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WASHINGTON 通信(March 2003)



恐竜の通信簿 (2003/03/01)


 娘達が通うデイ・スクールは、今日も雪でお休みでした。このデイ・スクールというのは、保育園と幼稚園が合体したようなもので、結構教育的なカリキュラムもあり、夕方6時まで子供をあずかってくれます。2歳から5歳までの子供たちが通っていて、3っつのクラスに分かれています。2歳半の次女のクラスは「Butterfly(蝶々組)」で、先日4歳になった長女のクラスは「Dinosaur(恐竜組)」です。この間に3歳児の「Happy Face(笑顔組?)」があります。

 さて、恐竜組の我が家の長女が、デイ・スクールから先日初めて「通信簿」をもらいました。その「通信簿」は、とても評価項目が多くてびっくりしました。ちょっと面白いので、それを紹介します。

<情報>
1.アルファベットが言える
2.自分の姓名が言えて、名前が書ける
3.自分の誕生日が言える
4.様々な形と色が分かる
5.一月から十二月までが言える
6.日曜日から土曜日までが言える
7.大文字と小文字の違いが分かる
8.一から二十までが数えられる

<社会的・感情的発育>
9.友達と仲良く遊べる
10.順番を守り、物を独占しない
11.怒りは言葉で表現し、暴力は振るわない
12.新しい事に挑戦したがる
13.集団行動ができる
14.十五分以上、あることに集中できる
15.自分の作品を大事にする
16.自力で物事に取り組む
17.勉強熱心である
18.お話を真剣に聞く
19.自制心がある

<運動能力>
20.文字をはっきり書ける
21.鉛筆を正しく持てる
22.ハサミを使える
23.ボールを蹴れる
24.ドアを開けられる
25.ひもが結べる
26.ジッパーを閉じられる
27.スプーンを上手に使える
28.ボールをバウンドさせてつかめる
29.片足で立てる

<文字>
30.習ったアルファベットを正しく発音できる
31.そのアルファベットで始まる単語を言える
32.そのアルファベットの大文字と小文字を書ける

<概念>
33.物事の同異が分かる
34.同じ仲間が分かる
35.仲間はずれが分かる
36.反対が分かる
37.大きい小さいが分かる
38.高い低いが分かる
39.満杯と空っぽが分かる
40.多い少ないが分かる
41.上、下、横が分かる
42.首位とビリが分かる
43.長い短いが分かる
44.時間の前後関係が分かる
45.物事の時間的推移が分かる
46.大きさの変化の推移が分かる

 という全部で46個の評価項目があり、それぞれに「Satisfactory(よくできました)」、「Progressing(頑張っています)」、「Improvement Needed(もっと頑張りましょう)」、「No Interest(無関心)」という四段階評価です。で、うちの長女の成績はというと、ひとつ「もっと頑張りましょう」があっただけで、あとは全部「よくできました」でした。そのたったひとつの「もっと頑張りましょう」とは、「ひもが結べる」というヤツです。我が家の恐竜は、4歳にしては恐ろしいほど賢いけれど、手先はあんまり器用じゃないようです。それにしても、「最初からこの好成績では、成績が上がる楽しみがほとんどないなあ」と思うのは、贅沢な悩みでしょうか。



一難去ってまた一難 (2003/03/04)


 先週はスリランカの政府代表団を雪のワシントンに迎えて、融資案件の交渉がありました。月曜の朝から木曜の夜まで、タフな交渉が続きました。世銀側は、ほとんど僕とロイヤー二人だけでやっていたので、終わったあとはどっと疲れが出ました。まあ交渉は成功と言えるでしょう(詳細をこの場で公表できないのが残念です)。

 ひとつ難題を片付けたばかりですが、今日これからヒマラヤの秘境ブータンへ飛びます。新たに担当することになった、ブータンの地方都市開発のプロジェクトのためです。ということで、今は、ワシントンのダレス国際空港で書いています。このブータンのプロジェクトは、実施から数年が経ち折り返し地点にさしかかっていますが、あんまり進行状況がおもわしくないみたいです。このプロジェクトをどう立て直すか、またまた難題が待ち構えています。ブータンは初めて行くので楽しみですが、ちょっと寒いと聞いているので心配です。そんなに寒くないことを祈ります。途中、バンコックからまた更新できると思います。それでは、行ってきます。



パロ〜ダッカ〜ヤンゴン〜バンコック〜関空 (2003/03/16)


 今朝早く関空に着きました。ブータン最後の夜は、空港のある町パロに泊まりました。そのパロ発バンコック行きのブータン国営ドゥルック航空は、途中バングラデシュのダッカとミャンマーのヤンゴンを経由しました。ダッカは何度も訪れたことがありますが、ヤンゴンは行ったことが無かったので、空港だけでもどんなところか見るのが楽しみでした。

