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WASHINGTON 通信(October 2004)



スーツケースは消耗品 (2004/10/13)


 先日ブータンからの帰りにバンコック経由で成田に着いたとき、僕のスーツケースの底の部分が三箇所くらい割れているのに気づきました。バンコック〜成田間は全日空で来たので、成田の全日空の係員に報告したら、有難いことに全日空の責任で破損箇所を修理してくれると言われました。僕はワシントンに住んでいると言うと、「それではワシントンの全日空職員にこれを渡してください」と書類を作ってくれました。

 ワシントンに到着してすぐに、その書類を全日空の職員に見せたところ、「修理するのには2ヶ月かかるので40ドルの現金で手を打ってくれ」と言われました。あきらかに修理したくないので、お金で解決しようという態度が見え見えでした。成田の職員とワシントンの職員の応対にもかなり温度差がありました。来月も出張の予定があるし、2ヶ月も待てません。そうは言っても、40ドルは安すぎます。このスーツケースは4ヶ月前に買ったばかりで、数百ドルもしたのです。でも、二日がかりでブータンからワシントンまで飛んで来て疲れきっていたので、一刻も早く家にたどり着きたくて、仕方なしに40ドルで合意することにしました。しかし、未だに納得できません。

 このスーツケースは4ヶ月前に買ったばかりと書きましたが、6月にアフガニスタンに行ったとき、やはり前のスーツケースが壊れたので買い換えたのです。途上国では荷物を乱暴に扱う場合が多いのか、しばしばスーツケースが壊れます。今まではハードケースを使っていましたが、こんなにたて続けに壊れるなら、今度は割れる心配のないソフトケースにしようかな。でも、ソフトケースはナイフで切られることがあると誰かが言っていたし、どうしよう。こんなに出張が多いんだから、スーツケースも消耗品として世銀が負担してくれたらいいのに。



ジョージからの手紙 (2004/10/19)


 出張中にたまっていた郵便物の中に、ジョージからの手紙がありました。そう、アメリカ大統領である、あのジョージ・ブッシュです。封筒には、「この手紙の印刷には税金は使われていません」と書かれていました。

 開封してみると、その手紙は二つのことを要請するものでした。ひとつは、友人や家族や同僚などの中で来るべき大統領選挙でブッシュに投票してくれそうな人に対して、選挙人登録をするように働きかけること。もうひとつは、共和党への献金でした。

 どうしてこの手紙が僕のところへ来たのかは分かりませんが、共和党とは全く関係のない僕のところへ来るくらいだから、おそらくかなり大勢の人のもとへ届いているはずです。でも、以前ジョージから資金集めパーティーへの招待状が来た妻のところへは今回は来なかったようです。

 面白かったのは、この手紙の最後に「企業献金と外国人からの献金は法律で禁じられています」と書いてあったことです。これには、笑ってしまいました。僕はアメリカ国籍も選挙権もない外国人です。従って、僕が献金すると違法になるらしい。ブッシュさん、せっかくですが、そういうことですからこの手紙はゴミ箱へ捨てます。



水曜日は半日授業 (2004/10/20)


 娘たちが九月から通っているワシントン近郊アーリントン郡の公立小学校では、毎週水曜日は授業が午前中だけしかありません。いつもは4時頃帰ってくるのに、水曜日はランチの後一時半くらいに帰って来ます。これはこの小学校だけのことではなく、アーリントン郡の全ての公立小学校で、水曜日は子供たちが早く帰宅する日なのです。

 これは週の真ん中の水曜の午後を、先生たちが研修や事務処理に使うためだと聞きました。共働きの我が家にとっては、水曜だけ子守りのナニーの勤務時間を長くしなければならず、コストが伴う制度ではあります。でも、先生にゆとりがないと子供たちにも悪影響かもしれないので、こういうのも有りかなあと思います。

 僕の姉夫婦は日本で先生をしていますが、とても忙しいらしいのです。残業の後さらに仕事を家に持ち帰る毎日だそうです。今年の夏にニュージーランドでたまたまお会いした日本人の中年男性も、「日本で先生をしていたけれど、多忙で身体を壊し、過労死する前に辞職した」と言っていました。日本の先生って、大変みたいです。アメリカのように週の一日を半日授業にして、先生に少しゆとりを与えるのもひとつの方法かもしれませんよ。



