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国際機関への就職に関するQ&A
(2004/05)


2003年の7月からゲストブックに寄せられた「国際機関への就職」に関する質問と、それに対する自分なりの答えを、こちらにまとめて記録に残すことにしました。私の知識と経験の範囲内で最善の答えをしているつもりですが、私の答えが100%正しいという保証はありませんのでご了承ください。これを読んでまだ質問がある人や、国際機関勤務の経験者などでコメントやさらなるアドバイスがある方は、是非ゲストブックへご記入ください。


国際公務員の男女比、日常生活
Q: はじめまして。今年から京都の大学に通っている大学一年生です。今、大学の基礎ゼミで“将来、自分が就きたい職業について徹底的に調べる”という作業をしています。それで私は、前々から興味を持っていた国際公務員について調べることにしたのですが、いくつか分からない事があるので教えて下さい。主に、分からない事は2つあるのですが、ひとつは、国際公務員の男女比についてです。色々な本やホームページで調べたのですが、見つかりませんでした。私の予想では、男性の職員の方が女性の職員よりも多いような気がするのですが・・・もうひとつは、国際公務員の生活状況についてです。国際公務員の給料や休暇については調べたのですが、国際公務員の人たちが毎日どのような生活を送っているのかを知りたいのです。(例えば、何時頃に出勤して、何時頃に仕事が終わるとか・・・)変な質問ですが、よろしくお願いします。(マリッペ)

A: マリッペさん、初めまして。大変難しい質問をありがとうございます。まず国際公務員の男女比ですが、これは各国際機関によって異なるでしょうから、国際公務員全体の男女比というような統計は存在しないのではないでしょうか。まあ、男性のほうが女性より多いことは容易に想像できますけど。でも、僕が勤める世界銀行の日本人職員に限って言えば、女性のほうが男性より多いですよ。

 勤務時間に関しても、各機関や部署や職種によって様々でしょう。一般的な勤務時間は、普通のオフィスアワーと同じですよ。9時から6時までとか、そんな感じでしょう。ただ、忙しければ残業もあるし、特に出張中は大抵の場合は休日もなく、寝ている時以外は全て仕事みたいなもんです。あんまりお役に立てずにすみませんが、今後ともよろしくお願いします。(慶長)
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難民保護のための政治学と国際関係学
Q: 始めまして、僕は今高3で来年受験するものです。実は高校半ばくらいから少しずつ国際公務員と言うものに興味を持ち始めてきました。将来はまだどの機関は決めていないんですけど、今のところは難民保護系〔UNHCR〕みたいな所に働きたいなって思っています。でもその学問について悩んでいて、まずそうなると政治学OR国際関係学が必要になるとあったんですがどちらが良いのでしょうか?国際関係学と言うのは《政治学+経済学》×国際 〔書き方が曖昧で申し訳ありません〕見たいな事をする学問なのでしょうか? 

 あとまだあって、国際機関は経済学を重んじている機関もおおいと言うことで将来経済についてもやってみたいとなったとき、前者二つをとった後大学院留学で経済学専攻またはそれら〔前者二つのどちらかあるいは両方〕の複合専攻が可能か?という事。そしてこれは大変腹立たしく受け止められる質問になるかもしれなくて大変恐縮なのですが、来年国立大学をうけたいんです〔もちろん私立も環境として色んないいところああるのでうけますが、国立大学も受けてみたいので…〕にあたって、そのようなことを学べる大学、教授などがいる所は関東地区だとどの大学になるのでしょうか?調べていても似たような大学だから〔ここが不適切表現なんですが…〕世間で言うレベルの高いトコロ〔Tとかいう〕なんでしょうか?

 僕は政治や国際関係は興味があって面白そう+役に立ちそうという観点が元々あったので、うーんだから学問の区別と言うか…その二つの客観的区別はあるけど具体的な区別まではないので…〔国際公務員を目指す就職という本にも一区切りで乗っていたので…〕(satou)

A:  satouさん、初めまして。「難民保護のためには、政治学と国際関係学とどちらがいいか」という質問ですが、残念ながら僕は答えを持っていません。難民保護と言っても実に様々な分野がありますし、政治学や国際関係学といっても、各大学によってカリキュラムは異なるでしょう。大事なのは、自分は難民支援のどういう分野で貢献したいのかを絞り込み、それを可能にするカリキュラムはどこの大学のどこの学部のどういう教授のゼミが提供しているのかというのを、根気よく調べることじゃないでしょうか。従って、それが有名大学なのか、国立大学なのかは、僕には分かりません。

