フロントページ>ワシントン通信>2002年>6月
WASHINGTON 通信(June 2002)ブリスベンを発った後、東京に数泊し、昨日ワシントンDCに到着しました。ワシントンは昨日も今日もとても暑いです。既に、夏真っ盛りといった感じです。ワシントンの夏は、ブリスベンと同じくらいに暑くて湿度も高いんですよ。そして冬は僕の故郷の八戸と同じくらい寒くなります。とりあえず、これから夏を迎える絶好の時期に帰ってきて良かったと思っています。これから、この「ワシントン通信」をどれくらいの頻度で更新できるかは分かりませんが、どうぞよろしくお願いします。 途中立ち寄った東京では、いろいろな方々にお会いしました。貴重な時間を割いて会ってくれた皆様、ありがとうございました。サッカーのW杯の開幕気分もちょっぴり味わえました。成田空港の滑走路の横には、「2002 FIFA World Cup」と読めるように、芝の刈り込みがなされていました。成田空港には、韓国入管の臨時カウンターも設置されていました。六本木も銀座も、サッカーのジャージを着た外国人の若者がやたらに目に付きました。特に六本木では、警官が街に溢れていました。フーリガン対策でしょうか。「アメリカでは日本の試合中継はないかもしれないなあ」と思っていましたが、どうやらスポーツ専用チャンネルのESPNが、W杯の全試合を生中継するようです。明日は、こちらの時間で朝5時から日本とベルギーの試合があるので、時差調整は明日以降にしようと思っています。 最後に笑い話をひとつ。東京で泊まっていたホテルには、スペインの国旗が飾られていました。ホテルの人に、「まさかスペインのサッカー・チームが泊まっているわけじゃないですよね」と聞くと、「スペインの副しゅしょうが泊まっています」と言うのです。僕はてっきり「スペインのサッカー・チームの副主将」だと思い込み、「どうして副主将だけが単独で泊まっているのですか?他のチーム・メンバーはどうしたんですか?」と、とんちんかんな事を聞いてしまいました。皆さんはもうお分かりですね。「副しゅしょう」とは、「副主将」ではなく「副首相」のことでした。 昨日は、ワシントン時間の朝5時からW杯の日本対ベルギー戦をテレビ観戦しました。5時少し前に目覚まし時計をセットしていたのですが、結局時差ボケのため全然眠れず、深夜2時半からの中国対コスタリカ戦も見てしまいました。日本の試合を見ていてびっくりしたのが、選手のほとんどが茶髪だったことです。少なくとも、試合中こちらのスポーツ専用チャンネルESPNでアップになった日本選手のうち、茶髪じゃなかったのは、丸刈りの小野と、途中出場した森島と三都主だけでした。そういえば、2点目を決めた茶髪の稲本が抱きついたベンチの秋田の髪も黒かったと思います。 茶髪にもいろいろあって、文字通り茶色いものから、金髪風、赤毛風などの選手がいました。ワシントンでこの茶髪軍団を見ていた僕は、驚きを通り越して、多少の不快さを感じてしまいました。それはおそらく、茶髪そのものに対してではなく、似たように髪を染めている選手があまりにも多すぎるという事実に対してです。髪を染めていなくても、例えば皆が同じようにスポーツ刈りだったとしても、そう感じたかもしれません。丸刈りの小野やソバージュ風の三都主が、妙に頼もしく見えました。アメリカもオーストラリアも多様性に富んだ社会です。そういう中に長くいた自分が、画一的なものを受け付けなくなっているのかもしれません。まあ、サッカー選手なんだから、サッカーがうまければ良しとしましょうか。でも次は勝たないと承知しません。 ワシントンDCと成田を結ぶ飛行機の直行便は、唯一全日空だけです。今回もそうでしたが、僕は大抵この便を利用します。1994年にワシントンに赴任以来、もう何回この便に乗ったでしょうか。この全日空便を降りた後、僕はほとんどいつもワシントンのダレス国際空港で一番か二番に入国審査を終えます。これには秘訣があります。その秘訣をこっそりと教えましょう。 この全日空便を降りた後、ゲートから入国審査を行うターミナル・ビルまでは、シャトル・バスのような乗り物で行くことになります。まずは、最初に出発するバスに乗ることが必須条件です。飛行機を降りる順番は、最初にファースト・クラスの乗客、次にビジネス・クラスの乗客、最後にエコノミー・クラスの乗客です。従って、ビジネス・クラスまでの乗客であれば、まず間違いなく最初のバスに乗り込めるはずです。もしかしたらエコノミー・クラスでも、前の方に座っていて早めに飛行機を降りられれば、この最初のバスに乗れるかもしれません。 さて、重要なのはこのバスに乗ってからです。バスの中では、疲れていても決して座席に座ってはいけません。バスがターミナル・ビルに着くまではせいぜい数分間。