 そのヤンゴンの街ですが、空から見るとだだっ広い平野の中にあるということが分かります。その平野に何本も濁った川が流れていました。ヤンゴン国際空港のターミナルビルはかなり立派で、仏教の影響なのか、まるでタイの寺院のようなデザインでした。隣に乗っていたブータン人は、「ミャンマーでは、アメリカの経済制裁のせいでコカ・コーラがめちゃくちゃ高いんだ」と言っていました。彼はドゥルック航空のヤンゴン事務所に勤務しているということで、ヤンゴンで降りていきました。

 ヤンゴン空港に停まっていた飛行機は、見覚えの無い機体ばかりでした。「Myamma Airways(ミャンマー航空)」という飛行機を初めて見ました。唯一見覚えがあったのは、「シルク航空」というシンガポール航空の系列航空会社の飛行機でした。空港で働いている人々は、ほとんどが半袖でかなり暑そうに見えました。その中に、アウンサン・スーチーさんにそっくりな女性の空港係員もいました。いつの日か、空港だけではなくミャンマーの大地にも足を踏み入れてみたいです。



戦うべき相手はイラクではなく、水問題。 (2003/03/18)


 世界180ヶ国から約8000人が参加して、世界の水問題を話し合う第三回「世界水フォーラム」が始まりました。主会場が京都の国際会議場で、大阪と滋賀でも会議があります。京都のホテルはどこも満員だったため、僕は大阪に滞在しています。今週は大阪と京都を行ったり来たりです。京都の国際会議場で「フォーラム」の参加登録をしたら、プログラムや資料の他に、新幹線で大阪〜京都間2往復できる引換券や、京都市内の地下鉄とバス乗り放題の一日乗車券が5枚もらえました。参加料も思ったより高くなく、「日本政府からの補助金がフォーラムの運営にかなり注ぎ込まれているのではないか」、と他の参加者も言っていました。この「世界水フォーラム」では、水に関する38のテーマで350の分科会が行われるので、どの分科会に参加しようかと決めるのも結構難しいですね。まあ僕は、「都市と水」や「途上国の水問題」などのテーマを中心に参加しようと思っていますが。

 この「フォーラム」にはいろいろな国から知り合いが来ているはずですが、これだけ大勢の人が参加していると探すのが大変です。でも昨日、京都会場でブリスベン市庁時代のボスにばったりと出会いました。嬉しい再会でした。即、ディナーの約束を取り付けました。それから、会場で幸田シャーミンさんも見かけましたよ。「プレス」と書かれたタグを付けていたので、取材に来ていたのでしょう。

 緊迫するイラク情勢を受けて、「フォーラム」に参加するはずだった大物のキャンセルが相次いでいるようです。フランスのシラク大統領や国連のアナン事務総長は、その代表例です。会場で配られた資料には、「戦うべき相手はイラクではなく、水問題」と書かれたものもありました。全くその通り。世界には水問題に代表される環境問題や途上国の貧困問題など、地球社会が結束して対処しなければならない問題が山積しています。戦争などしている場合ではないのです。



この戦争を忘れない。 (2003/03/21)


 昨日の戦争開始以来、実にやりきれない思いです。どうしてこんなにも人間は愚かなのでしょうか。フセインもブッシュも、傍観の小泉も、指導者として全く相応しくありません。今回の戦争突入の理由は、何度聞いても論理的でなく、正当化できるとは到底思えません。いや、そもそも正当化できる戦争なんて、果たしてあるのでしょうか。イラクもアメリカも、そして全ての国が大量破壊兵器を破棄すべし。この戦争を忘れてはいけないと思います。誰が戦争を支持し、誰が戦争回避のために真剣な努力をしたのか。忘れてはいけない。

 この週末は故郷の八戸でいろいろな人と会う予定でしたが、全てキャンセルしてワシントンに早めに戻ることにしました。ワシントンでもテロなど何が起こるか分からないので、一刻も早く家族のもとに戻りたいと思います。ご迷惑をおかけした皆様、申し訳ありませんでした。



日本人は旅行キャンセル、アメリカ人は帰国ラッシュ (2003/03/23)


 無事ワシントンに戻りました。戦争をしている当事国の首都に戻って来るというのも、なんか複雑な思いです。当然ながら、こちらはテレビも新聞も戦争報道一色で、気分が塞いでしまいます。