 あと、学部と大学院で異なる専攻をしたり、複合専攻をしたりというのは、大学によっては可能でしょう。海外の大学の方が、そういうのが可能な場合が多いような気もします。国際機関には、そういうマルチな専門家が結構多いですよ。それでは、今後ともよろしくお願いします。(慶長)

国際公務員を目指すキャリアの一貫性
Q: はじめまして。某大学文学部哲学科卒→某調理師専門学校に在学中です。大学時代、専攻とは全く関係ないながらも食に興味を持ち、調理師専門学校で1年間学ぶ事を決意しました。現在は専門学校へ通いつつ『大学既卒』という身分での05年度入社へ向けての就職活動を行っています。改めて将来の自分像を見つめなおしたところ「この地球から飢えをなくせないものか」という思いがわき上がってきました。FAOのような機関で働きたい。そのためにはまず、生産・流通のしくみを知る事が必要だと感じ、いわゆる総合商社を中心に就職活動を行っています。3点質問させて下さい。
1:総合商社というフィールドは私の将来の目標から見た場合いかがでしょうか?他におすすめのフィールドがありましたらそちらも教えて頂きたいです。
2:(就職後)修士以上の学位を取ることは国際公務員になるための必須事項でしょうか?
3:「一貫性を持たせる」という観点から考えた場合、どのような分野の学位を取得することが望ましいでしょうか?(由晶)

A: 由晶さん、初めまして。早速ですが、僕に答えられる範囲で答えてみます。
1については、「あなたがFAOでどのようなことをしたいのか」にかかっているでしょう。個人的には、商社の経験はFAOというよりWFPの方で活きるような気もしますが、ちょっとよく分かりません。
2については、国際公務員になるには修士以上が必須だと思ってください。
3についても、「あなたがFAOでどのようなことをしたいのか」によるでしょう。哲学科→調理師学校とそもそも今まで一貫性がないのですから、これから自分がFAOでやりたいことに合わせて一貫性をつくりだす(修士の専攻プラス職歴において)つもりでやった方がいいのではないでしょうか。「この地球から飢えをなくせないものか」という今の思いを持ち続けて、どうか頑張ってください。それでは、今後ともよろしくお願いします。(慶長)

国際公務員になるためにアラビア語
Q: 慶長さん、始めましてこんばんわ。今年高校を卒業して、浪人生活を始めたmoiと言います。これからここにチョクチョクくるかもしれませんが、どうか何卒宜しくお願いします。僕は将来、国際公務員になるために、とある大学の外国語学部アラビア語科を目指して受験勉強中です。国際公務員になるためには、専門知識が必要ということで国際開発学を考えておりますが、まず大学で英語やアラビア語、フランス語などの語学を徹底的にマスターしてから、そのあと大学院で国際開発学を学びたいと思っております。ここで、いきなり質問になりますが、このような進路のルートで行けば、まず大丈夫でしょうか?(なんか、幼稚な質問でごめんんさい)。特に、アラビア語が役に立てるかどうかが心配です。どうか是非宜しくお願い致します。(moi)

A:  moiさん、初めまして。「大丈夫でしょうか」と聞かれても、進路の予定を聞いただけで、僕が「大丈夫です。あなたは国際公務員になれます」と保証できる訳はありませんよね。何もかも、今後のあなた次第です。「大丈夫にする努力」を怠らなければ、大丈夫に近づくでしょう。アラビア語については、アラブ地域に貢献したいという確固たる目標があるのなら、大いに役立つはずです。それでは今後ともよろしくお願いします。(慶長)

A:  moiさんはじめまして。アラビア語と聞いて、ちょっと注目してしまいました。私は英国の大学でですが、アラビア語と国際関係学を専攻して3年目です。科目選択に悩む段階ではないかもしれませんし、すでに知っておられるかもしれませんが、そうでないなら、参考になるでしょうか?アラビア語は一般的に難しい言語だといわれますが、確かにフランス語などのヨーロッパ言語を学ぶのとは全然違います。アラビア語は標準語と各地の方言とで大きな違いがあり、学校で最初に学ぶアラビア語は標準語ですから、その後で「ネイティブアラブ人とちっとも会話ができない」と失望する人は多いようです。そのような失望を少なくするために、大体でいいので、アラビア語がどうゆう言語でどのように使用されるのか、イメージをつかんでおくことをおすすめします。

