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WASHINGTON 通信(October 2003)



四十にして惑わず。 (2003/10/01)


 とうとう40歳になってしまいました。少年の頃は40男なんてかなりオジサンだと思っていましたが、自分がなってみるとまだまだ若いもんじゃん。はっきり言って、「惑わず」という心境とはほど遠いですね。4歳の長女に言わせると、僕は26歳に見えるらしい。なかなか正直な子供だ。

 とは言っても多分人生の半分以上は過ぎちゃったので、先が見えてきたようでちょっと怖いです。60歳で停年退職してオーストラリアに移住するとすれば、あと20年しかありません。その20年の間に一度は途上国とヨーロッパに住みたいし、日本や故郷にも何らかの形で恩返しをしたい。できれば故郷で市長を二期8年務めて、その後また国際舞台に戻って来る、というのが今考えている理想のシナリオです。それを実現させようとすれば、もうあんまり残された時間はありませんね。

 まあ、国際社会も急激に変化していますし科学技術も日々進歩していますので、今後の20年間で世界がどうなっていくのかちょっと予測できませんね。だから、おそらくシナリオ通りには行かないでしょう。いつどういうチャンスが来るかもしれませんし、いつ意に反して解雇されたりするかもしれません。ただ、何が起きても対処できるように、これからもスキルを磨き続けたいとは思っています。おっと健康にも気をつけないと。40になったので、そのうち人間ドックにでも入ろうかと思っている今日この頃です。



ワシントンの短い秋 (2003/10/03)


 ワシントンは10月に入って急に冷え込んできました。今日の最低気温は摂氏10℃を下回りました。日中も13〜14℃くらいでしょうか。風も冷たいです。つい先週の前半くらいまではまだまだ暑い日も多く、うちの娘達も半袖で保育園に通っていましたが、この頃は厚めのジャケットが必要になっています。ワシントンは、比較的四季のはっきりしている日本に比べれば春と秋が短くて、極端に言えば夏が終われば冬になり、冬が終われば夏になるという感じです。夏はとても蒸し暑く、冬は滅茶苦茶に寒いです。その寒い冬がもうそこまでやって来ているようです。

 短いワシントンの秋には、街中でリスをたくさん目にします。すばしっこいリスが木から木へ、道から道へと走り回っています。このあいだリスが齧っていたドングリを見たら、日本の細長いドングリとは違って、真ん丸い球のようなドングリでした。あれは何の実でしょうか。ちなみにリスは英語で「squirrel」といい、発音がとても難しいです。僕はいまだに上手く発音できません。



ファンを重視したメジャー・リーグの日程 (2003/10/04)


 今日、松井がメジャー・リーグのプレーオフ(対ツインズ戦)でホームランを打ちました。これでヤンキースは、リーグ優勝決定シリーズへの進出に王手をかけました。メジャー・リーグのポスト・シーズンでホームランを打った日本人は、今日の松井が初めてです。ワールド・シリーズでも是非打ってほしいものですね。ちなみにワールド・シリーズで初めてヒットを打った日本人は新庄です。

 松井のホームランが出たのを機に、ちょっとメジャー・リーグのプレーオフについて書いておこうと思います。これはアメリカに来た当初から思っていたことですが、公式戦終了後にすぐプレーオフが始まるというのは、ファンにとっては嬉しいですね。メジャー・リーグの公式戦は今週の日曜日に全日程を終了し、もう火曜日からプレーオフです。中一日空いている月曜日は、万が一勝率が同じ複数のチームが出て優勝が決まらなかった場合(あるいは、ワイルド・カードのチームが決まらなかった場合)に決着をつけるためのものです。

 日本のプロ野球のように、優勝が決まってもダラダラと消化試合が続いたり、チームによっては公式戦の全日程が終わってから日本シリーズまで数週間も待たなければならないというようなことは、メジャー・リーグではあり得ません。各チームの試合数に大きなバラつきがあり、優勝を争っている一方のチームが早く全日程を終えてしまい、あとは相手の結果待ちなんていうのも、日本のプロ野球ではよくありますがメジャー・リーグではありません。メジャー・リーグは大抵の場合、全てのチームが同じ日に公式戦を終了することになっていて、その結果、プレーオフは中一日で始めることが可能なのです。この方が、全くもってファンを重視した運営と言えるのではないでしょうか。

