてください。慶長さんのした勉強・スキルアップと言うのはどのようなものでしょうか?本を買って独学で勉強したとか、留学したとか、どこかの大学に入りなおしたとか、それに関する職についてみたとか・・・また、それは大学などで専攻していたもののレベルを上げたのか、1からやり始めたのか…。何事も本人のやる気次第なのは分かっているのですが参考までにお聞かせください。(まめ)

A: まめさん、こんにちは。スキルアップのため、僕は市役所を辞めて大学院に入り直しました。幸いなことに、隣町の米軍基地内で修士号のコースに通うことができました。それと並行して、世銀や国際機関のレポートや出版物のうち、自分の専門分野の物を取り寄せて独学もしました。今なら、インターネットでかなりの情報収集が可能じゃないですか。僕の場合は、学部時代も大学院も市役所でも、またインドネシアでの実習も、ずうっと都市問題や環境問題、それに対処する地方自治を専門にやってきたので、幸運にも全ての経歴が線で繋がりました。今も世銀では、途上国の都市問題を途上国の自治体が自分たちで解決できるように、自治体の育成などのお手伝いをやっています。では。(慶長)

国際公務員の日常、勤務形態、やりがい、辞める理由など
Q: サンダーと言います。私は現在マスコミで働いておりますが、UNESCOに魅力を感じています。いろいろ本やサイトをのぞいてみましたが、実際、国際公務員になられた方々の、仕事をなさっている上での漠然とした感想が、どこにもないのが不安で、とにかく聞いてみたいと思いました。もちろん、世銀とUNESCOは違うと思うので、世銀の感想で結構です。

 「世界の貧困の撲滅のために」ということですが、実際、慶長さんは日常、どのような作業をしているのでしょうか。交渉、視察など、いろいろあるだろうとは思いますが……。つまり、自分が働いたことの、実感なり、成果なりは、どう得られるのか、ということです。自分がやっていることに、無力感を感じたことはありませんか。また、隔靴掻痒という感覚はありませんか。また、対象が大きすぎて、焼け石に水、的な感覚に陥ることはありませんか。目的と手段があまりにかけ離れていて、悲しくなることはありませんか。また、仕事をする上で、「こんなことをするために、世銀に入ったはずではない」と思うことはありませんか。働き方として、ムリがある(休みがない、代わりがいない、環境として耐えられない、など)と思われることはありませんか。総じて、人間的な生活をしていると思われますか。

 さらに、HPを作ってらっしゃるぐらいですから、きっと慶長さん自身は仕事にも自信があり、とてもやりがいがあると感じていらっしゃるのだろうと推察いたしますが、周囲で国際公務員をやめていく人がいれば、その人たちの理由を、差し障りのない範囲でうかがえればと思います。また、雇用形態が原則2年ごとの契約ですが、この制度の関係でやめていく人(つまり解雇される人)というのはいるのでしょうか。ネガティブなことばかり聞いて申し訳ありません。(サンダー)

A: サンダーさん、はじめまして。鋭い質問をありがとうございました。ちょっとひと言では答えにくい部分もありますが、以下に自分なりの答えを述べてみます。でも、国際機関で働いてみての感想は人それぞれでしょう。百人いれば、百通りの答えがあるはずですので、以下は僕の個人的な感想です。

 ひと言で言うと世銀の仕事は「知的刺激に満ちている」ということでしょうか。それは、世銀内部の多様性に富んだスタッフ(様々な国から来ている色んな分野の専門家)から得られる刺激もあれば、クライアントである途上国の人々から得られる刺激もあります。僕はこういう仕事がしたいと思ってこの仕事を選んだので、充実感はありますよ。

 日常の作業は、ワシントンにいる場合と途上国に出張中(年に3分の1くらい)の時とで全然違います。ワシントンでは当然デスクワークが中心になり、担当の国の担当のセクター(僕の場合は南アジアの都市問題、環境問題、地方自治など)に関する戦略ペーパーや、あるいは担当プロジェクトのコンセプト、審査、評価等に関する文献を作ったり、他のスタッフや途上国政府が作った文献に目を通してコメントを書いたりしています。そういった文献を仕上げるために、上司やチームや関係各部署とのミーティングもあります。進捗中のプロジェクトの情報は、世銀の現地オフィスや途上国政府からほぼ毎日のようにEメールで連絡があるので、それらにも対応しなければなりません。毎日、いろんな問題解決のために格闘しています。