 もうひとつは、国際関係学という分野から見た意見ですが、アラビア語がなくてもアラブ圏に関わることはある程度可能です。中東の政治について勉強するとき、たいていの本は英語やフランス語で書かれていますし、中東に現地調査に行く人も教育のある人と話すときは英語か仏語のようです。日本でのアラビア語学習に詳しいサイトを紹介します。moiさんの悩みの解決のきっかけとして役立てるかもしれません。(春澄)
http://www.arabiago.com/index.htm

日本にある国際機関、学部生でのインターン
Q: ご無沙汰しております。マナです。今必死に英語と格闘している毎日です。今回はインターンについてお聞きしたいです。国連機関でのインターンの応募資格として、undergraduateでも受け入れていただけるところはあるのでしょうか?自分でも調べたつもりなのですが、なかなかよく分かりません。特に日本の国連機関でインターンの受け入れをしているところがあれば是非教えてください。あと、このことについてのサイトなどがあれば教えていただきたいです!よろしくお願いします。(マナ)

A: マナさん、こんにちは。僕がざあっとインターネットで調べたところによりますと、日本にある国際機関の事務所では、東京のOECDと福岡のUNHABITATが、学部生でもインターンとして受け入れているようです。以下のサイトを参照してみたください。それから、各機関のサイトで募集していなくても、直接メールを送るなどして問い合わせてみることをお薦めします。ではまた。(慶長)
http://www.oecdtokyo.org
http://www.fukuoka.unhabitat.org

途上国の給水施設の維持管理
Q: ここのところアフリカの仕事が続いていて、行ったり来たりしています。途上国の給水施設の維持管理の問題が問われ、「住民参加」や「受益者負担」などの言葉が流行ってからもう10年以上20年近く経っているというのに、一向に問題が解決されていない現状を目の当たりにしています(もちろん成功例はありますが)。アプローチの仕方が悪いのか、それとも根本的に考え方がおかしいのか...。ひとつの給水プロジェクトでは普通長くても3年程度で、そのうちひとつの村に費やす時間は本当に限られています。その中で、住民の意識を高め、教育し、「後は自分たちで何とかしなければなりません」というのもなんだかとても無責任な気がしています。何か根本的に考え方を変える必要がある時期に来ているのではないかと感じる今日この頃です。(Masa)

A:  Masaさん、途上国の給水施設の維持管理についてひとこと。世銀のプロジェクトでも、農村部の給水施設は維持管理を住民組織にまかせる場合が多く、似たような問題があります。僕のプロジェクトの場合は、自治体の住民サポート能力を強化して、住民組織が自分たちで維持管理できない場合のバックアップ体制を整えるようにしています。こうすると、多少はSustainabilityの向上になると思います。では、またアフリカの話をお聞かせください。(慶長)

一般企業か国際協力の仕事か
Q: 慶長さん、こんにちは。今回で二回目の書き込みです。現在、大学4年なんですが、諸事情により、これから就職活動をすることになりました。僕は将来、海外の大学院に行き、それから国連へ、というビジョンを描いています。そのため、就職をして、お金がたまり次第仕事を辞めて、院留学しようと考えています。そこで、2、3年とはいえ、普通の企業に就職したほうがいいのか、仮にフリーターになったとしても、将来に役立つような国際協力(JICAやNGOなど)のような仕事を選んだほうがよいのかで、悩んでいます。よろしかったらアドバイスお願いします!(tom)

A:  tomさん、こんにちは。一般論ですが、将来の目標が決まっているのなら、その目標達成に役立つ職歴を積んだほうがいいと思います。ただ、人生なんていうのは何が起こるか分からないですよ。企業に勤めたら、そこで人生を変えちゃうような出会いがあるかもしれませんし、まわり道が人生経験の上でプラスになることだってあるかもしれません。先月も似たような質問がありましたので、「メジャーデビュー」のページから2004年4月のQ&Aコーナーを読んでみてください。「まとはふ」さんのとても真摯なアドバイスがあるヤツです。では。(慶長)

国際関係学、国際開発学
Q: 私はこの夏から大学に通う予定で、国際関係学専攻を予定しています。まだまだ無知なのですが、最近リサーチをしていて、「国際開発学」というものにも興味をそそられてきてしまいました。「きてしまいました」と書くと変なのですが、もうあと3ヶ月弱で大学に行くという時期に来て、迷いだしてしまっているので、そう書きたくなってしまうのです。この夏から通うを予定していた大学には国際関係学しか存在しないのが迷いの種でもあります。