 ではなぜこのようなことが可能なのでしょう。まあ日本のように梅雨がなく、雨天中止が比較的少ないので、中止になった試合をシーズン終了間際に行うための予備日を設けておく必要がないという理由もあるのかもしれません。でも、メジャー・リーグだって試合が中止になることはあります。今シーズンも、ハリケーン「イザベル」が直撃した時やニューヨークの大停電の時は、当然中止になった試合もありました。しかしながら、メジャー・リーグでは中止になった試合のほとんどは、予備日に新たに行うのではなく、あらかじめ試合予定がある日にダブルヘッダーとして組み込まれてしまうのです。そのため各チームが一斉にレギュラー・シーズンを終了し、すぐプレーオフを始めることが可能なのです。中止になった試合は、原則としてダブルヘッダーで消化する。移動距離も日本よりははるかに長く、移動日程も厳しいメジャー・リーグでこれが可能なのですから、日本のプロ野球にできないわけがないと思うのですが。ファンのためにはそっちの方がいいと思いますよ。ところで、日本シリーズはまだ始まらないんですか?



松井のホームランを巡る日米報道の違い (2003/10/06)


 おとといのツインズ戦で松井が打ったホームランに関する日米の報道に、微妙な違いがありました。面白いのでベースボールの話を続けます。

 日本時間10月5日付け発信の朝日新聞のウェブサイトには、「松井、監督の指示無視?した一発」というタイトルの記事があります。この記事を読むと、松井はヤンキースのトーレ監督が出した「高めの速球に手を出すな」という指示に逆らって高めの球をホームランにした、という内容になっています。ところが、こちらの10月5日付けワシントン・ポストには、トーレ監督は「Be ready for high fastballs」という指示を出し、松井はその監督の指示通りに「Matsui was (ready)」だったから打てたという内容の記事があります。「Be ready for」というのは、「準備をする」とか「用意をする」とかいう意味ですから、トーレ監督は「高めの速球が来るから、それに備えていろ」という指示を出し、松井はそれに備えていたということになります。同じホームランでも、朝日の記事だと松井は監督の指示を無視したことになり、ワシントン・ポストの記事だと松井は監督の指示に忠実だったということになります。

 なぜ、日米の新聞でこのような違った報道になったのでしょうか。考えられるのは、三つ。

(1)日本人の記者(あるいは通訳者)が、試合後のトーレ監督の共同記者会見の英語を理解できずに、聞き取れた単語などを基にストーリーを作り上げた。
(2)日本人記者が、試合後の共同記者会見とは別にトーレ監督と単独会見を行い、トーレ監督はその際、共同会見とは異なる話をした。
(3)日本人記者は、トーレ監督の話は聞かずに試合後に松井にインタビューし、松井の話を記事にした。この場合、松井はトーレ監督の指示を「高めを捨てろ」だと勘違いして思い込んでいたにもかかわらず、高めの球に手を出したことになります。

 僕の想像では、上記の(3)である確率が60%、(1)である確率が35%、(2)は5%くらいでしょうか。真相は闇の中です。



自殺橋という名のレストラン (2003/10/07)


 週末に家族で一泊旅行に行ってきました。行ったのは、メリーランド州のケンブリッジという街にあるリゾート・ホテルです。チェサピーク湾にかかるベイブリッジを越えて、ワシントンからは高速で片道2時間くらいでした。そのホテルはチェサピーク湾に面して建てられており、去年の8月にオープンしたばかりということもあって、とても綺麗なところでした。

 泊まった日の夜に、そのホテル内のレストランで夕食を食べようとしましたが、予約していなかったため入れませんでした。仕方がないので、コンシェルジェが教えてくれたケンブリッジで最高のレストランという所に行ってみることにしました。そのレストランの名前は「Suicide Bridge Restaurant(自殺橋のレストラン)」という何とも恐ろしいもので、チェサピーク湾の入り江にかかる「自殺橋」という小さな橋のそばにありました。そのレストランでもらった「自殺橋の伝説」というタイトルの説明書によると、この橋が1888年に建設されて以来、多くの人がこの橋から飛び降りたり、この橋の上で自分を銃で撃ったりして自殺したそうです。

 そういう歴史があるので、この橋が「自殺橋」と呼ばれるのは仕方がないのかもしれません。でも、この橋のそばにあるからと言って、どうして客商売のレストランにまで「自殺橋のレストラン」なんていう縁起の悪い名前を付けたんでしょうか。僕にはちょっと理解できません。味の方も、街で最高のレストランにしてははっきり言って不満でした。海老の料理を食べた次女は、あまりに塩辛かったので、一口食べて「ギャー」と叫んだほどです。今度ケンブリッジに行く時は、必ずリゾート・ホテル内のレストランを予約してから行くことにしよう。