バスが出発するまでの待ち時間を入れても、10分くらいでしょう。この10分を座ってしまうと、後で入国審査の長蛇の列に並ぶことになり、確実に10分以上は立ち続けなければなりません。そして最も肝心なのは、バスに乗った後どこに立つかです。最高のポジションは、一番前の入り口の近くで、運転席のすぐ脇です。バスに乗り込んだら、後ろから乗客が押し寄せて来ようが、バスの奥に入り込んではいけないのです。入り口付近に場所を確保し、何があろうと辛抱強くその場をキープしなければなりません。そうすることによって、ターミナル・ビルに到着しバスのドアが開いた時、いの一番にバスから飛び出し、入国審査官目掛けてのダッシュが可能となるのです。 僕はこのやり方で、ことごとく成功しています。もしワシントンに来ることがあれば試してみてください。 今週は仕事には出ずに、家で時差調整に専念しています。とは言っても全く時差ボケが治らずに、毎日夜行性の生活が続いているのです。日中はずうっと寝ていたり、起きている時は荷物の整理をしたり本を読んだりしていました。ただひとつ日課になっていたのが、長女をデイ・スクール(保育幼稚園)まで送り迎えすることです。朝8時半くらいに車で送っていき、夕方5時頃に迎えに行きます。 3歳の長女は夕方迎えに行くと、僕を見るなり「パパっ!!」と言って飛びついてきます。こんな時は娘がとても愛しくなります。そしてよく幼稚園の友達や先生に、「This is my daddy(これが私のお父さんよ)」と紹介してくれます。英語では父親を呼ぶときに大抵ダディを使うようですが、うちの娘達は僕のことを「パパ」と呼んでいます。僕には「パパ」と言い、他人には「ダディ」と紹介する。我が娘ながらこの辺の使い分けは流石です。3歳とは思えない英語を駆使するこの子は天才ではないだろうかと思うのは、やっぱり親バカなんでしょうね。 先週ブリスベンから東京経由でワシントンまで帰ってきた時、愛用のラップ・トップを入れたコンピューター用ブリーフ・ケースを肩に掛け、二つの大きなスーツ・ケースを抱えての旅でした。ブリスベンでも日本でもタクシーを利用しましたが、この二つのスーツ・ケースが後部トランクに入りきらずに、いつもひとつは後部座席において、自分は助手席に座っていました。 ところが、ワシントンのダレス国際空港に着いてタクシーに乗り込むとき、僕の大きなスーツ・ケースは二つともスッポリとタクシーのトランクに納まりました。見た目は普通のセダン型のタクシーでしたが、メイド・イン・アメリカの車はやはりオーストラリアや日本のタクシーに比べて少し大きいんでしょうね。こんな些細なことでも、「ああ、アメリカに帰って来たんだ」という実感が湧きました。 ワシントンに戻ってきてトイレを使う度に、罪悪感にさいなまれています。我が家のトイレには水を流すレバーがひとつ付いているだけなので、大をしても小をしてもこのレバーを押し下げて水を流します。要するに、大をしても小をしても同じだけの水量で汚物を流すのです。この水量は、ほぼ間違いなく「大」を流しきる水量にセットされているはずですから、「小」をする度に不必要な水を使っていることになります。これが僕の罪悪感の理由です。 オーストラリアの水洗トイレは「Dual Flush式」といい、二つのボタンが付いているので、大小に応じて流す水量が調節できるようになっていました。従って、「小」の場合は水が少ししか流れず、節水型のトイレと言えるでしょう。実際オーストラリアでは、法律により「Dual Flush式」以外のトイレは製造・販売できないと聞きました。トイレを流す水は飲料水である必要はないので、オーストラリアの都市では雨水や下水処理水を利用した水洗トイレも普及しつつあります。 アメリカは大量生産・大量消費の国です。以前調べたら、アメリカの人口一人当たりの水の使用量も先進国中トップでした。やはりこの国は、水に関しても資源消費大国だったのです。「大小」を分けずに水を流すトイレの構造も、水の大量消費に貢献しているはずです。ところで、あまり記憶がないのですが、日本の水洗トイレはどうでしたっけ? 5月28日にブリスベンから発送した引越し荷物が、今日6月10日にワシントンの我が家に到着しました。これでブリスベンからの引越しが完了です。今回の引越しは、航空便で2000米ドルまでという世銀側の制限がありました。引越し業者の見積もりでは、この2000ドルというのは重量換算で180キロまでということでした。大中小7つの箱に詰められた僕の荷物の総重量は約140キロだったので、重量オーバーにならずに楽々セーフでした。 荷物の受け取り明細書を見ていて発見したのですが、僕の荷物たちを運んできたのは、「大韓航空」となっていました。