 わたしには漠然とした夢しか存在しません。まだ自分の極めたい分野というのもはっきりしないでいます。そのような場合やはりチョイスがたくさんある大学の方がよいのかなと夏から通う大学はあるものの、他の道として日本の開発学のある大学を選ぼうかと色々悩んでしまっています。だらだらと書いてしまいましたが、学部レベルで国際関係学を学びそれから院で開発学という道をたどったとしても回り道ではないのでしょうか?(悩める羊)

A: 学校によって異なりますが、国際関係学の中に開発に関する授業をしている場合もありますよ。私の学校にも開発学はありませんが、国際関係学と地理学を同時専攻して(英国では2科目選択が可能なので)それぞれの学部の開発関係の授業をとっている友人がいます。科目によって、開発に対する視点が違うので、おもしろい、と言ってました。別の科目の視点から開発の問題にアプローチするのでは、開発学を専門にするのとは、違ってきますけど。。予定の大学の詳しい授業内容を見て検討するのもひとつの方法だと思います。(春澄)

A: 悩める羊さん、こんにちは。春澄さんがおっしゃるように、開発学は国際関係学の中に含まれる場合が多々あるんじゃないかと思いますが、どうでしょうか?「学部レベルで国際関係学を学びそれから院で開発学という道をたどったとしても回り道ではないのでしょうか?」ということですが、学部と院の専攻にうまい補完関係があれば、あんまり回り道のような気はしませんね。いずれにしても学校や専攻を選ぶ場合は、あらかじめ詳しいカリキュラムや授業内容をできるだけ具体的に調べた方がいいですよ。ではまた。(慶長)

A: 悩める羊さん、こんにちは。皆さんがおっしゃっているように国際関係論でも途上国を扱うケースがあるのではないかと思いますので、あまり気にされなくても良いように思います。また、専攻以外でご興味のある分野については、通われる大学内あるいは他大学の授業に聴講に行ったり開発関連の勉強会に参加したりと、いろんな方法で学ぶことができると思います。私も大学の専攻は化学系で試験管を振っていましたが、経済学に興味があったので聴講に行ったことを思い出しましたので、つい投稿しました。なお、私はその後経済学が専門になって現在に至ります。がんばってくださいね。(toffee)

A:  toffeeさん、お久しぶりです。「大学の専攻が全てではない」というのは、非常に鋭い指摘だと思いました。夢を叶えるのにはそれぞれの道があり、いろんな方法で求められる総合力を培うことが可能なんですよね。ではまたよろしくお願いします。(慶長)

心理学、カウンセリングと国際公務員
Q: 初めまして!私は中3の受験生なのですが、1年程前から「国際公務員になりたい!」と思ってました。今、頑張って勉強しているのですが…1つ気になる事があり投稿させてもらいました。心理学系の専門分野でも、国際公務員で働けますか?世界中にいる難民や鬱の人達の苦しい気持ちを少しでも楽にさせたいと思っているのですが…馬鹿らしい質問で本当にすみません!回答をお待ちしています。(かづ)

A: かづさん、初めまして。かづさんが言うような「世界中にいる難民の苦しい気持ちを少しでも楽に」するようなカウンセリングの仕事は、どこかに存在するべきだと思います。でも、それをやるのが国際公務員なのかどうかは、ちょっとよく分かりません。それから、世界銀行には人事カウンセリングという仕事もありますよ。これは難民相手ではなく、国際機関の職員を相手にするカウンセリングです。今は日本に戻られた中野さんという方がやっていました。中野さんの記事を以下にリンクしておきますので参考にしてください。では。(慶長)
http://www.romi-nakano/images/20031013.jpg

