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  スリランカ(July 2003)



スリランカのスリリングな時間 (2003/07/18)


 ワシントンから成田、バンコックと乗り継いで、先ほどスリランカのコロンボに着きました。思えば、昨年の7月末に久しぶりにスリランカに来て以来、この一年間で実に五度目の訪問になります。昨年のスリランカ政府とLTTE(タミールの虎)の停戦合意を受けて、最近の自分の仕事内容は、かなりスリランカに集中してきています。あとしばらくは、スリランカ詣でが続きそうです。

 スリランカで一番スリリングな時間は、空港からコロンボのホテルまでの車の中です。いつも深夜のドライブになる空港から都心部のホテルまでの道中は、車で40〜50分くらいかかります。この道路はかなり曲がりくねっていて、車線のマーキングも中央分離帯もないし、おまけに街灯も十分ではないので結構暗いんです。そこをドライバーが決まって100キロくらいのスピードで、他の車の間を縫うように飛ばすので、ジェットコースターにでも乗っているみたいにひやひやします。もっと安全運転でゆっくり行ってほしい気もするし、長旅で疲れているから早くホテルに着いて欲しいという気持ちもあります。結局いつも後部座席でシートベルトを締めて、このスリリングな時が無事に過ぎるのを祈っているだけです。ホテルに到着すると、いつもかなりホッとします。

 という訳で、今日も無事にコロンボのホテルにたどり着きました。明日から早速コロンボを離れて、来週の前半までスリランカの農村部と内戦跡地に行く予定です。現地の通信事情によっては、コロンボに戻るまでこのホームページは更新できないかもしれません。



初め良ければ全て良し。 (2003/07/19)


 スリランカ中央州のダンブラという地域に滞在しています。僕が担当している「水と衛生プロジェクト」に関わるワークショップに参加するためです。世銀では、あるプロジェクトが承認されると、その実施に先立ってこのようなワークショップの開催を奨励しています。中央政府の役人から自治体の首長、地域住民の代表など当該プロジェクト関係者を一同に集めて、プロジェクトの詳細を再確認するとともに、プロジェクト成功へのコミットメントを新たに喚起する狙いもあります。

 今日、そのワークショップの開会式で最初に行われたのが、スリランカの伝統儀式である火つけ式です。スリランカでは、いろんなイベントの最初によくこの火つけ式が行われるんだそうです。これがどういう儀式かというのを言葉だけで説明するのは至難のワザですが、棒に据えつけられた油つきの細いロープに、ゲストが次々と蝋燭で火をつけていくというものでした。僕も火をつけるゲストの一人でしたが、何かオリンピックの開会式における聖火の点灯を思い出させる儀式でした。

 この火つけ式を何度も体験しているスリランカ担当局長のピーターによると、通常はロープの数と火をつけるゲストの数が一致しない場合が多いらしいのです。ところが今日は、ロープの数とゲストの数がピタリと一致しました。これは、実にいい兆候だと局長は言っていました。これから実施されるプロジェクトの成功を暗示しているというのです。初め良ければ全て良し。本当にそうなるように願っています。



スリランカの見ざる、聞かざる、言わざる (2003/07/21)


 現在泊まっているスリランカ中央州のホテルの窓に、「見ざる、聞かざる、言わざる」の三猿を描いたステッカーが貼ってあります。猿が入ってくるので窓を開けっ放しにしないように、という注意書きもありました。このホテルの周りは自然しかないので、猿や珍しい野鳥、爬虫類、リスなどを時々見かけます。昨日ホテルの軒の上を歩いていた猿は、黄金色の毛を持つとても綺麗な猿でした。

 目と耳と口を隠した「見ざる、聞かざる、言わざる」については、日本にいた頃は、これは日本の物だと疑いもしませんでした。それは、この三猿は確か日光東照宮の名物にもなっていますし、「〜しない」という意味の「〜ざる」という日本語と「猿」が掛け言葉にもなっているからです。何よりも、「自分に関係のない物事や、他人の欠点などを見たり聞いたり口にしたりすることを戒めている」この三猿の理念は、実に日本的だとも思っていました。しかし、今回のスリランカでもそうですが、旅をしていると「見ざる、聞かざる、言わざる」を外国で見かけることも結構多いです。

 実は、僕のワシントンのオフィスには、この三猿ならぬ四猿の小さな置物が飾ってあります。その置物は、以前パキスタンのラホールの街で見つけたものです。「見ざる、聞かざる、言わざる」に加えて四匹目の猿は、股間を手で隠しています。要するに、「エッチせざる」なんです。この四匹目が気に入って、思わず買ってしまったのを覚えています。



スリランカで象に乗る。 (2003/07/22)


 きのう仕事が終わってから、生まれて初めて象に乗りました。馬にさえ乗ったことがないのに、象に乗ったんです。ダンブラのホテルで申し込み、1時間で30ドルでした。

 象の背中に据えつけられた座席までどうやって登るのかと思ったら、象の背よりわずかに高い櫓のような構造物に階段で登り、そこから象に飛び降りるようにして座席に辿り着きました。僕一人を乗せたその24歳のメス象は、二人の調教師を従えてジャングルを歩き始めました。乗り心地は最悪です。象が歩く度にかなり揺れます。きちんと捕まっていないと振り落とされそうで、取っ手を握る手に自然と力が入ります。まるで荒海を行く小船にでも乗っているような感じで、しばらくすると船酔いと同じ症状で気分が悪くなってきました。