現職リコールと新知事選の同時投票 (2003/10/08)


 ご存知のように、カリフォルニア州ではアーノルド・シュワルツェネガー知事が誕生することになりました。昨日投票が行われた今回のカリフォルニア州の選挙で僕が気になっていたのは、俳優知事が誕生するかどうかということでも、新知事選への立候補者の多さでもなく、現職知事のリコール(解職)と新知事選が同時に投票されるということでした。カリフォルニア州の有権者は昨日、まず現職知事のリコールに賛成するかしないかを選び、次に、もしリコールが成立した場合には誰が新知事に相応しいかを選ばなければなりませんでした。仮に現職知事のリコールが成立しなかった場合、新知事選へ立候補していた全ての候補が選挙キャンペーン中に費やした時間やエネルギー、費用が無駄になっていたところでした。

 ちなみに日本では、こういうことは起こりません。なぜなら日本の公職選挙法では、地方自治体の長が解職された場合、50日以内に出直し選挙を行う規定になっているからです。要するに日本では、現職のリコール投票と新知事選は別の日に行われるのです。と言うよりも、リコールが成立して初めて新首長を選ぶ選挙が行われるのです。これだと、リコールで失職した首長が再度出直し選挙に立候補できます。現に滋賀県豊郷町では、今年3月9日のリコール投票で失職した大野町長が、4月27日の出直し町長選で僅差ながら再選されています。

 カリフォルニア州のように現職のリコール投票と出直し首長選を同時に実施する最大の利点は、リコールが成立した時には新しい首長が決まっているので、リーダーシップの空白期間が極めて短いということではないでしょうか。また、現職がリコールされた場合の新首長候補の顔ぶれが出揃っているということは、有権者にとっては選択する上で分かりやすいでしょう。新たな候補者の顔ぶれを見て、「現職も嫌いだけれど、新たな候補者もいい人がいないから、リコールには反対しておくか」とか、「あまり現職に不満はないけど、今度のこの候補者の方が断然いいから、リコールに賛成しよう」という判断をする有権者もいることでしょう。

 でも、現職のリコール投票と新首長選を、同時に行うべきか別々に行うべきかというのは、なかなか難しい問題だと思います。別々に行った方がスッキリするような気もしますけど、その方が選挙を二度やる費用など社会的コストがかかるのかもしれません。いろいろなケースを想定してこの問題を論じると、大論文が書けそうです。そんな時間も能力もないので、今回は問題提起だけに留めておきます。それにしても、シュワルツェネガー氏がどんな知事を演じるか、楽しみと言えば楽しみです。



インターネットで運転免許を更新する。 (2003/10/10)


 アメリカでは、運転免許証の発行は各州の権限になっています。僕は1998年にワシントンのお隣バージニア州で、初めてアメリカの運転免許を取得しました。その免許証の有効期限は、取得から5年目を向える今年の10月末(誕生月の最終日)になっていました。要するに、今月末までに免許証の更新をすることになっていたのです。

 あれは9月の中旬でした。バージニア州のDepartment of Motor Vehicles(DMV〜自動車局)から免許更新のお知らせが郵送されてきたのです。それによると、運転免許証の更新は5種類の方法によって可能だということが分かりました。その5種類とは、(1)インターネット、(2)郵送、(3)電話、(4)DMVに設置された機械を利用、(5)DMVの窓口訪問です。これだけ選択肢があると、どんな人でも自分のライフスタイルにあった方法を選べます。で、僕は当然ながらインターネットで免許証を更新しました。

 インターネットでの免許更新は、実に簡単でした。まずDMVのウェブサイトにアクセスし、あらかじめ送られてきた認証番号と必要事項をコンピューターの画面上で入力し、あとは手数料をクレジットカードで払うだけです。先日この作業をしたところ、約一週間後の今週初めには、もう新しい免許証が郵送されてきました。仕事を休んでDMVの窓口にわざわざ出向かなくてもいいし、窓口の長蛇の列に並びしばらく待たされなくてもいいなんて、行政サービスもインターネットのおかげで便利になったものです。ちなみに新しい免許証の写真は、5年前の写真がそのまま使われていました。しかし、この写真は10年間だけしか有効じゃないということなので、次の2008年の免許更新時には、DMVに出向いて新たに写真を取り直さなければならないということです。