国際公務員の子供の赴任先での医療・教育
Q: こんにちは。今大学3年生で開発学を日本で勉強しています。国際結婚をし、9ヶ月の子供がいる一児の母親でもあります。高校のときから国際公務員になりたいと思い、23歳なのですが、結婚し、子供が出来てもその意思は変わりません。大学を卒業したらイギリスの大学院で開発学を学ぼうと思ってましたが家族は一緒にいるべきだと思い、イギリスは生活費等高いのでタイの工科大学で都市開発学を学び(統計、分析も興味があるので)そこで家族で2年間行き、夫にいわゆる家事仕事をやってもらおうと思い夫もそれに賛成していたのですが、この頃やっぱり私が大学院卒業後国際公務員になれるかわからないし、大学院に一緒についていくのはその後家族が路頭に迷うことになるかもしれないから日本に残って私だけ留学してこいと言い出し、さらにその後私はアラビア語をやっておりできたらJPOでアラブに行って経験をつみたいというとそんな発展途上国に子供になにが起こるかわからないのでいくのはとても不安だといいます。例えば私はイラク、アフガニスタンなどとても政情不安なところに行く気はないのですが実際子持ちに家族は教育、医療などどうしてるのかもし情報があったらお願いします。(いつ子)

A: いつ子さん、初めまして。まず、イラクやアフガニスタンなどは「non-family duty station」と言って、国連は基本的に家族の同伴を認めていないと思います。要するに、そういう国へは必用最小限の国際公務員が単身で赴任することになっているのです。その他の途上国での赴任の場合は、基本的に赴任地で受けられる教育や医療を利用するしかないでしょう。場所によってはインターナショナル・スクールやアメリカン・スクールなどがあり、そういう学校に子供を入れている国際公務員も多いかもしれません。医療については、緊急時には一番近い先進国などへ一時的に行って治療をするしかないでしょうね。ただ途上国で子育てをするメリットもいくつかありますよ。そのひとつは、ベビー・シッターやメイドさんの料金が非常に安いということかもしれません。家族の理解を得られるように頑張ってください。どなたか途上国で実際に子育てをしながら仕事をしている方がいたら、是非情報を書き込みください。(慶長)

国際公務員で即戦力となるPhD研究テーマ
Q: 初めて書き込ませていただきます、T-zeal です。今は日本の大学院に進学し、浄水の研究室で研究をしています。今もバングラデシュのヒ素汚染問題を研究テーマにしていることもあり、将来はAEにチャレンジして開発途上国の水供給にかかわる仕事をしたいと考えています。

 今回は2つほどお聞きしたいことがあって書き込みしました。まず1つ目ですが、慶長さんの周りにはPhDを持っている人が多い、とおっしゃってましたが、専門家として働く国際公務員の方はどんな研究テーマでPhDを取っておられるのでしょうか?というのは、PhDを持っている人はP1、P2レベルの応募に職歴は要りませんよね?ということはPhDの研究テーマが国際公務員として働く際に即戦力となり得るものでないと採用されないのではないかと思いました。ですから研究テーマを選ぶ際には「今自分が興味のあるテーマだから」という理由だけで選ぶのは間違いだと思ったのです。国際機関の仕事の内容にもよると思いますが、たとえば開発途上国のプロジェクトを扱う部署を希望していて、環境ホルモンの研究でPhDとっても即戦力にはなりませんよね?開発途上国の水道設備に関するプログラム(政策や経済を含む)をもつ大学もありますけど、そういう研究テーマを選んだほうがいいような気がしました。開発途上国の水供給に関する仕事をされている方がどんな研究テーマでPhDを取ってらっしゃるのか、もしわかれば教えていただきたいです。

 2つ目ですが、慶長さんは地方公務員で数年働いた経験がおありですが、開発途上国の案件を扱う今の仕事にどのように役に立っていますか?日本で政策に携わる経験を積んで、それを開発途上国に応用していく、つまり開発途上国のことだけ学ぶのではなく、先進国の技術など、いろんな選択肢を持っておくことが必要かな、と思ったので。実際に経験をお持ちの慶長さんのご意見をお聞かせください。お忙しいとは思いますが、よろしくお願いいたします。(T-zeal)

A:  T-zealさん、初めまして。バングラの地下水砒素汚染の問題を研究しているそうですね。僕も以前その問題を担当をしていました。以下に世銀のニュースレターに書いた砒素関連の文章をリンクしておきました。

 さて、質問にお答えします。「途上国の水問題に関わる人が、どんな研究テーマでPhDを取っているか」ということですが、それは実に様々です。水問題というのは実に多岐の専門分野に関わる問題だからです。ただ、職歴がなくPhDから即戦力として国際機関に入ろうとすると、やっぱり研究テーマは途上国がらみのモノが望ましいのでしょう。例えば、僕の同僚のエコノミストは、「途上国の水道事業管理の組織論(民営化、経営理論など)」や「貧困層と水道料金(willingness to pay)」というテーマでPhDに取り組んでいます。その他、工学や社会学、保健医学、水資源管理などなどの分野で、途上国の水問題がらみの研究テーマは考えられるでしょう。