 出張中の途上国では、大体寝ているとき以外は仕事です。朝から夕方までは、ひたすらミーティングです。ケースバイケースですが、住民レベルからNGO、自治体、政府の役人レベル、時には大臣とも会います。そうして人に会うことで、情報を集めたり、こちらの考えを伝えたり、交渉により物事を決めたりします。出張中は当然、プロジェクトの実施されているフィールドへも必ず行きます。夜はホテルに戻って、ひたすらレポート書きです。

 無力感を感じたことはありませんが、隔靴掻痒という感覚は時々ありますよ。というのは、僕らはあくまで国づくりのアドバイザーであったり、お手伝いをしているに過ぎないのです。実際に国をつくるのは、途上国の住民であり、その住民を代表する政府などの当事者です。良かれ悪かれ、世銀は途上国の政策面でもいろいろな影響力がありますが、実は、自分の国や自分の街に対してもこれだけの影響力を持てれば、また違った達成感があるかもしれないと思う時もあります。その時は、これは自分の国ではないけれど、自分の地球の一部なんだと思うようにしています。

 目的と手段がかけ離れているとも思いませんし、焼け石に水だとも思いません。目的と手段が違うと思えば、手段を変えてみるだけです。確かに世界中から貧困を撲滅することは、とてつもない大仕事です。この先、何十年もかかるでしょう。ですが、その理想に向って少しずつでも前進しないと、そこには永遠に辿り着けないのです。担当の国の担当の町で、百人でも千人でもいいから命を救い、生活を向上させ、その向上した生活が持続できるような政策面や組織面などの後押しをすることは、貧困撲滅という理想に多少なりとも近づくことだと信じています。

 出張が多いことを除けば、とても人間的な生活です。そりゃあ仕事柄、年中睡眠パターンと排便パターンが狂っていたり、途上国ではお湯も出ないし、トイレもないし、ノミに刺されまくるような場所に何日も宿泊せざるをえない時も多いです。オフィス内の人間関係や組織内のポリティクスもいろいろありますが、それはどこの職場でも多かれ少なかれあることでしょう。今一番怖いのは、出張中の事故やテロや犯罪に巻き込まれることでしょうか。それと出張が多いので、家族のことも気にかかります。

 雇用形態が原則2年というのは、どこのことでしょうか?各国際機関によっていろいろな雇用形態がありますが、僕は幸い世銀でパーマネント・スタッフです。とは言っても毎年の勤務評定の結果や世銀内部の組織変革などによっては、いつでも首になる可能性がありますので、雇用の安定性はないですね。でも、いつ首になってもどこでも働けるように、自分のスキルを磨き続けるよう心がけてはいます。日本人でも首になったり、自発的にやめていったりして、国際機関を去る人も結構多いです。自発的にやめる理由は人それぞれでしょうから、一概には言えません。

こんなところでいいでしょうか。また何か質問がありましたら、どうぞ。では今後ともよろしくお願いします。(慶長)

Q: ご丁寧なお答え、ありがとうございました。これまで、国連の業務というのは、茫洋としてつかみどころがなかったのですが、途上国行政のコンサルティング業務、と考えればいい、というので正しいでしょうか?

 しかし、1点不明だったのが、「成果を感じるとき」という点なんですが。つまり、「自分の担当した地域で、努力の甲斐あって貧困がやや緩和されたと見受けられる」と思うことはあるのか、ということです。単純に予想するに、それらが就学率、失業率などの指標の改善で示されることですが、そういった数字が目に見えて改善されることは、私の感覚では極めて稀だと思うのですが、いかがでしょう。また、この仮説に立った場合、自分のやりがいのみならず、ボスの評価の基準も一概にそういう明確なものではないのではと思うのですが。指標以外にモノサシはあるのでしょうか。 それと、勤務形態として、朝何時から夕方何時の勤務で、残業はどの程度覚悟すべきなのか、週休は何日とれて、それは実際に消化できるのか、という点です。目指している段階からこのようなことを聞くとやる気を疑われそうですが、「寝ずに休みなく働く」のは、ただの夢であり、実際には絶対不可能であることは、今の仕事でいやというほど分かったので。

 また、辞める人の理由は人それぞれ、というご返答でしたが、プライベートな理由ではなく、仕事の性質上の問題で辞める人のある種共通した理由はありませんか?「つまらない」「やりたいことと違った」「出張が大変すぎて、体力がついていかない」「能力がついていかない」など。また、解雇される人の割合を知りたいのですが。同じ部署の人間が何人いて、1年間に何人解雇された、とか。ざっとした感覚で結構です。

