フロントページワシントン通信2004年>11月

WASHINGTON 通信(November 2004)



ブッシュか、ケリーか (2004/11/01)


 いよいよ大統領選挙は明日に迫りました。昨日は「新聞社や団体などが、どっちの候補者を支持しているか事前に公表している」と書きましたが、アメリカでは一般市民もいろいろな手段で支持者を表明している場合が多いですね。そのひとつは、以前も書きましたが自動車のバンパーに貼る「バンパー・スティッカー」です。さらに、最近はワシントンの道端でよくブッシュやケリーの顔や名前のついたバッジを売っていて、このバッジを胸に付けている人も時々見かけます。

 それ以外には、自分の家の庭や玄関先に候補者の宣伝プラカードを立てている家もかなり多いです。それを見て、「ああ、ここの家の人はブッシュに投票するんだ」とか、「ケリーの支持者なんだ」と分かってしまうのです。このように、一般市民が自分の主義主張や政治的な立場を公言してはばからないという辺りは、実にアメリカ的な気もします。


 さて、外国人の僕としては「高みの見物」といった心境ですが、アメリカ人の僕の長女は、既に今日投票を済ませました。5歳の彼女が通うキンダーガーテン(幼稚園)で、模擬投票をやったのだそうです。アメリカではこんなに小さいうちから、民主主義について学ぶんですね。ちなみに、うちの長女は「ケリー」に投票したそうです。その理由を聞いたら、「ブッシュと違ってケリーはまだ大統領になったことがないから、大統領にしてあげたい」と言っていました。



ジンクス破りブッシュ再選 (2004/11/03)


 ブッシュ大統領が大接戦の末、再選を決めました。選挙前から、僕の冷静な頭の中では「ブッシュが勝ちそうだ」という予感がありました。一方、心のどこかには「ケリーが勝つんじゃないか」という願望めいた思いがあったのも事実です。ですから今回の結果は、「予想通り、期待はずれ」といったところでしょうか。

 ブッシュが勝った州とケリーが勝った州の分布を見比べると、面白いことに気づきます。ケリーが勝ったのはシアトル、サンフランシスコ、ロサンジェルスなどの大都市を抱える西海岸の全ての州。シカゴなどの大都市のある五大湖周辺カナダ国境付近の州。さらにはニューヨーク、ボストン、ピッツバーグ、ワシントンDCなどの都市が集中する北東部の州。それに、ハワイです。ちなみにワシントンDCでは、投票者の実に9割がケリーに投票しています。

 ブッシュが勝ったのは、それ以外のアメリカの南部と中部、中北部の州です。地図で見ると、アメリカの真ん中部分をズド〜ンとブッシュがさらってしまったことが分かります。この結果は、移民や外国との交流が多く多様性に富んだ地域のアメリカ人はケリーを支持し、国際感覚のない田舎モンのアメリカ人がブッシュを支持した形です。おっと、これは言い過ぎかもしれません。

 さて、選挙前のワシントン・ポストには、大統領選挙にまつわるこんなジンクスが載っていました。それは、アメフトの「ワシントン・レッドスキンズ」が大統領選挙直前のホームゲームに勝てば、現職(あるいは現職と同じ党の候補者)が選挙に勝ち、レッドスキンズが負ければ、現職も負けるというものです。このジンクスは、1936年の大統領選挙から17回連続で破られていないものでした。で、今年ですが、10月31日の日曜日、レッドスキンズは負けてしまったのです。ということは、このジンクス通りならば、現職のブッシュが負けてケリーが勝つはずでした。ところが実際は、ブッシュがジンクスを68年ぶりに破って再選を決めたのです。そういう意味では、彼が勝利宣言の演説の中で述べたように、「歴史的勝利」と言えるのかもしれません。



破損スーツケースの続編 (2004/11/05)