 さて、僕の日本の運転免許証は、もう大分前に失効したままです。あれも、もしインターネットで更新できれば、アメリカからも更新できたのに。失効した日本の免許を取り直すのには、どうしたらいいのでしょうか。再度、ペーパー試験と路上試験を受けるということにならなければいいのですが。



セント・ルイスの911号室 (2003/10/11)


 あるセミナーに出席するために、ミズーリ州のセント・ルイスという街に来ています。セント・ルイスというと、田口選手がいる大リーグのカージナルスの本拠地ということ以外には全く知りません。今日の4時頃ワシントンを発って、飛行時間2時間ちょっとで到着しました。ワシントンよりは幾分暖かく感じます。

 地図で見ると分かりますが、セント・ルイスはミシシッピー川の河畔にできた都市です。時間があったらミシシッピー川まで行ってみたいと思っていましたが、明日のセミナー会場を下見してホテルに戻ってきたら、もう真っ暗だったので諦めました。このホテルから15分くらい歩くと河畔に着くと聞きましたが、アメリカで知らない街をしかも夜に一人で歩く気にはなれませんでした。明日もセミナーが終わったらワシントンにトンボ返りなので、ミシシッピー川を見るチャンスはないでしょう。残念だけど仕方がありません。

 さて、都心のホテルにチェックインしましたが、部屋の鍵を渡される時、部屋番号を聞いてちょっとドッキリしました。911号室だったのです。英語では911は「ナイン・イレブン」と発音します。そうです。「ナイン・イレブン」とは、あの2001年9月11日に起こった同時多発テロの代名詞なのです。やっぱり、あんまりいい気はしませんね。今晩、怖い夢を見なければいいのですが。



JFKより (2003/10/13)


 今ニューヨークのJFK空港にいます。アメリカは今日は「コロンブス・デー」の休日ですが、僕はこれからブータンへ出張です。成田、バンコック、ヤンゴン、ダッカを経由してブータンのパロ空港までの長旅になります。昨日の深夜にセント・ルイスからワシントンに戻り、今朝早くニューヨークに来ました。

 今回の出張をニューヨーク回りにしたのには訳があります。それは、長旅なので少しでも眠れて疲労が残らないようにしようと思ったのです。全日空のニューヨーク〜成田便は新しい機体を導入していて、ビジネス・クラスでもリクライニングすると座席が一直線になるということです(多少の傾斜あり)。これだと、機内ではほとんど眠れない僕でも眠れるかもしれません。ニューヨーク便は、機内食のサービスもいいと聞いたので期待しています。詳しくは、「グルメですかい」のページで報告するつもりです。早くこの新機体を、ワシントン便にも導入してほしいものです。では行ってきます。



出張用のデュアル・ウォッチ (2003/10/30)


 ブータンからコルカタ、バンコック、成田を経由して、先ほどワシントンに帰ってきました。ワシントンは思ったより暖かいです。

 最近僕は出張や旅行に行くときに、いつもとは違う腕時計をしていきます。この腕時計は一年くらい前に全日空の機内販売で買ったもので、タイメックス社の「デュアルタイム・ウォッチ」というヤツです。縦長のフェイスに時分針が上下に二組付いていて、二箇所の違う場所の時間を表示できるので便利です。ボタンを押すと文字盤が光るというのも、暗いところでも時間が読めていいですね。この時計の下の針は家族がいるワシントンの時間にいつもセットしてあります。上の方の針は自分がその時に滞在している土地の時間にするため、移動する度に時間を合わせ直します。こうすることによって、世界中のどこにいても「ああワシントンは今何時だ」と即座に分かり、家族に電話する時など時差を計算しなくて済むのです。

 この時計をしていると、その他にもいいことがあります。全日空便に限りますが、この時計のおかげで「タイメックスですね。全日空便でお買い上げですか?」などと、スチュワーデスさんによく話し掛けられるのです。今回のブータンからの帰りに乗ったバンコック発成田行きの全日空便でも、またこの時計がきっかけでスチュワーデスさんに話し掛けられました。実はその彼女も、腕に僕と同じタイメックスをしていたのです。

 さて、そのデュアル・ウォッチですが、ワシントンに戻って久し振りに上下ふたつの時間が一致しました。次の出張まで、お役御免といったところです。



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