歴史が変わり、呪いが解ける。 (2004/10/22)


 それにしてもレッドソックスの底力には恐れ入りました。プレーオフでの三連敗後の四連勝は、メジャー・リーグ史上初めてだそうです。正に歴史的な大逆転勝利。ゴジラ松井のシーズンが終わってしまったのは残念ですが、この七試合は久しぶりにベースボールを堪能させてもらいました。

 このレッドソックスには熱烈なファンが多いのですが、米日財団に勤める友人のジルさんもそのひとりです。アメリカン・リーグ優勝が決まった翌日、早速ジルさんにお祝いのメールを送りました。僕が「これで、あの呪いが解けたのでしょうか」と書くと、彼女からすぐに「あの呪いはヤンキースとの間に始まったものだったから、今回ヤンキースに勝ったことで呪いは消えたわ」という返事でした。

 アメリカの野球ファンの間では有名ですが、レッドソックスというチームは「バンビーノの呪い」と呼ばれる悪霊にとりつかれているということになっています。「バンビーノ」とは、あの「ベーブ・ルース」の愛称です。1920年にレッドソックスが「ベーブ・ルース」をヤンキースにトレードに出しました。そのルースの怨みが、レッドソックスをこんなにも長い間ワールド・シリーズ制覇から遠ざけているというのです。レッドソックスは1918年にワールド・シリーズを制して以来、今まで四度ワールド・シリーズに進出していますが、いずれも三勝四敗で敗れています。

 ジルさんが言うようにあの「呪い」が解けたのなら、今年は86年ぶりにレッドソックスがワールド・チャンピオンになるかもしれません。相手は手ごわいカージナルス。個人的には、カージナルスの渋い脇役である田口選手の活躍も楽しみです。



ブレーキを足でかける自転車 (2004/10/24)


アメリカの自転車 日本の自転車はハンドルのところにブレーキがついていて、手で握るようにしてブレーキをかけますよね。でも、アメリカの自転車はこのハンドル・ブレーキがない自転車が多いようです。以前何度かこちらでレンタルした自転車もそうだったし、最近娘たちに買ってあげた自転車もそうです。ではどうやってブレーキをかけるのかというと、前に漕いでいるペダルを反対方向に回すように踏むのです。そうすると止まります。要するに足でブレーキをかけるようになっているのです。

 「自転車は手でブレーキをかけるものだ」と体が覚えてしまっている僕にとっては、この足ブレーキは結構難儀です。でも、うちの5歳の長女は既にこの足ブレーキをマスターしています。昨日、近くの公園まで自転車で行ったのですが、長女はちょっとした下り坂でもブレーキを上手く使いながら進んでいました。4歳の次女の方はまだ危なっかしいのですが、やがて彼女も足ブレーキができるようになるでしょう。この自転車に慣れてしまったら、彼女たちは将来日本のハンドル・ブレーキ式自転車に乗った時、戸惑うかもしれませんね。



ハロウィンとカボチャの提灯 (2004/10/26)


 もうすぐハロウィンです。ワシントン近郊の我が家の周りでも、飾りつけをしている家が増えてきました。ハロウィンの飾りで代表的なのが、英語では「Jack-O-Lantern」と呼ばれるカボチャの提灯です。最近では本物のカボチャではなく、プラスチック製の電気で光る「Jack-O-Lantern」も売られています。でも、やっぱりあれは作る楽しみもあるので、本物のカボチャに限りますよね。ということで、おとといの日曜日、僕は「Jack-O-Lantern」を三つも作りました。去年も作ったので、もう慣れたもんです。

ハロウィンのカボチャ

 「Jack-O-Lantern」にするカボチャは、日本でよく売られている緑色のカボチャではなく、かなり大き目のオレンジ色のカボチャです。まず、カボチャの上の部分を丸く切り取ります(この部分は蓋になるので丁寧に切る)。次に、スプーンやヘラを使って中の果肉や種をかきだすように綺麗に取り除きます。さらに、細めのノコギリやナイフなどで、目や鼻や口の形を切り抜きます。あとは夜になるのを待って、カボチャの中にロウソクを入れるだけです。ロウソクの火で蓋が焦げないように、なるべく大き目のカボチャを使った方がいいようです。