 しかしながら一番恐かったのは、象が突如道を外れて僕を乗せたまま湖に入っていってしまったことです。象の胴体が完全に水に浸かるほど、結構深いところまで行きました。調教師の一人が機転を利かせて象の首にまたがり、陸地まで誘導してくれたので事なきを得ました。でも、あの湖でもし象がバランスを崩して倒れでもしていたら、僕はどうなっていたんでしょう。

 当初は一時間の予定でしたが、船酔い状態がひどくなってきたので、30分くらい乗ったところで引き返してもらいました。また乗りたいとは思わないですね。象の方も、この客はもう乗せたくないと思っているかもしれませんが...。



バングラデシュ料理より辛いスリランカ料理 (2003/07/24)


 コロンボに無事戻りました。コロンボで滞在しているホテルには和食屋さんが入っているので、帰ってきて早速に和食を食べました。おでん、ししゃも、牛タン、豚汁など、どれも美味しそうに思えて一人なのに注文しすぎてしまい、かなり満腹になってしまいました。

 フィールド滞在中は、選択肢がないのでどうしても辛い地元の料理になってしまいます。一緒にフィールドに行っていたバングラデシュ人のスライヤさんによると、スリランカの料理は一般にバングラデシュの料理よりも辛いんだそうです。僕には、スリランカの料理も、バングラデシュの料理も、インド料理も全く区別がつかず、どれも同じように思えます。でも、これら南アジアの国々の料理も、国によって、あるいは地域によって微妙な違いがあるようです。

 スリランカ中央州のダンブラからコロンボに戻る途中、コロンボとは全く逆方向にある北東州の州都トリンコマリで州政府とミーティングがありました。ダンブラからトリンコマリまでが約2時間、トリンコマリからコロンボまでが昼食をはさんで約8時間と、結局10時間くらい狭い車の中に座っていました。さすがに首や腰が痛いです。この週末は何とかゆっくりしたいものです。



甘い紅茶は歓迎のしるし (2003/07/26)


 スリランカ中央州に滞在中、僕の担当している「水と衛生プロジェクト」が行われているラトゥマルカトゥワという村を訪れました。世帯数が200足らずのその村で大歓迎を受けました。青空の下で住民達と集会をしたのですが、子供から大人まで100人以上が集まってくれました。僕が短いスピーチをして、その後はこちらから質問をしたり、住民から質問を受けたりという対話が30分くらい続きました。この村には水道施設がないので、僕が「一番近い水源まで水を汲みに行くのに、毎日どれくらいの時間を費やしていますか」と尋ねると、多くの住民は一日平均1時間半から2時間くらい、最大では4時間という人もいました。「このプロジェクトによって村に水道施設ができたら、今まで水汲みに使っていた時間を何に使いますか」と聞くと、皆そんなことを想像したこともなかったのか、ほとんど答えは返ってきませんでした。

 さて、こういう集会の後は、決まって地元の料理や飲み物で歓待されます。こういう場では、かなり気をつけて食べ物を選ばないとお腹を壊すことも多いので、僕はいつもほとんど食べません。でも、せっかくのおもてなしの心を無駄にするのも失礼なので、少しはつまみます。そういう時は、バナナとか乾物とか安全性の高いものに手を出すようにしています。自転車で世界一周をした友人の坂本達がいつか言っていましたが、こういう時には「絶対にあたらないと信じきって食べれば、あたらないものだ」そうです。

 ところで、この村で飲まされたセイロン・ティーがとても甘かったんです。僕は普段コーヒーにも紅茶にも砂糖を入れないので、甘すぎて飲めないなあと思っていました。スリランカ人もみんな甘い、甘いと言っていました。でも、世銀コロンボ事務所のスミットによれば、この甘い紅茶は歓迎のしるしなんだそうです。昔、スリランカで砂糖を手に入れるのが難しかった時代には、本当に大切なお客様だけに砂糖入りの紅茶を出したそうです。その名残で、紅茶が甘ければ甘いほど、歓迎されている証拠だというのです。残そうかなと思っていたその甘すぎる紅茶ですが、この話を聞いて思い直し、甘さを堪えて全部飲み干しました。



高級な紅茶は輸出用 (2003/07/28)


 前回に続いて紅茶の話題です。スリランカに出張に来ると、毎日大抵三回か四回は紅茶を飲みます。ミーティングの度に紅茶が出てくるからです。でも、その紅茶の出し方は実に様々です。砂糖とミルクを最初から入れてある紅茶もあれば、砂糖やミルクは自分の好みで入れるように紅茶とこれらが別々に出てくる場合も当然あります。スリランカの紅茶は濃い目の紅茶が多いので、ミルクを入れないと言うと、代わりにお湯を足してくれることも多いです。ごくたまに、ショウガ入りの紅茶が出てくることもあります。でも、日本でポピュラーなレモン・ティーは全くなくて、主流はあくまでミルク・ティーのようです。

 スリランカのセイロン・ティーは、高級品はほとんど全てが外国への輸出にまわされてしまうと聞きました。要するに、国内で消費されている紅茶は、安物というわけです。安物でも、本場の紅茶はとても美味しいですね。スリランカの紅茶を一度でも飲むと、もう日本やアメリカのティー・バッグで入れた薄い紅茶は飲めなくなります。あれは、こちらの紅茶に比べると、ただの茶色いお湯としか思えないからです。今回も、セイロン・ティーをお土産に少し買って帰ろうと思っています。



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