ブリスベンとソウルの間に大韓航空の直行便があったかどうかは知りませんが(なければ、僕の荷物はブリスベンから一旦シドニーに運ばれたのかも)、ソウルとワシントンの間には直行便はなかったと思います。ですから、僕の荷物はニューヨークか、さもなければカリフォルニア州のロサンジェルスかサンフランシスコからアメリカに入国しているはずです。大韓航空ですから、いずれにしてもソウル経由でしょう。引越し業者が大韓航空を使ったのは、「儲け」を得るために一番安い航空会社を選んだのに違いありません。ブリスベンからワシントンまで、僕はJALと全日空を乗り継いで東京経由で帰ってきたのに、荷物は大韓航空でソウル経由なんて、ちょっと面白いですよね。 ワシントンは真夏のような暑い日が続いています。今日の最高気温は95度でした。当然これは摂氏(Celsius)ではなくて華氏(Fahrenheit)です。ご存知のように、アメリカでは温度の単位は摂氏ではなくて華氏を使うのです。僕は合計7年以上もアメリカに住んでいますが、今でもこの華氏には慣れません。95度と言われてもピンときません。まあ、華氏の32度が摂氏の0度で、華氏で100度以上の体温なら熱があるということくらいしか頭に入ってません。華氏を摂氏に換算するのは、まず32を引いてから、9分の5を掛けるのです。例えば今日の最高気温の場合は、 (95−32)x 5/9 = 35 ということで、摂氏35度に相当します。これを暗算でやるのははっきり言って無理ですよね。少なくとも僕には無理なので、いつからか華氏を摂氏に換算しようとするのは止めました。従って気温に関しては、凄く暑い、暑い、丁度よい、寒い、凄く寒いという5段階くらいの評価基準で僕は暮らしています。 アメリカでは温度の単位ばかりではなく、他のほとんどの単位も他国とは違うものを用いています。長さはメートルやキロメートルではなくインチやフィートやマイルだし、重さはグラムやキログラムではなくポンドだし、容量はリットルではなくガロンです。こういうのも全然ピンときません。アメリカ以外にもこういう単位を使っている国があるのでしょうか。少なくとも、僕が今まで訪れたアメリカ以外の国では、こういう温度や長さや重さや容量の単位は、日本と同じように摂氏やメートルやグラムだったように思います(日本も昔は尺や寸という単位を使っていましたが)。ではどうしてアメリカだけ違うんでしょうか。誰か知っている人がいたら是非教えて下さい。 前回、「アメリカは他の多くの国とは長さや重さや温度の単位が違う」ということを書きましたが、実は紙のサイズも違います。僕の知る限り、ビジネス文書などに使う紙のサイズは、日本やオーストラリアやヨーロッパなどでは、A4サイズと呼ばれる大きさです。ところがアメリカではこのA4サイズより縦が少し短く、横幅が少し広いレター・サイズという紙が使われています。ですから、アメリカにいて外国からEメールの添付文書などが送られてくると、その文書をA4からレター・サイズに変換しないと印刷ができないことが多いんです。このレター・サイズっていうのもアメリカ以外では見たことがありません。 やっぱりアメリカは、他人のやり方に自分たちのやり方を合わせることは良しとしないお国柄なんでしょうか。それを驕りととるか個性や自立心ととるかは、人それぞれでしょうが。紙のサイズについて言えば、僕は個人的にはA4よりレター・サイズの方が好きです。A4はちょっと細長すぎるような気がするので。 先日、韓国人がやっている日本食レストランで昼食を食べました。そこの和食は、はっきり言ってイマイチなので、「握るだけの寿司ならあんまり味に大差はないだろう」と思い、寿司を食べました。思ったとおり、まあまあでした。寿司はネタさえ新鮮であれば、日本人が握ろうが韓国人が握ろうが関係ないみたいですね。 寿司のメニューを見て、やっぱりアメリカだなあと思いました。それは、アメリカの地名がついたユニークな巻き寿司が多かったからです。以下に紹介してみます。 1.アラスカ・ロール(鮭、アボカド、きゅうりの巻物) 2.ボストン・ロール(海老、アボカド、きゅうりの巻物) 3.カリフォルニア・ロール(蟹、アボカド、トビコの巻物) 4.フィラデルフィア・ロール(スモークサーモン、チーズ、きゅうりの巻物) 5.ニューヨーク・ロール(鮭の皮、きゅうりの巻物) 6.ラスベガス・ロール(鰻、蟹、アボカド、チーズの巻物) どうですか。どれか食べてみたいものはありますか。僕は、にぎり寿司に加えて、アラスカ・ロールを食べました。アラスカ・ロールはアボカドのとろりとした舌触りが「トロ」のようで、美味しかったです。オーストラリアでも、アボカドを使った巻き寿司には結構お目にかかりました。でも、寿司にチーズを入れるのは邪道のような気がします。ですから、フィラデルフィア・ロールとラスベガス・ロールは食べたいとは思いません。