 たたみかけるような質問になってしまい、申し訳ありません。本当に会社を辞める前には、実際に働いている人に直接会ってインタビューするつもりですが、本気で覚悟を決める前に、欲しい情報ですので……。よろしくお願いします。(サンダー)

A: サンダーさん、貧困が緩和されたかどうかは分かりませんが、貧困を形成するひとつのファクターが目に見えて改善されることはよくあります。例えば、今僕が担当している水のプロジェクトでは、5〜6年のプロジェクト実施期間で、ブータンの10都市における安全な水の供給率をゼロ%から90%以上に持っていきます。同様に就学率などの向上は、かなりの場合可能でしょう。それに、途上国の自治体の行政能力の改善や、住民のエンパワーメントなど、こういう指標に表れにくい成果だってあるのです。ただ、こういう成果が根付くのは5年や10年のタイムスパンなんでしょうから、仕事の成果が見えにくいと言われればそうかもしれません。

 毎年の勤務評定において上司が部下を評価する場合、おっしゃる通り、なかなか客観的な基準がありません。上でも触れたように、単年では成果が出ない仕事がほとんどですし、途上国の国内事情により自分のコントロールの及ばないところでプロジェクトがうまく行かない場合も結構あります。だから、人事評価は上司の主観によらざるを得ないと思いますよ。それが現実です。ただ、自分の評価に対して、上司との反論や交渉の場は設けられますので、あんまり理不尽な評価は少ないとは思いますが。

 勤務形態に関しては、ワシントンにいる時は僕は朝9時から夜7時くらいまで働いています。子供が小さいので7時には帰ります。それ以降の残業はほとんどしません。週末もしっかり休めて、有給は年28日ほぼ希望通りに休めます。ただし、仕事の質に関するプレッシャーや競争はかなり激しいですよ。去年は、僕はそのプレッシャーによるストレスから病気になりました。途上国へ出張中は、この勤務形態がガラリと変わります。まず週末は休めず、毎日夜中までレポート作成に追われることも多いです。その代わりストレスは少ないです。ただ、これらの勤務形態や忙しさは、部署や役職、上司などにもある程度左右されるでしょうから、上記はあくまで一例に過ぎないと思ってください。

 辞める人の理由は、本当に様々です。実力がなかった人、競争のプレッシャーが耐えられなかった人、人間関係がうまく行かなかった人、西洋的な価値観に肌が合わなかった人、官僚体質や組織内のポリティクスに嫌気がさした人などなど。解雇される人の割合なんて、その年によって全然違います。酷い場合だと、組織改革で部署がなくなり部署全員が解雇されたり、そうでなくても50人の部署で10人くらいが解雇されたりというのも5年おきくらいにはありますかね。前回の繰り返しになりますが、Job Security(雇用の安定性)は期待しない方がいいです。サンダーさんのやりたい仕事がUNESCOなどの国際機関にあり、その仕事に本当に情熱があれば是非トライしたらどうでしょう。勤務形態なんて、かなりの部分で自分次第ですよ。情熱がないのであれば、お薦めしませんけど。ではまた。(慶長)

受験生の悩み
Q: 初めまして。私は今受験生で進路に迷っています。まだまだ知識は少ないのですが国際機関で働きたいと思い、どうしたら働けるのかと探していたところ、ここにたどりつき、拝見させて頂きました。国際機関の採用基準として、修士課程まで履修することなど、様々なものがありますが、どのような学部に進むのがよいでしょうか?どのようなことを学ぶことが、必要とされているのでしょうか?(えみ)

A: えみさん、はじめまして。えみさんの質問に関しては、以下にリンクしてある文章や、このサイトのその他の文章をもう一度じっくり読んでみて下さい。このゲストブックの過去の質問なども参考になると思います。

 それから、国際機関への就職では学部での専攻より大学院での専攻が重視される傾向にありますので、学部と大学院の専攻を変えるという手もあります。ですから、今進路に迷っていても、少なくとも修士に進む前までには「明確な目標」を決めたほうがいいと思います。いずれにせよ、大学院での専攻と関係のある職歴も必要ですので、これから長期戦ですよ。頑張って下さい。 (慶長)
http://www.keicho.com/majordebut/olympic.html