 この「Jack-O-Lantern」を作るときに一番難しいのは、何と言っても顔のデザインでしょう。これはカボチャのお化けなんだから、なるべく恐い顔にしようと思ったのに、できたものはとても間抜けな顔になってしまいました。顔が恐く見えるかどうかは、目の形でかなり決まってしまうようです。丸い目は失敗でした。来年は、もっと恐い顔をデザインしてみよう。

ハロウィンのカボチャ提灯



ワシントンにMLBがやって来る。 (2004/10/29)


 レッドソックス、怒涛の八連勝は凄かったですね。ALCS(アメリカンリーグ・チャンピオンシップシリーズ)でヤンキースに三連敗した後、四連勝で大逆転。ワールド・シリーズでは勢いに乗ってカーディナルスを一気に四連勝で下しました。でも、野球ファンとしてはワールド・シリーズがすぐ終わってしまって、ちと物足りなさが残りました。もっともつれてくれれば、この週末も楽しめたのに。

 さて、僕がブータンに行っている間に、メジャーリーグ・ベースボール(MLB)で大きなニュースがあったみたいですね。そのニュースとは、懸案になっていた「モントリオール・エクスポズ」の移転先が、我がワシントンDCに決まったみたいなのです。とりあえず来年は、アメフトの「ワシントン・レッドスキンズ」が使っていたRFKスタジアムを改修して使うそうですが、いずれはワシントンに新球場ができるそうです。エクスポズには大家投手もいますし、本当に今から楽しみですね。移転一年目でいきなりワールド・シリーズ進出なんてことになれば、もうワシントン中が大騒ぎでしょう。来年は、仕事帰りに球場に足を運ぼうっと。



ハロウィン用の恐〜いマスク (2004/10/30)


ハロウィン用の死神マスク 今日はご近所の家に招待されてハロウィン・パーティーに行ってきました。ハロウィンですから当然仮装パーティーです。僕は、死神博士のような恐〜い顔のマスクに黒いマントを羽織って行きました。今日のパーティーに来ていた人の中では、僕が一番恐い恰好をしていたんじゃないかと自負しています。えっ、「マスクを脱いでも恐い」なんて言わないでください。

 この死神マスクは、3年くらい前にハロウィン用に買いました。去年までは、このマスクを見ると娘たちが「恐い、恐い」と泣いて逃げたものです。ハロウィンの時じゃなくても、娘たちが悪さをしたときは、罰としてこのマスクで恐がらせたこともあります。でも今年は、僕がこのマスクをかぶっても娘たちは逃げ出しませんでした。彼女たちも成長したのでしょうか。

 ちなみに今日のハロウィン・パーティーでは、女の子たちは圧倒的にディズニーのプリンセスの衣装を着た子が多かったですね。男の子たちは、バットマンとか、スパイダーマンとか、スーパーマンが人気でした。大人たちは、仮装している人としていない人が半々くらいでした。



近づくアメリカ大統領選挙 (2004/10/31)


 いよいよアメリカ大統領選挙が近づいてきました。先週ワシントン・ポスト紙は社説で「ケリー支持」と表明していましたが、こちらの新聞はどちらの候補者を支持するのかを事前に明らかにする場合が多いようです。新聞社ばかりでなく、様々な団体が「ブッシュ派」なのか「ケリー派」なのかをいろいろな媒体を使って公表しています。

 その中で面白いと思った例をふたつ。いずれもワシントンDCの中心部で見かけた大きな大きな意思表示です。ひとつは、ある人権擁護団体のビルの窓いっぱいに掲げられていた「George W. Bush, YOU’RE FIRED!(ブッシュ、お前はクビだ)」という大ポスター。もうひとつは、労働団体のビルの外壁一面に張られていたケリー支持のドデカい垂れ幕です。ここまでやるとは恐れ入りました。

「ブッシュ、クビだ」ケリー支持の大きな垂れ幕



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