 ワシントンに戻る際に利用した成田〜ワシントン間直行の全日空便の機内は、いつもと全く違う様子でした。僕はこの便をとてもよく利用していますが、いつもは8〜9割の乗客が日本人なんです。ところが今回は、アメリカ人ばかり。いつもとは逆に8〜9割の乗客がアメリカ人でした。考えられる理由はただひとつ。対イラク戦争の勃発です。戦争のため、日本人旅行者の多くがアメリカ行きをキャンセルしたのでしょう。一方、日本や他のアジアに出張中だった多くのアメリカ人は、僕と同様に急遽帰国するべく、この時期のこの便に殺到したのでしょう。その結果として、機内はアメリカ人ばかりとなった訳です。僕の座席の周りに座っていたアメリカ人たちは、全員、機内食で洋食を食べていました。今回ばかりは、和食が余ってしまったのではないでしょうか。



春なのに (2003/03/26)


 ワシントンはこのところ、とても暖かい日が続いています。今日も、日中の最高気温は20℃近くになりました。まだ3月だというのに、街には半袖や半ズボンを身につけた気の早い連中が多く見られます。今年の冬はとても寒く雪が多かったので、重いコートのいらない春の到来を、皆より一層嬉しく思っているのでしょう。この分だと、もうすぐワシントン名物の桜も開花しそうです。これで戦争がなかったら、心からウキウキとなるんでしょうが。春なのに、春なのに、ため息またひとつ。



厳重な警備と軽微な警備 (2003/03/29)


 戦争が始まって以来、ワシントンの中心部にある世銀本部のビルの警備がかなり厳しくなっています。以前からこのビルのセキュリティは、金属探知機やIDカード読み取り機などがあって空港並みに厳しいのです。しかし、最近の一層厳重な警備は以前と比べ物になりません。

 まず、四箇所あるビルの入り口のうち、三箇所が閉鎖されました。要するに、職員もビジターも、ひとつの入り口からしかビルに入れなくなったのです。その唯一開いている入り口の前には、いつも拳銃を腰に下げた警察官が数人いて、いちいち一人一人のIDをチェックします。職員も、警官のチェックが終わって初めてビル内に入れるのです。ビルに入った後は、今まで通り職員専用IDカードを読み取り機械にかざし、金属探知機を通過し、最後にもう一度警備員がIDカードの写真と本人の顔を念入りに比べます。これらを全て無事に通過して、初めてビル内を自由に行動できる身となるのです。専用IDカードのない職員以外のビジターは、警備員が訪問先の職員に確認をとり、パスポートなどのIDを見せて入場パスを発行してもらった後、荷物検査を受けなければなりません。ひとつの入り口で警備員たちがこの作業をしているので、最近は朝の通勤時などは入り口が混雑し、行列ができるほどです。世銀などの国際機関は、アメリカの手下だと誤解されることも多く、反米テロの標的になる可能性が否定できないので、このような厳重な警備が必要なのでしょう。

 それに比べて、僕はワシントンの地下鉄の警備の軽さが気になります。東京の地下鉄サリン事件や、最近の韓国の地下鉄放火事件が示すように、切符を買うだけで全くチェックもなしに誰でも乗り込める地下鉄という乗り物は、結構リスクがあるような気がします。毎日利用しているワシントンの地下鉄ですが、そう考えると恐くなります。何か、地下鉄のセキュリティを厳しくする有効な手段はないのでしょうか。でも、空港のようなセキュリティを全ての地下鉄の駅で導入するのは、ほとんど不可能でしょう。おそらく今は、飛行機が一番安全な乗り物なのかもしれません。



村主章枝さん銅メダル (2003/03/30)


 ニュース速報です。ワシントンで行われているフィギュア・スケートの世界選手権、女子フリー演技がたった今終わりました。僕の応援している村主章枝(すぐりふみえ)さんが、見事に銅メダルを獲得です。前日のショート・プログラムを終えて三位につけていた村主さんが、銅メダル争いで何とか逃げ切った形です。僕もテレビで見ていましたが、今日の村主さんはミスが2回ほどありました。そのせいか、演技を終えた後いつもの晴々した表情はありませんでした。点数の発表を待つ間も緊張している様子でしたが、メダルが取れてよかったです。ちなみに、優勝はミッシェル・クワンでした。オリンピックでは何故か勝てないミッシェルも、世界選手権は今回で実に5回目の優勝だそうです。

 村主さんのことは、彼女が2001年8月にブリスベンで行われたグッドウィル・ゲームで銅メダルを獲得して以来、応援しています。僕が住んでいたブリスベンで銅メダル、今回もワシントンで銅メダルと、何か縁があるんじゃないかと勝手に思っています。彼女のHPへは、「リンク集」のページからリンクしていますので、興味のある人は見てください。



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