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  スリランカ(June 2004)



アフガンの緊張をスリランカで癒したい。 (2004/06/07)


 アフガニスタンのカブールから、パキスタンのイスラマバード、カラチ、そしてタイのバンコックと飛行機を次々に乗り継いでスリランカのコロンボに着きました。ひとつでも飛行機が遅れたりキャンセルがあれば全行程が狂うところでしたが、無事にコロンボに辿り着けてホッとしています。イスラム教のアフガニスタンでは当然ながらアルコールが禁じられているので、この一週間はアルコールを一滴も口にしていませんでした。そのせいか、バンコック〜コロンボ間のキャセイ航空で久しぶりに飲んだワインは格別でした。

 実は、イスラマバードの空港でカラチ行きの国内線にチェックインする時、「パキスタン航空の予約システムに僕の名前が登録されていない」と言われました。チケットが発券されているのに、システムに登録されていないとは、どこで手違いがあったのでしょうか。手にしたチケットを見せ、「それはパキスタン航空側のミステイクだ」とあくまでも強気に主張し、小一時間のスッタモンダの末に最後の最後に搭乗券をもらいました。機内に滑り込んだのは、ゲートが閉まる直前だったのです。

 アフガニスタンには一週間ほど滞在しただけでしたが、緊張のせいかよく眠れない夜ばかりでした。ここスリランカでは、少しリラックスできればと思っています。とは言え、早速着いたその日からフィールドへ行かなければなりません。これから車でスリランカ中央州のプロジェクト現場へ向かいます。僕の仕事はほとんど体力勝負だと思われているかもしれませんが、実際そういう側面も多いんです。では、行ってきます。



スリランカの紅茶製造工場に泊まる。 (2004/06/09)


 一泊二日でスリランカ中央州のプロジェクト現場を訪れて、昨夜コロンボに戻りました。実は、昨日の深夜からずうっと激しい下痢に悩まされています。おそらくヌワラエリヤという地域の村で食べたものが原因ではないかと思います。以前、パキスタンに行くたびに下痢や食中毒に罹った記憶がありますが、スリランカでお腹をこわしたのは今回が初めてです。途上国には慣れていて、しかもかなり気をつけているつもりでも、出されたものを全く食べないわけにはいかないし、まあこういう事もたまにはありますよね。仕方がないので今日はコロンボのホテルで休養していました。

 さト、ヌワラエリヤで宿泊したのが、「Tea Factory(紅茶工場)」というホテルです。このホテルは、文字通り、以前は紅茶の製造工場だったものを、ホテルに改造したものでした。スパ設備や紅茶製造の模擬施設などもあり、なかなか小奇麗なホテルですね。ただ、僕たちは夜遅く到着して朝早く出発したので、ホテルの施設を楽しむ時間はありませんでした。スリランカと言えば「セイロン・ティー」ですが、僕が訪れたヌワラエリヤ地区こそが、この「セイロン・ティー」の主産地なのです。スリランカの紅茶産業は、実に150万人の雇用を生み出し、その紅茶生産高は世界で第三位だそうです。

ヌワラエリヤの紅茶畑茶摘み娘の人形



スリランカのホスピタリティー (2004/06/10)


 先日スリランカ中央州ヌワラエリヤの村々を訪れたとき、村人たちに大歓迎を受けました。ある村では男たちの民族舞踊で出迎えられ、他の村では子供たちが着飾って歓迎の花束ならぬ「葉っぱの束」を渡してくれたのです。こういう出迎えを受けるといつもながら、複雑な気持ちになります。ホスピタリティーは大変ありがたいのですが、こっちは仕事でプロジェクトの進捗状況を把握するために訪れているだけですから、そうまでしてくれなくてもいいのに。特にその村の子供たちが、その日は僕らのために学校を休んだと聞かされては、罪悪感さえ覚えました。

スリランカの少女たち



コロンボの緑色マンゴー (2004/06/12)


 スリランカの現在の首都は、コロンボ郊外の「スリジャヤワルデナプラコッテ」という長い名前の街です。もう大分前に国会の移転によりコロンボから首都が移ったのですが、まだスリランカの首都は最大都市のコロンボだと思っている人も多いようです。その「コロンボ」という地名は、アメリカ大陸の発見者名コロンブスと似ていますが、何か関係はあるのでしょうか。南米の国コロンビアや、ワシントンDCの「District of Columbia」という名称はコロンブスに由来していますが、もしかしてスリランカのコロンボも?コロンブスって航海中にスリランカに寄港していましたっけ?

 スリランカに来るようになって以来、この「コロンボ」という名前の由来が結構気になっていたので、昨日思い切って尋ねてみました。スリランカ政府のピヤセナさんによると、昔、コロンボのあたりではグリーン・マンゴー(緑色のマンゴー)がよくとれたんだそうです。そしてそのグリーン・マンゴーのことを、地元の言葉で「カランバ」と呼んでいたといいます。イギリス植民地時代にイギリス人がそれを「コロンボ」と聞き間違え、それがそのまま定着してしまったということです。どうやらコロンボという地名は、コロンブスとも、ましてや「刑事コロンボ」とも全く関係なかったようです。

インド洋に面したコロンボの街



セイロンの中心で正論をさけぶ (2004/06/13)


 コロンボからバンコック、成田と乗り継いで、先ほどワシントンに戻りました。でも、もう一回だけスリランカの話を書きます。今回は仕事の話です。

 世銀のプロジェクト融資では、融資案件ひとつにつき最低でも年に2回はプロジェクト実施国にミッションを派遣することになっています。これをproject supervision(プロジェクト監視)と呼び、プロジェクトの進捗状況を把握したり、プロジェクト実施段階での問題解決や軌道修正をしたりします。要するに、貸しっ放しではなく、プロジェクトの成功に貸す側も責任を持つべく、監視や助言を続けるのです。

 今回のスリランカ出張も、僕が担当している農村部の「コミュニティ主導型水供給プロジェクト」のsupervisionをするためでした。このプロジェクトはまだ始まって一年ぐらいですが、今のところ概ねうまく進んでいます。しかしながら、どんなプロジェクトでも、プロジェクトの計画段階では予期できなかった問題や、あるいは、新たな状況の変化によって生ずる問題は避けられないものです。今回も、そういった問題の解決に努めました。

 僕が思うに、問題解決で大事なのは「解決時期の見極め」ではないでしょうか。その問題の性質上、直ちに解決する必要があるのか、解決に必要な情報は十分揃っているのか、あるいは情報収集のために解決を先延ばしにする余裕はあるのかどうかを判断することです。今回もいくつかの問題解決を先延ばしにしましたが、そういう場合には、「その問題に関するどういう情報をいつまでに収集・分析し、いつの時点で判断する」という問題解決への道筋をできるだけ明確にするように心がけました。

 ちょっと抽象的な話になってしまいましたが、要するに、あまり緊急性のない問題を拙速に解決しようとして解決策を誤るよりは、じっくり時間をかけて状況を分析した方がいい場合もあるということです。これは正論ではないでしょうか。セイロン・ティーという名前が残っているように、スリランカは以前「セイロン」と呼ばれていたのはご存知ですよね。という訳で、セイロンの中心で正論を叫んでみました。



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