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  スリランカ(May 2003)



10日間の外出禁止 (2003/05/30)


 おとといコロンボの空港に到着した時、飛行機を降りて空港のターミナル・ビルに入るやいなや、黄色い紙を渡されました。その黄色い紙はスリランカの保健衛生当局からのもので、新型肺炎SARSに関する注意書きでした。それには以下のように書かれています。

「SARSが発生している下記の国からの渡航者は、向こう10日間は自分の健康に注意を払ってください。そしてこの10日間は、外出を控えてください。もし咳を伴う発熱があれば、直ちに医者に相談してください。」

 そして、その紙の下の方にはSARSが発生した国々が列挙されています。それらは、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、中国、香港、台湾、フランス、ドイツ、イタリア、マレーシア、アイルランド、ルーマニア、シンガポール、スペイン、スイス、タイ、イギリス、アメリカ、ベトナムです。僕はアメリカから来たわけですから、この注意書きに忠実であろうとすれば、6月6日までは外出を控えなければならないことになってしまいます。でも、仕事で来ているのだからそういう訳には行かず、外出しまくっています。何かちょっとだけ後ろめたさを感じますが、SARSには感染していないと思うので許してください。一応、手洗いとうがいを頻繁にするようにはしています。



スリランカの大学生が集団発熱 (2003/05/31)


 今朝のスリランカの英字新聞によれば、コロンボから南へ数十キロ離れた「モラトゥワ大学」で、寮生の間に原因不明の集団発熱が起こったので大学が閉鎖されたということです。この時期、こういうニュースは結構恐いですね。スリランカでは、今まで新型肺炎SARSの感染者は出ていませんが、これがSARSでないことを祈ります。記事によると、発熱した学生達の多くは、数週間前に大洪水の被害にあったスリランカ南部地域を訪れていたらしいです。おそらく、熱帯性の病原菌か何かに感染したのでしょう。

 南アジア地域でSARSの感染者が出たのは、今のところインドだけのはずです。でも途上国では、感染してもSARSかどうか分からないというケースもあるのかもしれません。



スリランカでヒレ酒を飲む。 (2003/06/03)


 今回の出張はワシントンから一人で来ているので、仕事以外は割りと自由です。特に、食事は食べたいものを食べています。チームで来ていると、こうは行きません。日本食や中華が食べたいと思っても、他のチーム・メンバーに相談して何を食べるかを決めなければなりません。僕がチーム・リーダーだからといって、いつも僕が食べたいものをチーム・メンバーに押し付けるわけにはいかないのです。まあ、人によってはそういう独裁的なリーダーもいるかもしれませんが。

 という訳で、今回の出張中は日本食を結構食べています。コロンボにはいくつかいい日本食屋さんがあって、どれもワシントンの日本食屋さんよりは美味しいし、メニューが豊富なのです。先日行ったのは、「日本ばし」という名の和食屋さんでした。この「日本ばし」のマネジャーさんは、スリランカ人と日本人のハーフで、日本にも住んでいたことがあるそうです。彼の顔はどう見てもスリランカ人ですが、話す日本語は全くネイティブの日本語です。

 その晩、まずは焼き鳥とビールからスタートしました。「日本ばし」の焼き鳥は、炭火焼でかなり美味しいんです。スリランカの鶏肉は、冷凍保存されているものがほとんどだそうですが、「日本ばし」では業者と掛け合って鶏肉を毎朝仕入れることにしているそうです。正肉とレバーはタレで、手羽先、砂肝、軟骨は塩でいただきました。僕は砂肝と軟骨が大好きなんです。その後、いくつか一品料理を食べた後、締めは「ヒレ酒」にしました。暑いスリランカで飲む熱い「ヒレ酒」が、またいいんですよ。ヒレがこんがり焼けていて、その香ばしさが酒の味を一層引き立てます。あんなに美味しい「ヒレ酒」はいつ以来でしょうか。コロンボを発つ前に、もう一回くらい「日本ばし」に行こうかな。



翼の生えたライオン (2003/06/04)


 一泊二日の強行日程でジャフナに行って来ました。ジャフナはスリランカ北部の街で、スリランカ政府軍と通称「タミールの虎」と呼ばれる少数派タミール勢力が20年間に渡って紛争を繰り返していた主戦場です。街はすっかり破壊され、いたるところに「地雷注意」の看板が立っています。

 ジャフナを前回訪れた時は、コロンボから10時間以上かけて陸路で行きました。コロンボとジャフナの間には国内線の飛行機が飛んでいたのですが、機体がとても古いロシア製だということで、国連から飛行許可が下りませんでした。ところが、今回は許可がおりて飛行機で行って来ました。どうやら、国内線の航空会社が新しい機体を調達したようです。10時間も車に揺られて行くよりは、1時間で飛んだ方がずうっと楽でした。

 そのスリランカの国内線を運営しているのは、「ライオン・エア」という会社です。機体の尾翼に描かれているシンボルマークは、翼の生えたライオンでした。ライオンは、この航空会社のシンボルになっているだけでなく、スリランカの国旗にも描かれていたり、地元のビールの商標(ライオン・ビール)にもなっています。聞くところによると、ライオンはスリランカの多数派民族シンハリ人のシンボルなんだそうです。少数派タミール人のシンボルは、ご存知のように虎ですから、スリランカの内戦はライオンと虎の戦いだったと言えるようです。「だった」と過去形を使いましたが、昨年の停戦合意から始まった和平交渉が暗礁に乗り上げています。ライオンと虎の戦いは、本当に過去の歴史にしてほしいです。