 二つ目の質問ですが、僕は日本の自治体で4年余りと、オーストラリアの自治体で一年働いた経験があります。世銀でも、途上国の自治体の強化・育成を担当しているので、これらの経験はとても役立っています。特に、政策の形成過程あるいはプログラムの実施過程における、途上国の自治体と中央政府、あるいは地方議会や住民との望ましい関係などを模索する上では、実体験が活きてきます。個々のプロジェクト形成段階においても、例えばオーストラリアの都市における持続可能な水問題への取り組みなどは、途上国への応用が十分可能です。水問題という専門がはっきりしているなら、日本の自治体で水道事業を担当してから国際機関へ行くのは、とてもいい選択肢のひとつだと思いますよ。では今後ともよろしくお願いします。(慶長)
http://www.keicho.com/global/arsenic.html

アラビア語を活かして資金援助
Q: こんにちは、先ほど質問しましたがもうひとつ悩んでます。アラビア語をいかせる分野で資金援助に適するかどうかなどのリサーチをできるような職につきたいです。まだアラビア語はまだまだというレベルだし、実際フスハー(標準語)では意思疎通が難しいとも思いますがなんらかでアラブに関わっていきたいです。どのような職があるでしょうか、あとこれを実現するためには大学院の専攻でなにをとったらいいか、博士までとるべきか、開発学より統計学等理系のほうがいいのかとても悩みます。アドバイスよろしくお願いします。(いつ子)

A: いつ子さん、引き続きお答えしようと思いましたが、「アラビア語をいかせる分野で資金援助に適するかどうかなどのリサーチ」というのはちょっと曖昧すぎます。国際機関が「資金援助に適するかどうか」を判断する際は、経済的、社会的、政治的、工学的、環境的、組織的などなど様々な観点から分析しないといけません。アラブ地域で具体的にどういう分野でどういうことがしたいのかを、もう少し具体的にお考えになった方がいいと思います。そうすれば、専攻すべき学問の分野が見えてくるはずです。それでは、今後ともよろしくお願いします。(慶長)

国際機関やNGO以外の国際貢献
Q: はじめまして、慶長さんこんにちは。私は中国で生まれ、日本で育ち、この5月アメリカの某州立大学を専攻Economics&International Studiesで卒業した者です。さて、私は今アメリカでの就職を考えているのですが、かねてより自分のbackgroundを活かした仕事、具体的にはアジア諸国への貢献といったようなことをしたいと考えております。自分でそのような国際貢献の仕事を調べていたのですが、国連などの機関は修士号&実務経験が必要なようですので、何か他のNGOなどの機関への就職を考えております。

 そこで、慶長さんに質問です。国連やNGOの他に何か私の考えるようなアジア諸国への貢献といったような仕事をする機関はご存知でしょうか?また、そのような機関での初任給与はどのくらいなのでしょうか?私は母子家庭ということもあり、学生時代はアルバイトと奨学金で何とか過ごしてきましたが、母親に楽をさせてあげたいということもあり、お金の話は非常に私にとって切実なことです。勉強不足ゆえ質問が広範囲に及び、また答えにくいとは存じますが、慶長さんのご存知の範囲でかまいませんのでよろしくお願い致します。(Ken)

A:  Kenさん、初めまして。「国際機関やNGOの他にアジア諸国へ貢献できる仕事はあるか」ということですが、どういう貢献がしたいのかにもよりますけど、いっぱいあると思いますよ。例えば、アジアに進出している民間企業に就職して、現地の雇用拡大や技術移転に貢献することもそうだし、開発援助案件を扱っているコンサルタント会社もたくさんあるし、あるいは、ジャーナリストになってアジアの途上国の現状を真摯に自分の視点で伝えるのも立派な貢献だし、学者になって大学で教えながらアジアの問題を研究してもいいでしょう。要するに、仕事に対する自分の心構え次第では、いろんな分野でアジアへの貢献が可能なのだと思います。そういった仕事での初任給に関しては千差万別でしょうから、僕には答えられません。それでは、今の気持ちを持ち続けて、是非「アジアへの貢献」を実現させてください。今後ともよろしくお願いします。(慶長)




Local & Global〜地方公務員から転身した国際公務員のサイト
( http://www.keicho.com )