フロントページワシントン通信2004年>4月

WASHINGTON 通信(April 2004)



世銀本部がワシントンからドゥバイへ移転 (2004/04/01)


 今日の朝、いつものようにオフィスでコンピューターを立ち上げたら、世銀スタッフ用のイントラネット(組織内部のネットワーク)からびっくりするようなニュースが飛び込んできました。それによると、世銀本部がワシントンDCからアラブ首長国連邦のドゥバイに移転することが決まったというのです。

 その決定理由がいくつか載っていました。まずは、世銀の仕事は第三世界の開発を促進することなので、本部は第三世界に置くべきだというもの。そして、職員は日ごろから第三世界に住んで、貧困を肌で感じるべきだという正論(ドゥバイに貧困があるのかは、知りませんが)。ドゥバイならアフリカにもアジアにも近いので、出張も楽になるし出張経費も節約できる。さらには、ワシントン中心部の財産を売り払えば大きな利益になる、などなど。どれもこれも、全くもっともな理由でした。

 僕は、「そうか、ドゥバイなんて面白そうだなあ。せっかくワシントンに家を買ったばかりだけど、売却すればいいか。」と思って読み進んでいったのです。記事の最後に、「ドゥバイにおける新しい世銀本部の建築設計図はこちら」とハイパーリンクがはられていたので、興味津々でそこをクリックしてみました。すると、瞳に飛び込んできたのは「April Fool」という二文字でした。

 どうせやるなら、職員用のイントラネットだけでなく、全世界に公開されているインターネットの世銀ホームページにもこういうジョークを載せてほしいですよね。僕が見た限り、そちらの方には全くジョークはありませんでした。でも、世銀本部がワシントンになければならない必然性はないですよ。あのジョークは正論だと思います。



BLOG 記念日 (2004/04/03)


 半年くらい前から「BLOG」という言葉が気になっていました。最近はいろんなBLOGのプロバイダーが「雨後のたけのこ」のように誕生し、新し物好きの僕としては、「早くBLOGを始めなければ」と焦っていたのです。ということで、BLOGデビューを決めました。よかったらこちらから見てください。

 そもそもBLOGとは何なのか。最初はよく分かりませんでした。この「ワシントン通信」だってBLOGじゃないか、と勝手に思っていました(事実、BLOGがメジャーになる前の2001年7月からやってますが、極めてBLOGに近い構成だと自負しています)。でも、BLOGと呼ばれるウェブサイトにはいくつかの共通する特徴があることに気づきました。それは、まず記事ごとに単独でコメントを投稿できること。さらには、「トラックバック」と呼ばれる新しいリンク伝達方式です。これらが無ければ、正式にはBLOGとは認められないようです。

 さて、とりあえず始めてみたものの、このBLOGをどう発展させて行くかは全く決めていません。当分は、こっちの「ワシントン通信」と並行させて様子を見ます。時間が許せば、たまにはBLOGの方に別の記事を載せようかとも思っています。もしかしたら、「ワシントン通信」はBLOGに一本化するかもしれません。どなたか、もしいい案があればBLOGの方にコメントください。その他、ご意見・ご感想大募集です。

「このBLOGいいねと君が言ったから、4月3日はBLOG記念日」



夏時間なのに氷点下 (2004/04/05)


 アメリカは昨日から夏時間がスタートです。時計の針が一時間すすみ、ワシントンと日本の時差は14時間から13時間になりました。

 夏時間が始まったとは言っても、ワシントンには夏はおろか、まだ春も来ていません。最近は冬のような寒さが続いていて、昨日も今日も最低気温は氷点下で、冷たい北風が吹き荒れているのです。今朝の通勤時には、路上の水溜りに氷が張っていました。ワシントン名物の桜は既に開花しているようですが、こう寒くては花見をする気分になれません。

 ちなみに夏時間(サマー・タイム)というのは俗称で、正式には「Daylight Saving Time」といいます。日本語にすると、「日光をセーブして有効に使う時間」とでもなりましょうか。全然、日本語になってないけど。



ワシントンの桜と武蔵丸 (2004/04/06)


桜の向こうにワシントン・モニュメント 今年は「お花見」をする前に、ワシントンの桜はもう峠を越えてしまいました。まあ「お花見」とは言っても、桜の下で飲み食いをする日本の「お花見」とは違って、例年ワシントンでは文字通り、ただ花を見るだけですが。こちらでは、公園内でアルコールを飲むことを禁じられているのです。