 先月、ブータンからの帰りにスーツケースが割れてしまったと書きました。今度買うときはハードケースじゃなくてソフトケースにしようかなと思っていたら、ある人から「こんなスーツケースもあるよ」とメールをいただきました。そのスーツケースとは、ドイツの「RIMOWA」というメーカーのもので、特殊合成樹脂でできているから硬くもなく柔らかくもなく、しかも丈夫なんだそうです。これなら、割れる心配もないし、切られる心配もないみたいです。それより何より、かなりお洒落です。ネット上でも買えて配達してくれるということなので、次の出張に間に合うように早速このスーツケースを注文しようと思っていました。

 と思っていたら、先日、全日空から電話が来たのです。成田空港の全日空職員は、僕の割れたスーツケースを修理してくれると言っていたのに、ワシントンの全日空地上職員には「修理には2ヶ月かかるから、40ドルで手を打って」と言われたのでした。「納得いかないなあ」と思っていたら、その電話で今度は「2ヶ月もかからないはずだから、修理してくれる」と言うではありませんか。しかも、「次の出張に間に合わない場合は、別のスーツケースを貸してくれる」とも。お言葉に甘えて、修理してもらうことにしました。全日空はやっぱりいい会社ですね。全日空さん、これからもよろしくお願いします。

 ということで、「RIMOWA」のスーツケースを買うのはもう少し先になりそうです。実は、今日これからまた南アジア方面へ出張ですが、今回は全日空に貸していただいたスーツケースを持っていきます。それでは行って来ます。



空港嫌い (2004/11/22)


 スリランカからバンコックと成田を経由してワシントンに戻りました。今日はかなりグッタリしています。さて、途中で立ち寄った成田空港の混雑には、いつもながらウンザリさせられました。あの空港はどう考えても設計ミスでしょう。通路の狭さ、セキュリティ・チェックと出国審査の混雑などを見ると、利用者数の伸びを考慮せずに作ったとしか思えません。あんな設計ミスは、先進国の空港では珍しいでしょうね。

 長い列と言えば、今回の出張に出発する日のワシントン・ダレス空港の長い列にも、ウンザリ感を通り越してかなり立腹させられました。今まで何度もこの空港を利用していますが、あんな長い列は見たことはありません。数百メートルの列が蛇行していたので、列の最後尾を探すのにも一苦労でした。ワシントンの空港のこの長い列は、成田と違って設計ミスというよりも、セキュリティ・チェックの異常な厳しさが原因なのです。

 アメリカの空港では最近どこでもそうですが、とにかくセキュリティ・チェックが厳しいのです。必ず靴を脱がされるし、ジャケットやセーターやコートも脱がされます。ベルトを外される場合も多いです。僕の前に並んでいた白人女性は、セーターを脱ぐのをためらっていて、係官とスッタモンダの議論をしていました。係官は「規則だ」の一点張り。結局、彼女はセーターを脱いで、上半身は半裸状態で金属探知機を通りました。

 僕はかつて、空港が好きでした。空港は出会いと別れのドラマを演出してくれるし、異文化の出会う場でもあります。これからの旅への期待感を高揚させてくれる場でもありました。以前は空港に行くたびに、ワクワクしたものです。でも、今は空港が嫌いです。アメリカの空港ではほとんどテロリスト扱いされるし、長い列に並んだり混雑の中で待ち続けるのは疲れるだけですから。

 今回の出張はヨーロッパ経由で行ったので、ドイツのフランクフルト空港ミュンヘン空港、オーストリアのウィーン空港も利用する機会がありました。アメリカや日本の空港と比べて、これらのヨーロッパの空港では列に並んだ記憶がありません。特にミュンヘン空港は、広々として開放感があり、太陽光をうまく取り入れるように工夫された素晴らしい空港でした。「アメリカの空港では旅行者はテロリスト扱いされる」と書きましたが、「ヨーロッパの空港では、旅行者は旅行者として扱われるなあ」という印象を受けました。この辺りは、「孤立化に向かうアメリカ」と「統合へ向かうヨーロッパ」という違いを反映しているように思えてなりません。