Q: ありがとうございました(^−^)いろいろ調べていたら、他のサイトに、「国際〜」とつく学部に入らなければ…みたいなことが書いてあって、誠に恥ずかしい質問でございました。将来、自分がどういう方向に進みたいのかとか、ハッキリしなくて。模試とかあって志望校も決めなきゃいけないし…とかとか。英語も全然で…。今は看護学部を目指しているのですがあいまいな気持ちで。もう18だというのに甘えてるなあと。民族紛争とか興味といったらおかしいけど、関わっていきたいと思うのですが、結局どの分野に進んでも関わってるのでは…とか考えて。長くなってすいません。またわからないことあったら教えて下さい!(えみ)

A: えみさん、18歳で進路に悩むのはごくごく普通のことです。甘えてないです。むしろ、18歳で「国際公務員になろう」と思ったということは凄いと思います。それは、「将来、地球規模の仕事がしたい」とか「国際貢献のできる仕事がしたい」という気持ちからだと思いますが、どうかその気持ちを持ち続けて、自分の専門を絞り込んでください。僕なんか、国際公務員になろうと最初に思ったのは22歳の時でしたよ。

 他のサイトで、「国際〜」とつく学部に入らなければ国際公務員になれないという主旨のことが書いてあったそうですが、それはウソですよ。事実、僕は「国際〜」とつく学部には一度も入ったことがありませんが、こうして国際公務員をやっていますから。では頑張ってください。(慶長)

Q: 僕も今18で受験生です。将来は国際機関で働きたいと考えています。国際機関と言うと重々しい感じがするのですが、とにかく国内だけにとらわれず海外で活躍できるような仕事に就きたいです。ただそうは言っても簡単になれる職業ではないので僕もえみさんと同じように進路に不安を持っています。一応今は文学部に進もうと考えているのですが今この時期に何をやればいいのか何を学んだ方がいいのか不安です。(前原)

A: 前原さん、はじめまして。返信が遅くなり申し訳ありません。「この時期に何をやればいいか」不安だということですが、この時期にはひたすら受験に備えるしかないでしょう。文学部と決めたのなら、今更迷わない方がいいと思います。

 ただ、文学部だけでは国際公務員になるのはかなり難しいと思います。だから、吉川さんが言っている様に、大学時代にいろんな国に行ったりいろんな経験をして、将来国際機関でどういうことがしたいのかを絞り込んでください。そうすれば、修士での専攻や必要な職歴が見えてくるはずです。実は僕の妻も大学は文学部で、大学院ではMBAと国際関係を修めて現在は国際公務員をやっています。それでは受験頑張って下さい。(慶長)

生物学専攻の国際公務員
Q: 現在、修士1年で生物を専攻しています。そろそろ就職活動を本格的にはじめなければ間に合わない…といった時期にさしかかり、ちょっと慌てています。実は、就職しようか博士へ進学しようか悩んでいます。もし、就職するのであれば、国家公務員を目指し、国家規模のスケールの大きな仕事合したい!それ以外ならば博士に進学しよう…と本屋を覗いて時に、国際公務員の本を見つけていろいろ調べているうちにココにたどり付きました。今思えばなぜ国際機関での仕事を考えなかったのか…。そこで質問なのですが、生物のバックグラウンドを生かせる仕事としてはどのようなものがあるのでしょうか?また、そのためには就職してキャリアを得るのと、博士に行って専門性を身につけるのとどちらが良いのでしょう?まだまだ知識が浅いので何かアドバイスを頂けたら幸いです(とし)

A: としさん、はじめまして。「生物」というだけでは、漠然としていてよく分かりませんので、できればもっと具体的にご専門の研究分野を教えて下さい。ただ、「生物」と聞いただけで真っ先に思いつく国際機関の仕事は、GEF(地球環境基金)などの「生物多様性(biodiversity)の保護」に関する仕事です。その他、FAOなどには農業や畜産関係で「生物」の知識が必要な仕事もあるかもしれませんし、もしかしたら、国連には「生物化学兵器」の拡散防止などの仕事もあるかもしれません。不確かな情報ですみません。

 就職すべきか博士を目指すべきかは、難しい選択だと思います。理想的なのは、博士号プラス職歴があることです。おそらく、生物多様性の保護などに関わっている国際公務員の多くは博士号を持っているのではないかと察します。GEF(以下のリンクからどうぞ)やFAOのウェブサイトで、自分の研究分野に合う仕事があるかどうか検討してみたらどうでしょうか。それでは、今後ともよろしくお願いします。 (慶長)
http://www.gefweb.org/




Local & Global〜地方公務員から転身した国際公務員のサイト
( http://www.keicho.com )