 さて、今年のワシントンの桜祭りには、日本から元横綱の武蔵丸がQ加したそうです。先日のワシントン・ポストに、その武蔵丸のインタビュー記事が載っていました。武蔵丸はご存知のようにハワイ出身ですが、その記事によると、彼は日本からハワイに帰ることは滅多にないそうです。その理由は、飛行機が嫌いなこと。あの巨体ですから、狭い機内はさぞ窮屈でしょう。ハワイよりももっと遠いワシントンまで来てくれて、ご苦労様でした。

 ちなみに武蔵丸は、飛行機に乗るときは座席を三席買うそうです。三つ並んだ座席にひとりで座るということです。でもよく考えると、ファースト・クラスはひとつひとつの席はゆったりしているものの、三つ並んだ席なんて確かないですよね。ビジネス・クラスだって、座席と座席を仕切る肘掛けを上に上げられないような機体だったら、三つの座席を占領できません。もしかしたら武蔵丸は、エコノミー・クラスの三席を独占して来たのでしょうか。彼がどんな座席にどういう風に座っていたのか、かなり気になっています。



アメリカの新聞に載る。しかも一面トップ。 (2004/04/07)


 アメリカの新聞に載りました。しかも一面のトップ記事です。仕事がら、今までスリランカやブータンの新聞には載ったことがありますが、アメリカの新聞は初めての体験です。でも新聞とは言っても、かなりマイナーなヤツです。ワシントン郊外のアーリントン郡に配られている超ローカルな、しかも週刊の「Sun Gazette」という新聞です。

 その記事は、先月のアーリントン郡教育委員会での、我が家のそばにあるワシントン・リー高校の建て替え問題についての僕の発言を取り上げたものでした(先月の「ワシントン通信」から、「教育委員会に殴りこむ」をご参照ください)。その記事の中で、僕が引用されている部分を以下に訳しておきます。

「この高校と最も長く付き合わなければならないのは、先生や生徒ではなく近隣の住民である」と、新校舎が集中する予定のストリートに住む慶長寿彰氏は言う。都市計画プランナーでもある慶長氏は、最近の教育委員会の会合で発言に立ち、次のように述べた。「教育委員会は、この建て替えに関して環境アセスメントを実施しないというが、三年にも及ぶ工事期間の近隣住民への影響をどう考えているのか。環境アセスメントを実施すれば、校舎のデザインを最終的に決める教育委員たちにとっても必要不可欠な情報が明らかになる。プロジェクトの近隣への影響を知らずに、どうやって教育委員たちはデザインを決められるのだろうか」〜引用終わり〜

 この件についてはその後、アーリントン教育委員会の手続き上の決まりがあって、それによると、この高校の建て替えのようなプロジェクトには環境アセスメントが義務付けられていることが分かりました。要するに、行政側は自分たちのルールを無視しているのです。近々僕たちは、環境アセスメントの実施を求めて署名活動を始めます。アメリカの草の根民主主義が生きているのかどうか、住民側にとっては正念場を迎えました。



カラチでの誘拐未遂事件 (2004/04/08)


 イラクでの邦人誘拐事件の状況が気になりますが、僕自身が体験した誘拐未遂事件を記録に留めておきます。あれは、僕が初めてパキスタンを訪れた時だったから、1995年の終わりごろです。

 カラチ空港の到着ロビーを出ると、あたりにはパキスタンの民族衣装を着た男たちが闇夜に大勢群がっていました。その日は泊まる予定のマリオット・ホテルから迎えが来ることになっていたので、僕はあたりをキョロキョロと見回していました。すると、ある男が近づいてきて、「マリオット・ホテルに宿泊の方ですね。私はマリオットの従業員です。ホテルまでお連れします」と僕に言ったのです。後から思えば、どうして僕がマリオットに泊まると分かったのだろうと不審に思いますが、僕はそのままその男に連れられてしばらく一緒に歩いていきました。でもその男は空港の駐車場を過ぎても歩き続け、街灯も点いていないひと気の無い方向へどんどん僕を誘導して行くのでした。僕は「ホテルの車はどこですか」と聞きましたが、その男は質問には答えずじまいでした。

 5分くらいも歩いたでしょうか。僕は本能的に「これはおかしい」と感じ、一瞬の判断で走り出しました。その男から離れて後ろも振り返らずに、一目散に空港めがけて全速力でした。その後、空港出口のそばで本物のマリオット・ホテルの従業員を見つけ、ホテルのマイクロ・バスで無事ホテルに到着できたのです。その本物によれば、その夜は彼以外にはマリオットからの出迎えはなかったそうです。あの偽者はやっぱり僕を誘拐しようと、マリオットの従業員のふりをしてカマをかけてきたのでしょう。