アメリカ凋落の始まり (2004/11/23)


 今回の出張中、スリランカからブータンへと出かけた帰りのドゥルック航空機内で、ジョアンさんという50代の女性と隣り合いました。ハワイのカウアイ島で地方議員を務めるジョアンさんは、二度目のブータン訪問だったそうです。二人で、「ブッシュ大統領は、ブータンのワンチュク国王から学ぶべきことが多い」と意気投合して、いろんな話をしました。

 ジョアンさんは、ブッシュ大統領の再選とブッシュを選んだアメリカ人の「国際音痴ぶり」をかなり真剣に憂いていました。彼女は、今回のブッシュ再選を「アメリカ凋落の始まり」とさえ形容したのです。「ではどうやって、一般のアメリカ人の目をもっと世界に向けさせるのか」という僕の問いに、ジョアンさんは二つの提案を行いました。

 ひとつは、国内の公立学校の改革です。アメリカの金持ち白人の子供たちが、小学校から高校までほとんど白人だけの私立学校に通い、黒人やヒスパニックなどの移民の子供たちが公立学校に通う、というこの二分構造をまず変えなければいけないと言うのです。「世界に目を向ける前に、アメリカ国内にある異文化や多様性に触れる機会を増やさなければ」という彼女の主張には、かなり説得力がありました。彼女は地方議員として、ハワイの公立学校を改革するために、日々努力をしているそうです。

 もうひとつの提案は、「Peace Corps」のようなプログラムを全ての若者に強制するというものです。「Peace Corps」というのは、JICAの「青年海外協力隊」にとてもよく似ていて、アメリカ人の若者に途上国でボランティア活動をさせるプログラムです。ジョアンさんは、「Peace Corps」に応募するような若者は既に海外に興味を持っているからいいが、問題は「Peace Corps」に自ら応募しないような若者をいかに取り込むかだ、と言っていました。そこで「強制論」が出てくるのですが、これはちょっと現実的ではないですよね。

 ともあれ、ジョアンさんのような人と出会えるのも旅の醍醐味です。いつも思うのですが、アメリカ以外で出会うアメリカ人とはかなり共感できる部分が多いと感じます。ジョアンさんが言うような「アメリカの凋落」が実際に起きるかどうかは分かりませんが、それを食い止める力になれるのは、彼女のように世界を知り、問題意識を持ったアメリカ人たちなのかもしれません。



ワシントン・ナショナルズ (2004/11/24)


ワシントン・ナショナルズのロゴ 我がワシントンDCに移転することが決まっていた「モントリオール・エクスポズ」の新球団名が決まりました。その名は、「ワシントン・ナショナルズ(国民軍団)」。皆さんは、この名前をどう思いますか。僕の感想は、「ダサい名前だなあ」というものです。大体、こんな名前は時代遅れでしょう。今やメジャー・リーグの各チームは多国籍化し、このチームにだって大家投手もいるのです。アメリカ国民だけでチームが構成されているような印象を与える球団名は、間違いでしょう。せめて、「マルチ・ナショナルズ(多国籍軍)」にしてほしかった。

ワシントン・ナショナルズのキャップワシントン・ナショナルズのキャップ 今回の球団名を決めるにあたって、最終的には三つの案に絞られたそうです。その三つとは「ナショナルズ」の他に、「セネターズ(上院議員軍団」と「グレイズ(灰色軍団)」でした。いずれも、大昔ワシントンにあった球団名らしい。最終候補には残りませんでしたが、「シケイダズ(セミ軍団)」という名前も提案されたそうです。そういえば、今年はワシントンで「17年ゼミ」が大量発生した年でした。でも「セミ軍団」なんて名前をつけたら、17年に一度しか優勝できないと揶揄されちゃいそうです。