それにしても、どうしてこういう寿司にそれぞれの地名が使われているのでしょうか。その土地のシェフが最初に考案した寿司ということでしょうか? 「メジャー・リーグ」と言えば、当然メジャー・リーグ・ベースボール(野球の大リーグ)を連想しますが、アメリカには実はもうひとつのメジャー・リーグがあります。それは、「メジャー・リーグ・サッカー(MLS)」と呼ばれるサッカーのプロ・リーグです。皆さん、ご存知でしたか? このMLSは、1994年にアメリカで開催されたW杯を機に計画され、1996年に発足しました。ということは、日本のJリーグより歴史が浅いということです。現在は、東西2リーグに合計10のプロチームがあります。ワシントンにも、「DCユナイテッド」というチームがあります。サッカー不毛の地と言われるアメリカでは、少し前まではサッカーは大して人気がなく、このMLSもその名前とは裏腹にマイナー・リーグ扱いをされていたように思います。しかし、最近では国内のマスコミもこのMLSを数多く取り上げるようになり、アメリカでもサッカーはメジャーなスポーツの仲間入りをしつつあるようです。 国際的にも、アメリカのサッカーは徐々にその地位を築きつつあるようです。2002年のシドニー五輪では大健闘の4位でした。今回のW杯でも開催前は全くのノーマークでしたが、堂々のベスト8入りを果たしました。今日惜しくも準々決勝でドイツに敗れましたが、その戦いぶりは見事でした。このようなアメリカ代表サッカー・チームのここ数年の躍進にとって、MLSが果たした役割は大きなものがあったというのは疑いのない事実でしょう。Jリーグが日本サッカーの強化に役立っているのと同じ事です。ちなみにMLSには、「1チームに外国人は3人まで」という日本のプロ野球のようなルールがあります。なんか寛容なアメリカに相応しくないルールのような気がしますが、それだけ国内選手の強化に力を入れたいということなんでしょうね。 確かあれは、オーストラリアでCNNか何かを見ていた時だったと思います。W杯開幕前に、「W杯が日本で開催されますよ」ということを宣伝するCMが流れました。それは、相撲取りがサッカーをしている場面でした。ゴールキーパーをしていた力士は人一倍大きくて、ゴール前に立ちはだかっているだけでほとんどゴールをカバーしてしまうので、相手チームがいくらシュートを放ってもゴールに入りませんでした。変なCMだなあと思いましたが、まあユーモラスだったので許します。ちなみにこのCMのスポンサーはどこだったかは、覚えていません。 ワシントンに戻ってきて、実際のW杯を見ていても、ハーフタイムなどに流れるCMはサッカーを題材にしたものが多いですね。その中で、やっぱり相撲取りが出てくるCMがあるんです。そのCMはあるクレジット・カード会社のCMで、サッカーの試合後に互いに戦った選手同士がジャージを交換するように、世界中の街角で人々が身に着けているものを交換するというものです。地下鉄の中で若者がTシャツを交換したり、どこかのレストランで料理人がエプロンを交換したり、ミスコンの会場でコンテスト参加者がタスキを交換したりというシーンが次々に出てきます。そして最後の方で、日本のどこかの街角で、力士が着ていた浴衣を交換する映像が映し出されます。どうせなら、土俵上で取り組み後にまわしを交換するシーンにすれば良かったのに...。 今日の金曜日は「オルターナティブ・ワーク・スケジュール(AWS)」のため休みでした。このAWSは、2週間に一度金曜日が休みになるという、とてもいい制度です。要するに、一週おきに金・土・日と3連休があるのです。世銀ではこの制度が3〜4年ほど前から始まりましたが、アメリカでは政府機関などもこの制度を採用しているところが多いようです。 AWSの制度概要は次の通りです。通常は、一日に8時間勤務で月曜から金曜まで週5日なので、一週間に40時間働いたことになります。つまり、2週間で80時間です。この通常の勤務体系を、「一日9時間勤務にして2週間で9日働けばいい」というふうに変えたのがAWSです。これだと、9X9=81で、1時間超過なので、より正確に言うと、「月曜から木曜までは9時間勤務で、1週目の金曜日は8時間勤務、2週目の金曜日は休み」となります。これで、丁度2週間で80時間となるのです。 こんなことを言うと、日本の企業戦士に怒られるかもしれませんが、でも一日9時間っていうのは結構長いです。特に僕はブリスベン市庁での勤務時間が7時間15分だったので、それに比べれば2時間近くも長くて、まだこのペースに慣れません。ちなみに、通常の一日8時間勤務にするか、9時間働いて2週に一度3連休をもらうかは、個人個人で選べます。あなたなら、どちらにしますか。僕は絶対3連休の方を選びます。 ( http://www.keicho.com ) |