 その時のカラチへの出張は、ワシントンからパリを経由し、さらにイスラマバードでひと仕事してからカラチ入りしました。パリからイスラマバードまではパキスタン航空を利用しましたが、実はそのパキスタン航空の手違いで、僕のスーツケースがイスラマバードに届かなかったのです。だからカラチに着いたとき、僕が持っていたのは軽い手提げかばんひとつでした。あの男から逃げるとき、これが幸いしたことは言うまでもありません。重いスーツケースを抱えていたら、走って逃げることはできなかったでしょう。あの時ほど、「ロスト・バゲッジ」をありがたく思ったことはありません。



イラクでの邦人誘拐事件をめぐる海外報道 (2004/04/09)


 今日はイラクでの邦人誘拐事件のことが心配で、いろいろなニュース・サイトを仕事中も時々チェックしていました。その中で気になったのが、アメリカなどの海外の英語ニュースと日本のニュースとの微妙な違いです。まず、いろいろな海外新聞のサイトを一通り読んでから、朝日コムの「『撤退しない』明言せず、対応に苦慮 小泉首相ら」という記事を見つけた時、僕はかなり驚きました。

 どうして驚いたかというと、僕が見た海外のニュースは全て、「小泉は『日本軍』をイラクから撤退させないと決意」と述べていたからです。ワシントン・ポストは、「Japanese Prime Minister Stays Resolute on Iraq(日本の首相がイラク問題で断固とした決意)」という見出しが示すとおり、自衛隊を断固としてイラクから撤退させないという論調の記事でした。ファイナンシャル・タイムズも、「Japan Vows to Keep Its Troops in Iraq(日本がイラクに自軍を留めることを誓約)」という見出しが物語るとおりです。

 ところが、上記の朝日コムの記事は、「撤退しない方針を掲げながらも、犯行グループを刺激することを避け、首相や官房長官は、『撤退しない』という言葉を自ら口にするのは避けている」と書いています。犯行グループが、日本語を理解できるとでも思っているのでしょうか。そういう日本的なあいまいなニュアンスが海外で通用しないことは、ワシントン・ポストなどの記事を読めば明らかじゃないですか。

 それともうひとつ。「自衛隊は人道支援のためにイラクに行っているのだから、撤退する理由はない」と日本の首相や官房長官は主張していますよね。これについて少し前のイギリス紙ガーディアンは、「テロリストは、(人道支援だろうと占領軍だろうと)そういう区別はしない」と述べています(「みだしなみ英語」の3月26日の記事を参照ください)。僕は全くこのイギリス紙の見方に同感です。米軍が占領しているところに、人道支援という名目とはいえ軍隊を派遣しているのですから、自衛隊も米軍と同様に見られる恐れは少なからずあるのです。「自国の論理が海外で通用しない」ということを知らないリーダーを持つ国の国民は、本当に不幸です。



イースターと卵とウサギ (2004/04/11)


 今日はイースター・サンデーでした。キリストが十字架で処刑されたあと生き返った日だそうで、日本語では「復活祭」とも呼ばれます。キリスト教徒にとっては、かなり重要な日なのかもしれません。

イースター用、ウサギのカップ・ケーキ イースターのこの時期は、毎年パーティーがあったり催し物があったりしますが、そういう場で必ず目にするのが卵です。イースターと言えば、何故か卵なのです。子供たちは、卵の殻に色を塗って飾り付けたりもします。お菓子やキャンディーなどを、卵をかたどったプラスチックの容器に入れ、それを室内や庭などに隠して子供たちに捜させる「エッグ・ハンティング」もイースターには欠かせない行事です。

 それと、もうひとつ。イースターと言えば、ウサギです。イースター用のカードも、イースター用の飾りつけも、何故かウサギが描かれています。今年はチョコレートの上にクリームでウサギを描いたカップ・ケーキを見つけ、思わず買ってしまいました。

 さて、イースターにはどうして卵とウサギなのでしょうか。博識な妻は、卵は誕生の象徴だし、ウサギも穴から出てくるので、どちらも「復活」に相応しいのだと言います。でも、卵はまだしも、どうしてウサギでなければいけないのでしょうか。モグラや熊でも良さそうなものなのに。誰か本当の理由を教えてください。



4月の雨が5月の花を咲かせる (2004/04/12)