ジャフナ近郊で地雷を食らう! (2003/06/06)


 内戦で破壊されたスリランカ北東州の緊急復興を実施すべく、「北東州緊急復興・人道援助暫定委員会」が設立されました。この暫定委員会は、敵対していたスリランカ政府と通称「タミールの虎」双方の代表者で構成されています。今回ジャフナを訪れたのは、その暫定委員会と復興計画について話し合うためでした。

 この暫定委員会の本部は、ジャフナから車で約2時間ほど南下したキリノッチという町にあります。キリノッチは「タミールの虎」の支配下にあり、キリノッチの時間はスリランカの標準時間とは異なって、30分の時差があります。この辺りはやはり地雷が多く埋まっていて、道の両側には有刺鉄線がめぐらされていました。舗装された道から外れると、地雷を踏む恐れがあるので立ち入り禁止という訳です。

 キリノッチでのミーティングは、主に、暫定委員会の事務方のトップであるセルビン事務総長との話し合いでした。セルビン氏は、「タミールの虎」側から任命された人物です。彼と握手をしたら、彼の右手は親指と人差し指しかありませんでした。他の指は地雷で吹き飛ばされたそうです。

 午前11時頃から始まったミーティングが一段落した午後1時過ぎに、近くに新しくできたというレストランに昼食を食べに行くことになりました。このレストランは、「タミールの虎」直営のレストランで、とても美味しかったです。このレストランのお薦めメニューが、「Landmine(地雷)」という名前のついた料理です。この「Landmine」は、正に地雷のような形をしていました。少し分かりやすく言うと、春巻きのお化けの様な形で、厚めの衣の中に、鶏肉や野菜が詰まっています。味は絶品。僕はおかわりをして二切れいただきました。地雷の犠牲者であるセルビン氏ともども、「この地雷は爆発はしないが、爆発的な旨さだ」とジョークを言って料理を楽しみました。こんなジョークが言えるのも、平和だからこそです。スリランカの恒久和平実現は、案外確実かもしれない。キリノッチで「美味しい地雷」を食らいながら、そんな楽観的な思いが胸に湧いてきました。



スリランカのホワイトハウス (2003/06/07)


 先日、スリランカの首相秘書官と打ち合わせのために、Prime Minister’s Office (首相執務室と訳すとしましょう)を訪ねました。真っ白いコロニアル調の建物で、「スリランカのホワイトハウス」とでも呼びたくなりました。最初、その首相執務室の無防備さには驚きました。中に入るのにも、警備らしき警備も全く無くフリーパスだったのです。その理由を同僚のスリランカ人から聞いて、納得しました。現在のウィクラマシンヘ首相は、スリランカ歴代の首相とは違って、この首相執務室で仕事をしないんだそうです。主がいないのであれば、なるほど警備も必要ないですね。でも、首相と秘書官が別々の場所で仕事をしていて不都合はないのでしょうか。ちょっと疑問に思いました。

 それでは、ウィクラマシンヘ首相はどこで執務を執り行っているかというと、専ら首相公邸をオフィス代わりにしているそうです。そして彼が実際に住んでいるのは、自分の持ち家だそうで、要するに公邸ではなく私邸の方です。

 そういえばアメリカのブッシュ大統領も、外国首脳との会談を、最近はホワイトハウスではなく、自分が所有するテキサス州の牧場でやることが多いですよね。スリランカでもアメリカでも、ホワイトハウスは最近なぜか敬遠される傾向にあるみたいです。



スリランカよりラジオ出演 (2003/06/09)


 今日のNHKの「地球ラジオ」、聞いた人いますか?その番組の中の、海外で活躍する日本人を紹介するコーナー「日本チャチャチャ」というヤツに、僕が出演したはずです。自分では聞いていないので、どんな風に放送されたのか知りたいです。もし、聞いた人がいたら、感想をゲストブックに書きこんでくださいね。NHKからは放送の録音テープが届くことになっているので、ワシントンに帰ってから自分でも聞いてみます。

 今回のラジオ出演は、約一週間ほど前にNHKの担当者から、Eメールで出演を依頼されたことがきっかけでした。「地球ラジオ」担当のOさんは、インターネットのサーチ・エンジンを使い、「海外で活躍する日本人」で検索して僕のこのHPに辿り着いたんだそうです。そして、早速Eメールを送ってきてくれたのです。それ以来、日本にいるNHKのOさんとスリランカの僕とで、どういう内容にしようかと数回に渡ってEメールで打ち合わせをしてきました。そして、二日前にスリランカのホテルの部屋にNHKより電話があり、二人のキャスターの方々とのインタビュー形式で収録を行いました。ということで、今回は生放送ではありませんでした。生放送ではないとはいえ、収録中は結構緊張しましたよ。実は一回NGを出してしまい、録音し直してもらったところもあります。ともかく、自分でテープを聞くのが待ち遠しいです。



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