 僕は以前、エクスポズがワシントンに移転するのを期待して、勝手にワシントンの球団名を考えたことがありました。「ディプロマッツ(Diplomats)」、「ビューロクラッツ(Bureaucrats)」、「チェリー・ブロッサムズ」など様々な案が思い浮かびましたが、結局は「ワシントン・ヒーローズ」がいいんじゃないかという結論に達しました。「ナショナルズ」よりは、マシですよね。



いい酒は朝が知っている。 (2004/11/26)


七面鳥の丸焼き 昨日は「Thanksgiving」、別名「七面鳥受難の日」でした。我が家でも妻が作った七面鳥の丸焼きをメインに、ある日本人の家族をお招きしての晩餐となりました。まあ、この日に七面鳥を食べるのは恒例行事とは言え、僕は七面鳥はあんまり好きではありません。でも、七面鳥が大量に残ってしまったので、昨夜に続いて今日も七面鳥を食べました。もしかしたら明日も...。

 さて、その七面鳥といっしょにいただいたのが、僕の故郷である青森県の蔵元「桃川」のお酒です。実は、今年の9月に八戸の高校二校で講演をしたところ、最近そのお礼にと、両校の校長先生から故郷のお酒を大量に送っていただきました。「桃川」はオレゴン州のポートランドに「SakeOne」という子会社を持っているようで、そこから届いたのです。「SakeOne」のお酒はアメリカ人向けなのか、ボトルもラベルも日本酒というよりはワインかシャンパン風で、ちょっとお洒落でした。「桃川」と言えば、「いい酒は朝が知っている」というコマーシャルが有名ですが、ご存知でしょうか(もしかしたら、青森県だけのCMかも)。昨夜は結構飲んだにもかかわらず、そのコピーの通り今朝は酒が残りませんでした。八戸高校と八戸商業高校の両校長先生に、この場を借りて感謝申し上げます。




地球のつなぎ方 (2004/11/30)


 出張先でのインターネット接続の話です。欧米や日本、オーストラリアなどの先進国では、最近は部屋でブロードバンドが使えるホテルが増えてきました。今年泊まったホテルのうち、ロサンジェルス、シアトル、シドニー、ロンドン、ミュンヘンなどでは有料でブロードバンドが使えました。東京の都心でよく泊まるホテルも、部屋でブロードバンドが使えます。これらのホテルでは、壁からLANケーブルが出ているものと、LANの接続端子だけが備え付けられているものの二通りに分かれます。後者の場合は、LANケーブルを貸してくれるケースがほとんどでしょう。

てるまきくんW  それに引き換え途上国のホテルでは、まだまだダイアル・アップでインターネットに接続する場合が多いですね。自分の部屋でダイアル・アップができればまだいい方で、ブータンのホテルなどでは部屋に直通電話がないので、ビジネス・センターまで下りて行かなければいけません。でも、今回の出張で泊まったコロンボのホテルでは、部屋から直接ブロードバンドが利用できるようになっていて驚きました。もっとも、このホテルのブロードバンドは安定性に欠け、しばしば繋がらなくなることがありました。結局、何度もダイアル・アップに切り替える羽目になったのです。

 ということで、今回の出張で大活躍したのが、ロード・ウォーリアというメーカーの「てるまきくんW」です。これは10月にブータンに行った帰りに成田空港で買ったのですが、LANケーブルと電話回線用ケーブルが一体化したスグレものです。ブロードバンドにもダイアル・アップにも両方使えるので、僕のように途上国にも先進国にも行く人には打ってつけの製品でしょう。使った後は、くるくると巻き取ってプラスチックのケースに収まるので、移動中に接続部の爪が壊れる心配もありません。あなたも、この「てるまきくんW」を旅のお供に加えてみませんか。



Local & Global〜地方公務員から転身した国際公務員のサイト
( http://www.keicho.com )