  ワシントンは昨日も今日も冷たい雨が降り続いています。天気予報によると、今週はずうっと雨模様らしい。気温もかなり低くて、もうウンザリです。今朝、「雨ばかりでイヤだね」と長女に言うと、5歳の彼女は、「April Showers Bring May Flowers」と言いました。

 どうやら最近、彼女が学校で習ったフレーズらしい。そうか、この雨のおかげで5月には綺麗な花が咲くんだ。そう思うと、「雨はイヤだ、イヤだ」と思っていた心に、少しだけ晴れ間がのぞきました。モノは考えよう。この雨も自然界には必要なものだと思って、受け入れましょう。長女のひとことから、そんな大切なことを学びました。



ワタシ作る人、ボク洗う人 (2004/04/13)


 大昔、カレーかシチューか何かのCMで、「ワタシ作る人、ボク食べる人」というのがありました(多分、若い人は知らないと思うけど)。そのCMでは、当然のように(何が当然なんだ?)料理を作る人が女性で、食べる人が男性でした。昔つきあっていた女性は、よくあのCMを批判していましたっけ。「あんなCMが公然と電波に乗って放送されている日本とは、どういう国なのか。ジェンダー感覚がなさすぎる」という訳です。

 さて我が家では、「ワタシ作る人、ボク洗う人」です。料理を作るのは妻の役目ですが、食器洗いは僕の役目なのです。これは役割分担をしているというよりも、むしろ得意な方が得意なことをやっているといった程度のものです。神経質な僕は、料理はできない代わりに、食器洗いは丁寧で上手いのです。

 アメリカでは大抵の家庭に食器洗い機があります。でも、あれはデリケートな和食器には向きませんね。強い水圧で洗い、高温で乾燥させるので、お椀や箸は入れられません。それにご飯粒や食べかすが残っている場合は、食器洗い機に入れる前に下洗いをしなければなりません。結果として、毎日かなりの時間を食器洗いに費やしています。特に妻とけんかをした日などは、どうも洗う食器が多いように感じるのは、気のせいでしょうか。



アメリカの固いスポンジ (2004/04/14)


スポンジ・ボブ 昨日は、我が家では僕が食器を洗うと書きました。その食器洗いに欠かせないのがスポンジです。そのスポンジですが、アメリカのスポンジは日本のスポンジとちょっと違います。どこが違うかというと、アメリカのスポンジは乾くと固くなるのです。水に濡らすと柔らかくなります。スポンジというものはみんな柔らかくてフニャフニャだと思っていたので、アメリカに来た当初は、この固まるスポンジには結構驚かされました。

 スポンジと言えば、アメリカにはスポンジを主人公にしたアニメがあります。「スポンジ・ボブ」というアニメで、スポンジに手足があり、服を着て海中に住んでいます。このスポンジが、ヒトデや海老やタコなどといろいろな騒動を繰り広げるのです。アニメの内容ははっきり言ってくだらないのですが、スポンジを主人公にしようというその発想は凄いものがありますよね。凡人には考えもつかない、ユニークさだと思います。



出張はパスポート四つ (2004/04/15)


国連のオフィシャル・パスポート ワシントンのダレス国際空港からです。これから二日がかりで、ヒマラヤの秘境ブータンまで出張します。出張は去年の12月にスリランカへ行って以来ですので、1月から3月までの三ヶ月は飛行機に乗らなかったということになります。ちょっと過去の記録を調べてみたら、三ヶ月も続けて飛行機に乗らなかったのは過去三年では初めてでした。機内食評価の「グルメですかい」を楽しみにしていた方、長らくお待たせしました。久しぶりの「グルメですかい」をブータンへたどり着く前に、どこかで更新するつもりです。

 今回の出張の直前に、国連のオフィシャル・パスポートである「レセパセ」を更新しました。事務総長のコフィ・アナン氏のサイン入りです(自筆ではなく、印刷ですけど)。でも、前のレセパセにいくつか有効なビザが残っているので、古い方も持っていかなくてはなりません。さらに、アメリカ入国時には自国のパスポートが必要なため、当然日本のパスポートも持って行きます。実は、アメリカのビザは前に使っていた日本のパスポートについているので、日本の古いパスポートも持参しなければなりません。要するに、新旧のレセパセと新旧の日本のパスポート、合計四つのパスポートを持っていくのです。なんか、かさ張るし重いしイヤですね。ひとつくらいなくしそうで怖いですけど、テロリストに利用されるとまずいので厳重に管理しないと。それでは行ってきます。



Local & Global〜地方公務員から転身した国際公務員のサイト
( http://www.keicho.com )